この先はエネルギーの地産地消を進めるべきなのだろう。あまり想定はしたくないが、気候変動による異常気象で、激甚災害が頻発するようになれば、レジリエンスの高い電源が求められるはずである。
分散型電源として
日本経済新聞によれば、工場や公共施設など向けの太陽光パネルの出荷が好調で35%増加したという。一方、メガソーラー大規模太陽光発電所向けは2%増にとどまったそうだ。 住宅向けは10%増加している。
分散型電源としても注目されるようになってきたのだろうか。
エネルギー基本計画が改定され、30年度の電源構成のうち、再生可能エネルギーの比率が36~38%となり、現状から2倍に引き上げる必要があるといわれている。
この目標を達成するには、太陽光を21年3月時点の6200万キロワットから30年度には最大で1億1760万キロワットに引き上げる必要があるそうだ。
逆風の太陽光なのか
太陽光パネルの価格が前年比3割高近く上昇しているそうだ。太陽光パネルの7割のシェアを握る中国から供給力が低下しているためで、中国国内の電力不足が背景にあるという。
日本の発電事業者にとって採算の合わない水準まで値上がりし、契約の見直しや延期が相次ぐ。太陽光発電で再生可能エネルギーを底上げする日本政府の戦略にも影響が出かねない。(出所:日本経済新聞)
一方、国内太陽光パネルメーカの撤退が相次いでいる。需要があり、価格も上昇傾向。国内にとどまらず世界的な需要も見込める中、撤退との判断になることに矛盾を感じずにはいられない。中国メーカがトラブルに陥った今こそ、市場を取りに行くのがビジネスの鉄則ではないのであろうか。それとも初めから勝てるはずがないと思い込んでしまっているのだろうか。
太陽光関連業者には日本国内のエネルギーを支えるという大きな役割があるはずだ。災害時にも強靭に稼働するシステムを構築する役割も担っているのだろう。挑戦無くして、次の発展はないはずだ。
蓄電池代替の蓄熱技術
ケイ砂を使った熱エネルギーの貯蔵技術をFabcrossが紹介している。
ケイ砂の蓄熱を利用——再生可能エネルギーを安価に保存するシステムを開発中 | fabcross
それによれば、太陽光や風力による余剰電力でヒーターを動かして、蓄熱材料のケイ砂を1200℃まで加熱し、熱エネルギーを持った砂を断熱コンクリート製サイロに貯蔵する。電力需要が高い時は、砂を熱交換器に供給し、タービンと発電機を回して電力を生成し、電気料金が安い時に再び砂を加熱してエネルギーを蓄えるという。
太陽光や風力といった断続的な再生可能エネルギーを有効活用するには、優れたエネルギー貯蔵技術が重要となると記事は指摘する。電力の貯蔵にはリチウムイオン電池が有力候補とされるが、こうした方法の採用の検討があってもいいのかもしれない。
バイオマス発電にも試練
輸入木材の減少で、バイオマス発電所が燃料不足で発電量が半減、思わぬ試練に立たされているという。
バイオマス発電所、ウッドショックで燃料不足 国産木材需要高まり | 毎日新聞
毎日新聞によれば、輸入材の減少にともなって国産木材の需要が高まり、兵庫県の「朝来バイオマス発電所」が燃料を工面できなくなっているそうだ。この発電所は、全ての燃料を地元の間伐材、林地残材で賄う珍しいケースだという。
まとめ
発電事業者や大手商社などでつくる経済産業省の作業部会で、燃料用のアンモニアのコスト半減についての検討が始まったという。国際的に石炭火力が批判を受けていることが理由という。
またエネルギーを海外に頼ろうとするのだろうか。検討の必要性を否定しないが、エネルギーの地産地消化に向けた検討も同時並行に進めるべきではなかろうか。
エネルギー価格が高騰を続け、一方で、この先の異常気象による災害を想定すると、不安を感じることが多くなる。こうしたことの解消も政府の役割ではなかろうか。気候変動適応の見地からのアプローチが少なくないだろうか。