プラスチックスを製造する化学メーカの脱炭素化に向けての活動が加速しているのでしょうか。
ポリオレフィン系プラのプライムポリマーが、マスバランス方式を用いた環境配慮型製品やリサイクル材の取り扱いを2030年に、20万トン超に増やすといいます。
プライムポリマー、サステナ製品で20万トン超へ、再生材など増産 - 化学工業日報
化学工業日報によると、車部品や樹脂袋・PETボトルキャップなどのマテリアルリサイクルで10万トン、ケミカルリサイクルやバイオ原料由来で12万トンのポリオレフィン製造を目標に掲げているといいます。
マスバランス方式を用いたバイオマスプラ関連の生産も増えているようです。
三井化学によれば、ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)に基づいたマスバランス方式とは、原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)とそうでない原料(例:石油由来原料)を混合させる場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対し、その特性の割り当てを行う手法といいます。
三井化学はフェノール事業において、このマスバランス方式による環境配慮型製品の販売を強化するようです。
三井化学と帝人がプラスチックのバイオマス化を実現する製品の市場展開に向けた取り組みを開始|2022|ニュースリリース|三井化学株式会社
昨年21年12月からナフサ分解装置「ナフサクラッカー」に、石油由来のナフサに代わり、廃植物油および残渣油などを由来とするバイオマスナフサの投入をはじめ、バイオマス誘導品の生産を開始したといいます。フェノール事業においては2024年3月末までにISCC PLUS認証を終え、販売開始することを目標に進めているといいます。
これまでに、フェノール、アセトン、BPAおよびα-メチルスチレンの4製品で認証取得が完了しているそうです。
帝人が三井化学からこのバイオマスBPAを調達し、同じくマスバランス方式でバイオマスPC(ポリカーボネート)樹脂の生産を2023年前半に始めると発表しました。
すでにリサイクルPCは市場に流通し広まりつつあるといいますが、環境負荷の低い製品にも期待が寄せられていることが背景にあるといいます。
脱炭素に注目が集まるようになり、廃食油などの活用がさかんになっています。膨大の量が家庭や産業界から排出されているといいますが、こうしたリサイクルによる活用が増えることで奪い合いが起きたりすることはないのでしょうか。
東京を油田に。地域電力で環境と地域をハッピーに。世界の「環境の英雄30人」に選ばれた起業家 | SHIFT lab
「東京油田」という言葉があるようです。家庭から排出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料「VDF(Vegetable Diesel Fuel)」を生産しているといいます。
こうなると東京があたかも油田のように見えるのかもしれません。こうした活動とも上手に共存できるようになればいいのではないでしょうか。
「参考文書」