「SAF」 持続可能な航空燃料、これからの航空業界にとってはなくてならないものになる。世界の航空業界がその導入を競っている。政府が今後の生産目標を定める方向で検討に入ったという。航空業界の脱炭素が加速することになるのだろうか。
代替ジェット燃料、生産目標設定 脱炭素加速で来年度―政府:時事ドットコム
JIJI.comによれば、世界のSAFの生産量は現在、航空機の燃料需要の1%未満だという。
政府は、30年には国内航空会社が使うジェット燃料の1割をSAFに置き換えることを目標にし、多くの企業がその実用化に向け、競いあっている。
ミドリムシ由来のSAFの25年の量産化を目指すユーグレナが先頭を走っているかと、思えば競合がいくつも立ち上がり、ユーグレナ同様コンソーシアムを形成するケースもあるようだ。
シンガポールに本社を置くバイオベンチャーのちとせバイオエボリューションもそのひとつで、企業連携型プロジェクト『MATSURI』を2021年4月に立ち上げ、今後、藻類の生産と同時に、企業間で連携し、燃料をはじめプラスチックや食品、化粧品などの事業開発をすすめるているそうだ。
ちとせによれば、マレーシア・サラワク州に培養設備を建設中で、2025年に世界最大となる2,000haの藻類培養設備に拡大、様々な製品の原料として300円/kg以下の生産コストで140,000トン/年(乾燥重量)の藻類を供給できる体制を目指しているという。
また、微細藻類は、可食物のトウモロコシや大豆などに比べ、圧倒的な物質生産効率を誇り、オイル収量はパームの2倍以上で、タンパク質収量は大豆と比べて16倍以上になるという。そればかりでなく、CO2の吸収量は年間1ヘクタール当たりで大豆の8.7倍相当だという。
藻で産業構築へ日本企業タッグ、培養設備は売り上げ年1000億円見込む - Bloomberg
ブルームバーグによれば、「Matsuri」プロジェクトに参加するENEOSは、培養設備の稼働開始後、速やかに藻類由来燃料の商業化も目指すという。ホンダも、車の樹脂部品などへの藻類活用を想定しているそうだ。三井化学は、藻類由来のバイオマスナフサの活用も検討する。ナフサは、プラスチックスの原料。また、日本精化は、微細藻類をスキンケアやメーキャップなど化粧品の原料に活用し、25年に商業化することを目指しているという。
米気候エネルギーソリューションセンターによると、世界の藻類製品市場は30年に3200億ドル(約36兆円)規模まで拡大し、約30億トンのCO2を吸収すると予想される。これは日本の年間CO2排出量の約2.5倍に相当する。(出所:ブルームバーグ)
世界の国々の航空会社もSAFを必要としているのだろう。1社だけでは世界のSAFの需要を満たすことはできない。プレイヤーは多くいた方がいいのだろう。製造拠点が日本だけにあっても意味はなく、世界各地に必要となるのだろう。シンガポールには世界屈指の石油化学コンビナートがある。もちろんそこではジェット燃料も精製されている。そうした企業との連携があればいいのだろう。