Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

テスラが披露したヒト型ロボットは、人手不足の解消に役立つようになるのか

 

 「人の為すことには全て潮時というものがある。上手く満潮に捉えれば成功するが、潮時を捉え損なうと、人間一生の航海は不幸と最悪の浅瀬に閉じ込められてしまう。今ちょうどそうした満潮の海に我々は浮かんでいる。まさに潮時が自分に有利であるときにそれを捉えるか、でなければ投棄もなしに無くしてしまうだけのことだ」、シェークスピアの言葉に、こうあります。

 潮の満ち引きがあるように、人間社会もまた同様であるということなのでしょう。ここ最近、様々な潮目が変わってきているように感じます。

 

 

 米テスラが、ヒト型2足歩行ロボット「Optimus」のプロトタイプ機を、「AI Day」で披露したといいます。試作したオプティマスの身長は170cm程度で、体重は73kg、EVの運転支援システムで使うAIや半導体などの部品を活用しているといいます。

テスラCEO、ヒト型ロボット披露 将来価格290万円未満: 日本経済新聞

人体の構造を模した手足の関節を持ち、荷物の運搬などの作業をこなすことができるそうです。手は指の関節が独立して稼働し、親指も2つの自由度を持つといいます。物を持って移動したり、人間用の道具を使うこともできるそうです。そのパワーはグランドピアノを持ち上げるほどとともいいます。

 このイベント「AI Day」で、イーロン・マスク氏は、安価なロボットの供給は「文明にとって根本的な変革になる」と強調したそうです。その上で「豊かで貧困のない未来」の実現をテスラの新たなパーパス「存在意義」に加えるこを示したといいます。

 マスク氏は、世界の出生率の低下傾向に危機感を示し、人口減が人類にとって最大のリスクになると指摘していました。

 こうしたテスラの取り組みが労働力不足解消の新たな潮流となり、これによって技術開発が加速していくことになるのでしょうか。

 

 

 国内のスタートアップの資金調達環境に厳しくなってきているといいます。

 日本経済新聞社が国内の主要なVC ベンチャーキャピタルを調査したところ、全体の7割が目先のファンド組成が「難しくなる」と答えたといいます。

国内ベンチャーキャピタル、ファンド作り「困難に」7割: 日本経済新聞

世界的な利上げに伴う株式市場の下落を背景に「機関投資家はリスクの高いVCファンドへの出資を絞り始めた」(金融系VC)との見方が多い。景況感が悪化するなか、主要な出し手である事業会社も「財布のひもが固くなる可能性が高い」(独立系VC)との声も出ている。(出所:日本経済新聞

 ネット企業が大型IPOを次々と成功させ、VCの業績も拡大していましたが、市場環境が激変し、成功モデルが通用しにくくなりつつあると記事は指摘します。

 環境が変化するなかで、投資を強化したい分野も変化し、これまで首位だった「法人向けのネットサービス・SaaS」が人気を落とし、「環境・エネルギー」が首位に踊り出たといいます。次世代インターネットとして期待される「Web3、NFT(非代替性トークン)」がこれに続いているそうです。

 VCに先見の明があり、その眼力でスタートアップ支援を効率的に、効果的に行なうことができればよいのですが、現実は必ずしもそうではないということでしょうか。

 

 

 日銀短観で、大企業製造業の業況判断指数(DI)が3期連続で悪化したそうです。

 円安は日本経済の追い風といわれていましたが、潮目が変わり、今ではその恩恵を享受できずに、副作用がプラスの効果を上回り、GDP 国内総生産を押し下げる要因になっているといいます。

日銀短観 企業の5年後の物価見通し 初の+2%に 賃上げが焦点 | NHK

 また、企業の人手不足感が強まっていることが示されたそうです。

 流行り廃りに押し流されるのではなく、時代の移ろいを敏感に感じとり、そこで求められる課題をいち早く察知できるようになれば、日本がこんなにもいつまでも低迷にあえぐことはないのかもしれません。そうしたセンスを磨くことが今求められていそうです。

 

「参考文書」

Tesla、人型ロボットのプロトタイプ公開 「2万ドル以下で売りたい」とマスク氏 - ITmedia NEWS

大企業製造業、円安効果薄く 日銀短観で3期連続悪化: 日本経済新聞