Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

まだまだ気づいていない「サスティナビリティ」のほんとうの価値

 

 半導体業界では圧倒的なシェアを握るメーカーが数社存在するそうです。半導体の前工程で使われる最先端の露光装置で100%のシェアを握る蘭ASML、また、層間絶縁材料では、味の素ファインテクノが市場をほぼ独占しているといいます。

唯一無二のサプライヤーをめざせ - 化学工業日報

 こうした企業は、成長する半導体産業にあって、価格競争と無縁であり、サプライヤーとして突出しているといいます。全ての産業でも、こうした優位な立場に立つことが理想なのかもしれませんが、そうそうそうなることも難しいことではないでしょうか。また、今この時代にあっては、何もそれだけが究極的な目標ということもないように思います。

 

 

 成長が見込むことができ、なお最先端で開発余地のある分野が狭まってきているのかもしれません。 それは解決すべき課題が数少なくなってきているということの現れなのかもしれません。宇宙開発に注目が集まるのが最たる例なのでしょう。

顧客の課題が数多く存在した高度経済成長期やバブル期とは異なり、いまは既存の経済合理性の範囲内でなんとかできる課題は、ほぼ解決し尽くされています。(出所:NEWSPICKS)

 一方で、気候変動の問題は深刻さを増し、世界各地で異常気象となって問題を顕在化させています。脱炭素による緩和策を早急に進めていかなければなりませんが、その一方で深刻さを増す異常気象にも適応していかなければなりません。

 こうした従来の経済活動に外側にあることが、これまで以上に重要視されるようになり、すでに先駆的な企業はその取り組みを強化しています。ただ、まだそれはほんの一例にすぎないのでしょうか。

 円安が進んでいます。こうした現在の経済情勢からすれば、輸出を増やしていくべきといわれます。かつてのようにより多くの企業が輸出にかかわるようになれば、いいのかもしれません。

 そのためには海外市場でも受け入れられる商品やサービスが必須なのでしょうが、日本企業はこれまでの経済活動の外側にある「外部不経済」に対する取り組みが欧米企業に比して弱く、このままでは受け入れられることはないといわれます。

 

 

日本の消費者は欧米に比べると環境意識が希薄なので、日本企業が日本の消費者向けに製品を設計すると、海外で評価されずスケールが難しくなるでしょう。(出所:NEWSPICKS)

 日本企業にとっては国内シェアが高いほど環境価値の認識も難しくなって、それがグローバル進出の足かせにもなってしまうとNEWSPICKSは指摘します。

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 たとえばそれは調達する原材料についても当てはまります。いまはまだ再生資源より天然資源など有限の資源を使う方が安いのかもしれませんが、この後技術開発が進み、一方で資源価格の上昇が続けば、いずれそれは逆転するのではないかといわれます。それに早く気づき、再生資源の利活用を早急に進めるべきといいます。

 そうすることで、環境価値を高めつつ、経済活動においても競走力を高めることができ、海外市場に参入する条件が整うということでしょうか。

日本企業には自国の消費者に合わせた製品をつくるだけでなく、日本市場の美意識を鍛え、啓蒙的に育てていく発想が必要ではないでしょうか。(出所:NEWSPICKS)

「サスティナビリティ」に真に取り組むためにはこうした視点が必要ということなのかもしれません。

 今の社会情勢や経済情勢において、「サスティナビリティ」が求められているはずなのですが、その価値にほんとうに気づいていない、理解できていないということなのかもしれません。企業も個人も、持続できなければ、未来はないのですから。