航空業界全体の旅客数が、2024年までにコロナ渦以前の水準を超えるとの予測をIATA 国際航空運送協会が発表している。漸次回復し、22年はアジアで7割近くに回復し、北米が米国内市場の力強さを背景に、他地域に先駆けて来年23年には全面回復するという。アジアが全面回復するのは25年にずれ込むそうだ。
航空旅客は2024年までに全面回復へ、北米を先頭に-IATA - Bloomberg
ただ足元、ロシアショックの影響も予想されるという。現実、ロシア上空の飛行を回避し、日本から欧州への飛行時間が延びるという影響もある。欧州に向かう便は、アラスカ上空から北極海を経て向かう「北回り」を使い、欧州からは「南回り」で中央アジアの上空を通り、偏西風に乗って日本に向かう。経済活動にも打撃があれば、旅客数にも影響があるのだろうか。
東南アジアでは、入国規制や隔離措置が解除される動きが相次ぎ、旅行者が戻り始めているとロイターが報じる。
アングル:持ち直し始めた東南アジア観光業、各国で「温度差」 | ロイター
それによると、3月下旬までに東南アジア方面への国際線予約件数は2019年の38%相当まで回復しているという。
予約増のけん引役はシンガポールとフィリピン。両国は現在、ワクチン接種済みの旅行者にはすぐ結果が分かる抗原検査を到着前に義務付けているだけだ。対照的にタイは複雑な規制手続きを今も課しているため、かつての世界の旅行先人気トップの座を明け渡してしまっている。(出所:ロイター)
ただ、東南アジアを訪れる旅行者の顔ぶれも変化しているという。
中国人は、厳格な移動制限措置で中国国内に閉じ込められたままで、かつて大勢訪れたロシア人も姿を消してしまったという。日本から訪れる旅行者もまだ極めて少ないそうだ。
タイでは外国人旅行者の4分の1が中国人だったというが、今年はマレーシアなど近隣東南アジア諸国からの入国が増えるという。ただこうした人々もまだ欧米までは足が向かないともいう。
インバウンド需要の回復はいつになるのだろうか。かつては円安になれば、外国人観光客がどっと押し寄せ、多少なりとも円高方向に貢献してくれたが、まだそれに期待するのも早いということであろうか。
失敗できない出口戦略 政府・地域・産業界のインバウンド再開 | トラベルジャーナル
コロナ渦から経済活動が完全に回復する前に、ロシアショックがやってきて、世界各国でインフレが進み、値上げラッシュが続いている。こうしたことを加味すれば、やはり航空需要の回復は24~25年というのが妥当な線なのだろうか。
「関連文書」
JAL、国際線燃油サーチャージを引き上げ 欧米往復7万円超え - TRAICY(トライシー)