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まだまだ続くのか円安、そして値上げラッシュ、見えない金融緩和の出口

 

 日本銀行の黒田総裁が13日、「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」との見解を信託大会でのあいさつで示したという。コロナ禍からの回復途上にある経済活動を「しっかりと支える」という。

黒田日銀総裁、現在の強力な緩和を粘り強く続ける-経済支える - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指すと改めて表明したそうだ。この発言を受け、円安が進み一時、126円を超えたという。

 

 

 ロイターによれば、黒田総裁は「足元でみられる輸入コストの上昇に起因する物価上昇は、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて日本経済の下押し要因になる」と述べたというが、景気の現状については「感染症の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している」としたという。

コロナ禍から回復途上の経済、緩和継続でしっかり支える=日銀総裁 | ロイター

 3月調査の日銀短観では業況感が悪化したが「企業収益と設備投資の増加基調は続いていることが確認できた」と述べたといい、消費者物価は当面、エネルギー価格の大幅上昇などで前年比でのプラス幅をはっきりと拡大すると指摘、「マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなど背景に、基調的な物価上昇圧力は高まっていく」とも指摘したそうだ。

 あくまで、物価目標にこだわり、その実現には金融緩和を続ける姿勢に変化はないということであろうか。黒田総裁の任期が終わらければ、金融緩和の出口論の議論もないということであろうか。

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 一方、日銀の前総裁の白川氏が時事通信のインタビューで、「今問われているのは物価上昇の原因である供給面のショックが一時的でない可能性をどう考えるかだ。供給力の低下が続くのであれば、金融政策はそれを前提に運営する必要がある」と述べたという。

 

 

 原材料高による最近の物価上昇が一時的なのか、世界的な低インフレからの大きな転換なのか、「難しい問いだ」と白川氏は語ったという。

2%物価、機械的追求は不適当 円安「良い」「悪い」に違和感―白川前日銀総裁インタビュー:時事ドットコム

低インフレの背景となってきた経済のグローバル化が、地政学リスクやポピュリズム大衆迎合主義)による保護主義の高まりなどから後退すれば、物価の局面が変化する可能性は否定しきれないと説明。半面、「現時点でグローバル化が逆回転に向かったと言う自信もない」との見方を示した。(出所:JIJI.COM)

 ウクライナ危機など地政学リスクが高まり、それが長期にわたっていくのではないかと思われるが、まだそう判断するの時期尚早なのだろうか。低下する供給力への対応を企業が進めるべきなのだろうが、準備は進んでいるのだろうか。

 また、大規模緩和を修正する日銀の「出口論」については、「必要な局面で混乱なく移行できるかが問題の本質だ」と指摘し、「端的に言えば、金利上昇で利払いが増える財政の持続可能性への備えこそ最大の出口論」と強調したという。

 明快な解がなく、堂々巡りに陥りそうな気もするが、国の財政の持続可能性への備えこそが最大の出口論は正論のように聞こえる。国の改革なくして、日本の再浮上もないように思えてならない。

 

「参考文書」

ETFで身動きとれない日銀の姿、世界で最も大胆な政策実験の末路か - Bloomberg

円相場 1ドル=126円台まで値下がり 約20年ぶりの円安水準に | NHK | 株価・為替