マレーシアが鶏肉輸出を全面的に停止したといいます。鶏の飼料の穀物や大豆を輸入に頼り、この不足によって鶏肉生産に混乱が生じているそうです。鶏肉の生産状況やコストが安定するまで輸出を停止する方針といます。仕方ないのことなのかもしれませんが、保護主義的な動きが強まっているのでしょうか。
マレーシアが鶏肉輸出停止、シンガポールの国民的料理に打撃も | Reuters
ロイターによると、鶏肉をマレーシアからの輸入に頼るシンガポールでは国民的料理「チキンライス」に打撃が及びそうといいます。飲食店は鶏肉の価格上昇に直面し、供給不足で閉鎖に追い込まれる可能性もあるそうです。
こうした情報があれば、買いだめに走るのが人の心理なのかもしれません。ただ、これに対してシンガポール政府などは、過去3年分の輸入先のデータを公表したといいます。
政府機関によると、マレーシアからの輸入が34%、ブラジルが49%、米国が12%を占める。(出所:ロイター)
マレーシアが確かに大きな比率を占めていますが、素早く事実がわかれば人の心理にも影響を及ぼすのでしょうか。
小さな島国であるシンガポールでは食料の自給はかなうものではありません。そのため、データ管理が行き届き、いざというときに素早く行動を起こせる体制になっているのでしょうか。
経済安全保障の必要性が高まっているようです。こうした事例もあるからでしょうか、あらゆるもので国内生産に注目が集まっているようです。国際分業から垂直統合への巻き戻しになるのでしょうか。分業といっては今まで外部に託していた案件を内製化しようとする動きが強まったりするのでしょうか。
SaaSのクラウドビジネスを始めるシャープ
シャープは2016年に、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループの傘下となり、それ以降、IT部門の位置づけを大きく変わったといいます。それまでは外部に委託することが多かった社内システムを内製化するに至ったといいます。
エンジニアを積極的に中途採用し組織を拡大。17年に数十人だったIT部門は、IT企業の常駐者を含めて22年3月末時点で約9倍の数百人体制になった。(出所:日本経済新聞)
シャープ、内製システム外販へ 鴻海傘下でIT人員9倍: 日本経済新聞
5年間で開発を外部のIT企業に丸投げする体制から脱却し、社内システムの大半を内製できるようになったそうです。そして、それが「稼ぐ」IT部門に変わっていたといいます。内製化したERPシステムを外販するそうです。
シャープが中小企業向けにソフトウエアをサービスとして提供するSaaS(サース)事業に乗り出す。
2022年夏をめどに、製造業向けのクラウド統合基幹業務システム(ERP)サービス「IT Solution Cloud Service」の提供を始める。同社は内製した基幹業務システムを外販し、新たな収益源にする考えだ。(出所:日本経済新聞)
記事によれば、「外販を事業としてどの程度伸ばせるかは未知数だが、チャレンジしていきたい」と、この事業を統括するIT部門のトップ柴原事業部長は意気込んでいるそうです。
コロナ渦にあってマスクが不足するといち早くマスク生産を始めたシャープが、今度はSaaSのクラウドサービスを始めるといいます。家電メーカもただ単に家電を作っいる時代ではなくなったということなのかもしれません。強みを活かして、できることから内製化していく、そして、余力があるならそれを外販し、商売に変えていくということでしょうか。こうした流れが増えていけば日本がもう少し元気になりそうです。経済安全保障の思わぬ副産物になるかもしれません。
「参考文書」
自社DC・脱メインフレーム・独自ソフト、シャープが仕掛ける怒濤のIT施策 | 日経クロステック(xTECH)