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円安、カントリーリスクを再評価すれば、サプライチェーンを抜本的に見直すとき

 

 iPhoneなどのアップル製品の生産を九州に誘致するのはどうかと、日本経済新聞が低減する。台湾の半導体受託製造会社TSMC台湾積体電路製造の工場が熊本県で建設が始まり、足下の円安が理由という。

日本製iPhoneいかが 円安をハイテク誘致の好機に: 日本経済新聞

 日本は中国より米国に近く、しかも2021年のiPhoneの出荷台数(約2億4000万台)では、全体の3割以上を日米向けが占めると記事は指摘する。アップルにとって、委託先の工場が増えるが、供給網の短縮につながる利点はあるという。

TSMCの誘致が閣議決定された21年12月6日の為替レートは1ドル=113円だった。足元は1ドル=127円として、14円の円安はドルベースの投資額が抑えられ、悪い話ではないだろう。(出所:日本経済新聞

 円安が定着、このまま推移すれば、日本の物価は安く映り、その中には人件費も含まれる。

 

 

 まんざら悪くないのかもしれない。アップルの生産を担う台湾のODM 鴻海(ホンハイ)精密工業の代役が存在するのかという課題があるのだろう。また、希薄化した部品や素材産業の集積なども課題になりそうだ。ただ、現にアップルと取引を有する国内企業はそれなりに多数あるのだから、これら企業の連合体で対応できればいいのかもしれない。

 アップル製品の中で大物部品となる筐体や基板実装ができるようになれば、夢物語ではないのだろう。

 先進国でリセッション景気後退の可能性が指摘されている。外需だけに依存するだけでも厳しいそうだ。結局、コスト圧縮に努めざるを得ない。

 サプライチェーン見直しの機運が高まっているのだろうか。QCDなど様々な要素の検討が必要なのかもしれないが、将来にわたりどの国で何を生産するのが最も効率的か、カントリーリスクを含めて検証することが求められていそうだ。

 

 

 太陽インキ製造は、アップル向けの製品を手がけ、アップルからの要求に従い、その製造を100%再生可能エネルギーで賄っているという。太陽インキ製造の関連会社が太陽グリーンエナジーが国内で14ヵ所目となる水上太陽光発電所を開所したという。

ため池で1000世帯分を発電、Apple向け製造の太陽HDが14カ所目の水上太陽光:太陽光 - スマートジャパン

 スマートジャパンによれば、これにより、太陽グリーンエナジーによる年間想定発電量は約25GWhとなり、太陽ホールディングスのエレクトロニクス事業における電力消費量を上回る規模だという。

(写真:太陽ホールディングス)

 アップルと取引することは様々な要求事項があり、容易ではないが、それが誘因となって、設備投資を加速され、効率化が進み、またそればかりでなく、脱炭素にもいち早く貢献できるようになるのかもしれない。

 ハードルは高いかもしれないが、日本経済新聞の提言に従ってみれば、思わぬ副次効果もあるのだろう。

 

「参考文書」

【太陽グリーンエナジー】兵庫県に1ヵ所、新たな水上太陽光発電所を開所|太陽ホールディングス株式会社