Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

続く半導体不足、またトヨタが減産、積むに積めない在庫、品不足は解消するのか

 

 危機が幾重にも重なって襲いかかり、様々なモノの品不足が顕在化する。半導体不足と言われて久しいがまだ改善に至っていないのだろうか。

 トヨタ自動車が5月の生産台数をグローバルで10万台程度減らす方向に見直し、75万台程度を見込むという。

5月 生産計画について | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

 この4~6月を「意志ある踊り場」として、生産計画を現実に即したものに見直すとトヨタは公表していたが、まだ半導体不足については読み切れないところがあるということなのだろうか。それでもなお、5~7月のグローバル生産台数は、平均で80万台程度を予定するという。

 

 

 このコロナ渦で、企業はこれまでの「ジャスト・イン・タイム」を見直す、万が一の事態に備える「ジャスト・イン・ケース」も考慮し、在庫の確保することが求められようになった。

 そうはいっても、「金額の問題ではなく、とにかく、原材料を調達できない」という調達非常事態の状況に陥っていると日経XTECHはいう。

在庫は悪か正義か 非常事態はずさんな管理の免罪符にならず | 日経クロステック(xTECH)

調達非常事態の原因は、新型コロナウイルス禍による「物流網」の停滞と、相次ぐ自然災害や人災による工場の操業停止、そしてウクライナ危機をはじめとする国際情勢の急激な変化による供給不安や原油価格の高騰が加わった。サプライチェーンの安定は製造業における永遠の課題だが、現在におけるサプライチェーンの不安定さは、過去に類を見ない厳しいレベルにある。(出所:日経XTECH)

 高い価格でも調達できれば製品の生産、販売はできるが、それにも限度はある。在庫を積み増そうにも、資金が手当てできなければ、調達はできない。まさに試練のときということなのだろう。

 こうした状況は化学工業日報は「対岸の火事ではない」といい、欧州ドイツの事例を解説する。

 

 

 それによると、ドイツの医薬品を含む化学産業は、原燃料として天然ガスを年間約280万トン使用しているという。

対岸の火事ではない - 化学工業日報

ドイツは天然ガスの多くをロシアに依存しているが、これがもし止まった場合、ヨーロッパ最大のドイツ経済は30兆円のダメージを被るとも試算されている。(出所:化学工業日報)

 天然ガスが止まれば、諸々の原料となる基礎化学品さえ製造できない。天然ガスは長期契約で調達するのが主流で、この時期にスポット市場に手を出せば、とてつもなく高い価格で調達せざるを得ない。 

 化学工業日報によれば、1913年、独BASFのカール・ボッシュが工業化に成功し、空気中の窒素からアンモニアを製造する技術が、窒素系肥料の供給というかたちで食糧増産に大きく寄与したという。1世紀を超え、現代でもこの手法はアンモニア製造の主流を担っているそうだ。

この品不足の現代においても、こうした発明やイノベーションが求められているのかもしれない。よいことに脱炭素の時代になって、新たな技術に芽吹き始めている。早急に必要な技術を立ち上げ、普及拡大を図らねばならないのだろう。イノベーションの機会がやってきているのではなかろうか。