Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

新たな社会課題か、エネルギー高騰に逼迫する電力需給、増える太陽光に難しくなる需給調整

 

 コロナ渦以前がいかに順風満帆だったのかと、今となればそう思えなくもない。様々なリスクや問題はあったのかもしれないが、様々な危機に直面する現在とは大違いだったのだろう。

 順調なときにこそ、「荒天準備」を進めておくべきという言葉があるという。成長を続けていくことができればいいのかもしれないが、常に次来る環境変化を予測し、備えるべきということなのだろう。

 電気事業連合会の池辺会長(九州電力社長)が定例の記者会見で、地震の影響で3月に電力需給が逼迫したことに触れ、「新しい発電所を造る努力が必要。新電力から大きな動きが出てこないのも問題だ」と述べ、新電力に増設対応を呼びかけたという。

新電力も発電所増設努力を 電事連会長、需給逼迫で:東京新聞 TOKYO Web

逼迫の背景には、老朽化した火力発電所の廃止などで供給力が減っている問題があると指摘。太陽光発電の導入が今後進むと、悪天候で発電できない場合に備えて火力発電の重要性が増すと説明した。(出所:東京新聞

 

 

 東日本大震災の後、再生可能エネルギーの拡大を目指して、国の固定価格買い取り制度FITが始まった。それから10年経過する。拡大してきた半面、太陽光発電への偏重と国産部材の縮小というゆがみも生んだと日本経済新聞は指摘する。

再エネ固定買い取り10年、日本勢の落日 FIPで活性化へ: 日本経済新聞

太陽光への集中投資は「電力需給の調整」を難しくした。太陽光は晴れた日の夕方までしか発電しない。夜になると発電量が一気に減り、電力供給が急速に落ちる。(出所:日本経済新聞

 太陽光の供給減を補うには火力発電所をすぐに動かさないといけない。この積み重ねが火力発電所の細かいトラブルの要因となり、ここ数年、常態化している夏や冬の電力需要期の需給逼迫につながっているという。

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 荒天準備を怠ってきた最たる例のかもしれない。

 太陽光の急増、高まる電力需給の難易度、日本企業の落日。FITの10年は3つの事実を浮かび上がらせた。22年4月に始まった「FIP」という制度下でどんな未来が待つのだろうと日本経済新聞はいう。

 

 

 自動車業界で進むEVシフトを事例に、「荒天準備」の必要性を日経XTECHが説いている。

10年先を考えて一歩動く 2次、3次の部品メーカーの荒天準備 | 日経クロステック(xTECH)

市場のピークは見えてきたが、越えるのはまだしばらく先のこと。だから、様子を見ようというのは、分からなくはない。(出所:日経XTECH)

 現業の足元を固めながら、しかしピークが見えてきた今こそ、荒天準備を開始する時期ではないだろうか。ピークを越えてからでは苦しくなるだけという。

 

 

 太陽光の事例ではないが、国の政策に乗れば、そう労苦なしに成長、発展はあるのかもしれない。それもいずれ剝落するときがくるのだろう。時間が経過すれば必ずと言っていいほどに次なる課題が生じ、それに対応できなければ、メリットは減じ、いずれ消滅する。

 今、現実こうしてウクライナ危機がやってきて、恐ろしいほどにエネルギー価格が高騰している。誰がこの現実を予想できたのだろうか。しかし、社会課題を解決し、貢献することでビジネスを成立させるという純粋な意思があれば、この問題はいずれ解決されていく。電事連の池辺会長ではないが、新電力にも何か役割があるのではなかろうか。

 火力発電が需給調整機能を果たすのであれば100%不要とは言えないまでも、その依存度を下げれば、化石燃料の使用を減じさせることができ、価格の安定化に貢献できる。その需給調整機能を火力だけに頼らずに、新たな蓄電機能でカバーしてもよいのかもしれない。そうしたことで現業が安定化し、その施策によって次なる成長が期待できるということなのだろう。いつのときも「荒天準備」を怠りなくということなのだろう。

 また、それが日本経済を活性化させていく原動力になっていくのであろう。

 

「参考文書」

関東の太陽光や風力発電の実力を分析、3月の需給ひっ迫対策は? | 日経クロステック(xTECH)