Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

急落する新興企業の株価、変わっていく社会課題

 

 中国配車サービス最大手の「滴滴出行(DiDi)」が業績を発表し、純損失が前年から368.5%拡大し、500億3100万元(約1兆円)にのぼる巨額な赤字になったという。ニューヨーク証券取引所での上場廃止を検討しているそうだ。業績悪化は、コロナ渦の影響なのだろうか、それとも当局による締め付けの影響なのだろうか。

 東南アジアのユニコーンとして、米ナスダックに上場した配車やデリバリーサービスを展開する在シンガポールの「Grab(グラブ)」も、2021年の通期決算が34億ドル(約3902億円)の最終赤字になったという。これを受け株価が急落したという。コロナ渦の影響のようだ。

 

 

 配車アプリとしてマレーシアで生まれたグラブが、そのプラットフォーム上で金融サービスを始め、今では東南アジアのスーパーアプリに進化したとForbesはいう。

 東南アジアは圧倒的な人口を抱え、1兆ドルの経済圏に成長しうると指摘し、グラブの成長戦略はこの市場の制覇を狙っているという。この先の業績回復が見込めるということであろうか。

デリバリーからフィンテックへ変貌!東南アジアのスーパーアプリ「グラブ」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 グラブはまずは競合と共生するアプローチをとったという。18年にグラブがウーバーの東南アジア事業を買収し、ウーバーはグラブの株式27.5%を取得したという。中国の配車サービス大手「DiDi(滴滴出行)」もグラブに出資しているという。

 17年にデジタル決済サービスの「GrabPay(グラブペイ)」を立ち上げ、今では保険、融資、資産管理、後払い決済サービスなどを手がけ、20年末にはシンガポールの通信最大手シングテルと組んでデジタル銀行の免許を取得し、22年第2四半期にシンガポールでデジタル銀行業務を開始する予定という。また、19年にマスターカードと提携し、オンラインとオフラインの両方で使えるグラブペイカードを立ち上げているそうだ。

東南アジアのフードデリバリー、配車、デジタル・ウォレット決済、デジタル金融サービスの総需要は、25年までに20年の少なくとも3倍に増え、流通取引総額GMVが1800億ドルを上回る見通しだ。(出所:Forbes)

 

 

 コロナ渦を契機に、廃れるサービスがある一方で、花開いたサービスもあるのだろう。国内では、DiDiのフードデリバリーが撤退し、ウーバーイーツは楽天と提携するという。「楽天ペイ」と連携、楽天ユーザーは決済時には楽天ポイントの獲得や利用が可能になるという。

米ウーバー、日本のフードデリバリー事業で楽天Gと連携へ-決済利用 - Bloomberg

 ブルームバーグによると、2019年度に1700億円だったフードデリバリー市場は、22年度に3300億円、25年度に4100億円に拡大する見込みという。

 コロナ渦からの出口がうすらぼんやりと見えてきている中で、この先何がメガトレンドになるのだろうか。

 Netflix(ネットフリックス)の株価が急落したという。加入者数が20万人の純減と2011年以来のマイナスとなったことが理由のようだ。

Netflix、崩れた成長神話 会員「獲得コスト」2倍に: 日本経済新聞

 新型コロナの感染が落ち着いて外出を再開した消費者の選択肢は広がり、会員を獲得するコストは2倍に膨らんでいると日本経済新聞は指摘する。動画配信サービスの激しい競争だけでなく、世界的なインフレなど経営環境は厳しさを増しているという。何も動画配信サービスだけではないのだろう。

 コロナ禍を経て、国際情勢が緊迫化、何から何まで価格が上昇していくようになった。社会課題もまた変わり、その解決が求められ、それに対応したサービスが求められてはいないだろうか。