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品薄となる家電、調達難で業績悪化するバルミューダ、逆風をものともせず成長するテスラ

 

 中国のゼロコロナ政策によって、サプライチェーンがさらに混乱しているといいます。半導体不足も未だに解決されず、色々な商品の品薄が深刻のようです。

「販売できない…」家電・家具など一部品薄に“上海ロックダウン”の影響深刻 日本の損失「月1000億」試算も | TBS NEWS DIG

 TBSによれば、無印良品では、棚やテーブル・ソファなど、約40品目が販売停止になっているといいます。また、家電においても、調理家電に、エアコン、洗濯機などが品薄になっているそうです。

 中国頼りが鮮明になっているということでしょうか。企業業績や日本経済が中国によって左右され続けるのは如何なものでしょうか。少々疑問に感じます。ここ最近では、経済の安全保障が説かれるようになっています。その意味がよくわかります。

 

 

 バルミューダフォンを展開するユニークな家電メーカのバルミューダは、円安で業績が悪化したといいます。売上高は前年より10.5%増加しましたが、営業利益は62.0%も減少したそうです。

バルミューダ、原価率上昇、部品調達難で大幅減益--「ピンチをチャンスに変える取り組みを」 - CNET Japan

 バルミューダの寺尾社長はこの状況を以下のように説明したといいます。

「原因はシンプルで明確」と前置きし、「円安やサプライチェーンの混乱により、製品原価率が上昇。各部品の調達難が発生し、良くない状況が続いている。設計変更などにより、商品出荷を止めずにきており、設計変更はコストダウンにつながることもある」などと説明。ピンチをチャンスに変える取り組みを進めていることを強調した。(出所:c/net Japan)

「原価の高止まりし、輸送費高騰の影響も受けている。さまざまな形で、継続的に、原価低減活動をしていかなくてはならない」。

 寺尾社長は、「対策の1つに、商品そのものの再設計がある」と説明したといいます。入手難で高価になった部品をより廉価部品に置き換えると同時に、部品の集約化、パッケージ化してのコスト低減を進めるというところでしょうか。

「円安はバルミューダにとっては悪化方向に進む」とも述べたそうです。

 ファブレスで生産工場を海外におき、外貨取引で輸入しているのであれば、円安は身に応えるのでしょう。円安の上昇率をコストダウンでカバーすることは相当な努力を要するはずです。

 

 

 バルミューダとテスラを比較することは酷なことかもしれませんが、EV電気自動車の米テスラの22年1-3月(第1四半期)の決算は、利益と売上高が市場予想を上回ったといいます。イーロン・マスクCEOは、サプライチェーンの問題が続いても生産が年内に加速すると見通しを示したといいます。

テスラ、1-3月期は市場予想上回る過去最高益-株価上昇 - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、利益率の高い車種の販売増加や経費削減が寄与し、テスラの自動車事業の粗利益率は32.9%に改善したといいます。

 

 

 また、テスラは、「サプライチェーンを重視し、材料が入手困難になる状況からできるだけ距離を置く意思と戦略」を業績発表の資料で示したといいます。

テスラの奇策、既に半数がニッケルを使わない電池の搭載車 | 日経クロステック(xTECH)

 そして、ニッケルやコバルトを含まないLFP リン酸鉄リチウムバッテリーをテスラ車の半数に搭載するに至ったといったそうです。

 ニッケルやコバルトを使わない LFPバッテリーは、現下の国際情勢からすれば、調達面で有利ですが、性能面では充電1回当たりの航続距離を長く取れないといわれ、難があるというのが常識だったといいます。その障壁を難なく乗り越え、競争力ある供給網を作り上げていることに驚くばかりです。テスラの強みはソフトとか色々言われますが、こうしたことこそ真の強みなのかもしれません。

 バルミューダも国内メーカとして、テスラをベストプラクティスとし、それに近づいていって欲しい、そう願わずにはいられません。

 

「参考文書」

トヨタやソニーなど世界の180社余りに影響-中国「ゼロコロナ」政策 - Bloomberg

寺尾社長「BALMUDA Phoneはネバーギブアップで継続改善」 バルミューダ決算 - ITmedia Mobile