Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

いつまでも解消されない不安、インフレ、物価高懸念、この冬の電力需給

 

 オミクロン株により経済活動が再び停滞するようなことがあるのだろうか。停滞が少し長引けば、世界で急激に進むインフレは少し落ち着くのだろうか。

 新型コロナもインフレも、あまり好ましいものではない。できれば、双方とも早期に解決ことが何よりなことなのだろう。

 

 

 つい先頃までは、「グリーンフレーション」ともいわれ、動き出した「脱炭素」もインフレに加担していることが指摘された。脱炭素を少しトーンダウンさせれば、いいのかもしれないが、やはり気候変動の問題からすれば、その対応を遅らすこともできない。

グリーンフレーション

「グリーンフレーション」、温室効果ガス削減への取り組みによって、石炭や石油などの化石燃料への設備投資が抑制され供給が逼迫し、価格が上昇した。

訂正ーコラム:当局悩ます「グリーンフレーション」 思わぬ円安のリスク=尾河眞樹氏 | ロイター

 この1年で原油価格はほぼ倍となり、天然ガスも、足元反落しているものの約75%上昇。これらが資源価格全般の上昇につながり、世界各国でインフレの火種となっているという。

 太陽光発電風力発電など再生可能エネルギーへのシフトが進めば、化石燃料の価格変動が物価に及ぼす影響は低下していくはずだが、移行期間においては、グリーン戦略がむしろ化石燃料の価格を大きく押し上げ、インフレを一段と加速させるリスクが高まっているとロイターは指摘する。

 

 

再エネの主力電源化

 第6次エネルギー基本計画では、30年度に電力供給の36-38%を太陽光や水力、風力などの再生可能エネルギーで賄う方針が示されている。この再エネの主力電源化に向けた「切り札」に洋上風力発電を位置付けられている。

脱炭素の本丸、電力業界で環境債本格化へ-再エネ投資70兆円必要とも - Bloomberg

 ブルームバーグによると、2050年までに必要な再エネへの設備投資額は少なくとも70兆円になるという。

 国内では20年代後半から洋上風力発電の導入が加速していくことが見込まれるそうだ。ただ、立地の制約条件や経済性の面から実現の難易度は高いとの懸念もあるという。

 グリーンフレーションの圧力から解放されるのはいつになるのだろうか。

脱原発

 ブルームバーグによると、再エネ促進と並行して、原子力発電所の再稼働させるのが合理的と、SMBC日興の浅野氏が指摘している。

原発再稼働やメンテナンスにかかる資金についても調達しやすい環境を整えることが脱炭素の推進には重要だ。(出所:ブルームバーグ

 足元の状況を鑑みれば、原発再稼働が必要に見えるが、現実、今の電力会社に原発を安全に運転できる能力はあるのだろうか。 

 

 

インフレの行方

 記録的な物価上昇が続く米国では、インフレをめぐる論戦が激しくなっているという。アメリカ議会下院で、財政政策を検証する公聴会を開かれ、イエレン財務長官が証言したそうだ。

米議会 インフレめぐる論戦激化 記録的な物価上昇続く | 米 バイデン大統領 | NHKニュース

 NHKによれば、野党 共和党は、バイデン政権による積極財政が需要を過剰に押し上げ、インフレを加速させたとする追及が相次いだという。

イエレン財務長官は「国民のポケットにお金を入れ、需要を高めたのは確かだが、小さな要因にすぎない」と述べ、インフレの最大の要因は新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーン=供給網の混乱だと反論しました。(出所:NHK

 過剰な需要も、サプライチェーンの混乱もどちらも影響しているのではなかろうか。コロナが落ち着くまでは、供給網の混乱は続くのだろうか。

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 政府が来年度2022年度の予算編成の基本方針を決定した。財政健全化よりもコロナ禍で傷んだ経済の再生を優先する姿勢を強調し、必要な財政支出は躊躇なく行うという。少々不安を感じたりもする。

 来週、国会が始まる。少しは明るい先行きが見通せるようになるのだろうか。

今冬も厳しい電力需給

 萩生田経済産業相が「無理のない範囲で効率的な電力の使用や省エネに協力いただきたい」と、記者会見で述べたという。

経産相「無理ない範囲で省エネを」 冬の電力不足対策: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、2022年1~2月、東京エリアで電力不足が予想されているという。このため、休止中の火力発電所を稼働させるといった対策を講じるそうだ。他の地域において、余裕が十分に確保されていないようだ。

 安心できることが増えずに、いつまでも不安が放置されているように感じてしまう。