Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

読め切れないロシアの行動、欧米の経済制裁に対抗するのだろうか

 

 隣国ロシアの戦争が終わりそうにない。そればかりでなく、欧米との対立が激しさを増し、それによる不都合に世界が巻き込まれている。

 守られるべき約束を違え、ロシアの非人道性が気掛かりだ。マリウポリに設置されるはずの人道回廊が設置できずに赤十字国際委員会が引き返したという。

 米英はプーチン政権内の問題をあえてリークする。

プーチン氏がロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果、軍との間に緊張が生じている」。

 

 

プーチン氏は真実知らず 戦況・経済制裁、軍が誤情報: 日本経済新聞

プーチン政権内の意思決定過程のゆがみはウクライナとの停戦協議に波及するおそれがある。米国防総省のカービー報道官は3月30日の記者会見で「交渉にあまり誠実でなくなる可能性がある。(プーチン氏が)どれほど悪い状況にあるか十分に知らないのにどうやって合意に導くのか」と懸念を示した。(出所:日本経済新聞

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 停戦交渉ばかりではないのだろう。意思決定が混乱し、連携すべき組織が反目し合うようになれば、何かを約束しても守られることはなくなってしまうのだろう。

ロシア国営天然ガス会社はドイツから撤退するのか

 ロシア国営の天然ガス大手ガスプロムが、ドイツから事業撤退すると発表したという。ガスプロムゲルマニアGMBHへの出資分を始め、全事業を打ち切ったという。

ガスプロム、独撤退 ガス代払い巡り応酬 迫るエネルギー危機 | ロイター

 ロイターによると、ドイツはエネルギー需要の40%をロシアからのガス供給に依存し、ガスプロムの撤退が及ぼす影響は現時点では明らかでないという。

オックスフォード・エネルギー研究所のカーチャ・ヤフィマバ上級研究員は「ガスプロムが欧州の天然ガス市場への積極的な参加に幕を下ろしたということだ」とした上で、「同社は欧州で敵対的な政治・規制環境に直面することを理解しており、ロシア政府の政治的支援を得て、サンクトペテルブルクに集約して事業を展開しようとしている」と分析した。また、長期契約に基づくロシアのガス供給には何の影響もないと強調した。(出所:ロイター)

 資源大国ロシアの強引さが気になる。制裁の悪影響なのかもしれないが、ロシアがこれまでの秩序に挑戦、自分たちに有利な方向へ仕向けているようにも見える。

 

 

食糧大国ロシアはどこへ行く

 ロシアのメドベージェフ元大統領(現・安全保障会議副議長)が、農産品の輸出を「友好」国に限定する可能性があると述べたという。

ロシアの農産物輸出、友好国に限定も=メドベージェフ前首相 | ロイター

「今後、食料と農産物は友人にしか供給しない」とし「幸運なことに、われわれには(農産物が)豊富にあるが、欧州や北米は全くそうではない」。(出所:ロイター)

 ロイターによると、食料供給の優先課題は、国内市場への供給と国内の価格統制だと指摘し、「友人」への農産物供給は、合意した比率でルーブル建てと現地通貨建ての双方で行うとしているという。

ロシア産天然ガス、政府のプランB

 プーチン大統領がロシア産天然ガスを購入する際に自国通貨のルーブルでの支払いを義務付ける大統領令に署名したことを受け、岸田首相は、これを拒否する方針を表明したという。

 ロイターによれば、政府は「プランB」として、供給が止まった場合の対応策を官民でも議論しているという。

焦点:ロシア産ガス、停止に備え日本で「プランB」議論 実効性に慎重論 | ロイター

 日本は年間8500万トンのLNGを輸入しており、このうちロシアの割合は約9%占めているという。

実際にロシアからの供給が停止した場合、調達に向けた企業の契約交渉だけではすべての量を確保することは現実的に難しい。(出所:ロイター)

 また、ロシア「サハリン2」の調達価格は10ドル程度で、スポット価格を50~60ドルとすれば、2~3兆円の追加コストが増えることになるという。

 

 

 経産省や企業があれやこれやと、その対策を検討しているようだが、ほんとうに供給が止まるという最悪を想定して、今から準備しないと混乱の元になり、心配、不安を募らせることになってしまう。これまでの危機管理ではなく、これからは危機は必ず起こるものとして考えなければならないということを、このウクライナ危機で学んでいるのかもしれない。