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脱ロシア、脱石油でEVシフトは加速するのだろうか

 

 ロシアが天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」の輸出量を約60%削減、これを受けて、ドイツ政府はガス不足に対処する3段階の第2段階にあたる「警報」を発令したといいます。ドイツの企業は影響を免れないようです。

ドイツ、ガス不足で「警報」発令 配給制度導入の可能性排除せず | ロイター

 ロイターによれば、第2段階では、工業部門にガスの節約を促すため、今夏からガスの入札モデルが開始される予定といいます。

 状況は悪化の一途のようです。こうした事態になれば、EU化石燃料における「脱ロシア」は避けることはできず、もう後戻りはできないという決定的なことになったということなのかもしれません。

 

 

  欧州の自動車メーカが積極的に進めようとしたEVシフトも、より現実味を増し、不退転の決意で遂行していくことになるのでしょうか。燃料供給に不安があれば、何としてでもそれは改善したいものです。再生可能エネルギーをより拡大させて、EVシフトというのが理想的なストーリーなのでしょうが、はたしてそう容易くことは進むのでしょうか。

急速なEVシフトを読み直す、VWやトヨタなどの戦略にみる10年後とは | 日経クロステック(xTECH)

 一昔前までは、EV電気自動車なら構成部品も少なく、参入障壁が低いと見なされていました。かつてのようなグローバルなサプライチェーンのもと、潤沢に標準化された部品が供給されれば、そうであってのかもしれません。しかし、今日の状況はそれとは随分乖離しています。蓄電池や半導体ボトルネックになり、なかなか思うようにEVの生産台数を伸ばすことができないのが実態のようです。

 半導体については、各社が生産能力の増強に向かい、時間は要するのかもしれませんが、いずれ解消されるのでしょう。一方、蓄電池の確保は進んでいるのでしょうか。生産工場が中国や韓国に偏ったままでは安定的な調達に支障をきたすのかもしれません。

 もし仮に、EVシフトが本流となり、そうなった場合、その後のEVはどのように進化し、何がメーカ間の競争力の源泉になっていくのでしょうか。自動運転に移行するまでは、航続距離であったり、電費、省エネ性能であったり、電池性能やモータの性能が競争力を左右にすることになるのかもしれません。そして、これらにはレアアースレアメタルはなくてはならないもので、それが性能に大きく影響します。

 

 

 ただ問題はこうした希少金属の産出に偏りがあって、地政学リスクと大きな関わりを持っています。こうした資源の確保もまた今後のEVの普及に影響することになるのでしょうか。これまでとは違ったサプライチェーンの構築が求められ始めていそうです。

 カーボンニュートラルを標榜する世界において、EV電気自動車は理想形のひとつかもしれません。ただそれが世界の隅々まで普及するには、今抱える課題からして、とてつもなく長い時間がかかりそうです。トヨタはEVに前のめりすることなく、前方位戦略を取り、あらゆる方式の自動車開発を続けています。トヨタが主張する通り、各地域の特性に合わせた自動車作りの方がより現実的で、地球温暖化の防止には役立つのかもしれません。

 

「参考文書」

ドイツ、天然ガスの配給制を検討 ロシアの輸出削減で - WSJ