Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

伝わらぬ情報、引き裂かれる親子、情報戦をまだ制しきれないウクライナなのか

 

「ロシアにいる母は侵攻を信じない」、ポーランドへの避難民したウクライナ北東部スムイ出身の女性がロイターの取材に、そう話したという。

ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日、ロシアに住む母親に電話をかけたが、母親はダリアさんの言うことを信じなかったという。(出所:ロイター)

 

 

SNSウクライナは勝利したのだろうか

 ウクライナはネット上の情報戦に勝利したという。「勝っている」のではなく、勝利という。

SNS情報戦「ウクライナ勝利」 戦略家が語るプーチン氏の「崩壊」 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

 確かにSNS上での戦いには勝ったのかもしれない。しかし、ロイターが伝えるように親子の仲を裂き、母親は娘を信じていないのなら、それが勝利なのだろうか。

彼が望んでいたのは迅速かつ簡単に勝利し、ウクライナや世界にとって既成事実とすることでした。そのためには、ウクライナ国内の緊急事態に対応するロシア軍が邪悪な政権に対抗してウクライナ人を救いに来たという姿を描くこと、さらに、それを迅速かつ圧倒的に成し遂げること、その二つがロシアにとって必要でした。その両方が崩壊したのです。(出所:朝日新聞

 プーチン大統領の野望は思い通りに進まず、ウクライナでのプロパガンダには負けたのかもしれないが、ロシア国民を洗脳したままではないのか。その意味では、まだウクライナは勝利をあげていないように感じる。

内部粛清

 首都キエフ攻略などが思惑通りに進まない中、プーチン政権が内部粛清を始めたと毎日新聞が伝える。

「露情報機関幹部を軟禁」報道 プーチン政権、内部粛清開始か | 毎日新聞

ロシアの独立系メディアは11日、情報・治安機関の露連邦保安庁FSB)の対外諜報部門のトップらが自宅軟禁に置かれた可能性があると報じた。(出所:毎日新聞

 記事によれば、FSBの「第5局」は、侵攻直前にウクライナの政治状況をプーチン大統領に伝える役割を担っていたとみられるという。しかし、「第5局は指導者を怒らせるのを恐れ、プーチン大統領が聞きたいことだけを報告していた」という。

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 都合の良い情報だけが流され、そこから真実が生まれ、それを信じて突き進む。しかし、現実は違うところにあり、その乖離は大きい。

 真実は人が信じることで生じ、現実にある世界は信じた真実とは異なることがあるということなのだろう。

 

 

国威発揚

 ロシアでは今、バス停から道路標識、ベビーカーまで、さまざまな場所に「Z」の文字が現れ、ロシア政府がウクライナでの「特別軍事作戦」と呼ぶ戦いへの支持を発揚するためのキャンペーンを始めたという。

アングル:ロシア全土に「Z」マーク、ウクライナ侵攻で国威発揚 | ロイター

「わが軍と大統領の決断に対する支持の象徴であり、この難局に際して結束を呼びかけるものだ」。

「Z」キャンペーンと、ロシアのウクライナでの戦闘を国民がどの程度支持しているかを把握するのは難しい。ただ、政府系の調査機関VTsIOMが2月28日に公表した調査結果では、国民の約70%がウクライナでの「特別軍事作戦」を支持すると答えている。(出所:ロイター)

一方、ウクライナのレズニコフ国防相ツイッターで、「Z」のマークはナチスの記号だと表現したという。

 情報戦、プロパガンダ合戦、ウクライナが一気呵成に攻め続け、西側諸国の世論の支持を得たのだろう。しかし、未だロシア国内の世論を動かすにはまだ至っていそうにない。ロシアがまだ必死に防戦しているというところだろうか。