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日本製鉄とトヨタの仁義なき場外戦、和解はなるのか、それとも徹底抗戦のはじまりなのか

 

 日本製鉄がトヨタ自動車を提訴した案件が場外でももめているのだろうか。

 鉄鋼連盟会長の立場として「相手が認めないのであれば、提訴以外ない。まったく迷いはなかった。社長として合理的に判断した」と発言したことにトヨタが疑問を呈しているという。

トヨタ、日本製鉄からの提訴に「トップへ一言あってもよかった」 | 毎日新聞

 JIJI.COMによれば、トヨタ自動車の長田准執行役員が「あんなところ(鉄連会長会見)でやるのかな、と率直にびっくりしている」と強調し、提訴後も「場外」で発言を続ける日鉄側の姿勢に不快感を示したそうだ。

 「トップからトップへ一言あってもいいのではないか」

 長田執行役員が報道各社とのオンライン懇談会で、豊田社長の考えを伝える形でこう発言したという。

「提訴前に日鉄の橋本英二社長から豊田章男社長に「仁義」を切るトップ同士のプロセスがなかった」との主張だと毎日新聞が解説する。

 

 

「仁義」、この業界の交渉でよく聞く言葉だ。

 トヨタがこういうことをいうようであれば、日鉄がこれまでの慣習を破ったということであろうか。宝山の電磁鋼板採用について、筋を通したはずとでも、トヨタはいいたいのだろうか。

 推論の域を脱しないが、その筋論を日鉄側は理解できても、承服しかねたということなのかもしれない。理屈はあっても、トヨタの行為が脅迫まがいなことと感じてしまったのだろうか。そうなれば、「仁義」を守れないということであろうか。

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 大企業であれば、いかなる取引において、法令遵守コンプライアンスは避けえない。独禁法、下請法など遵守すべき法令に沿った行動が常に調達部門には求められる。

 優越的立場を濫用できないし、買い叩きなどは禁じ手中の禁じ手だ。

 メーカとしてより競争力ある価格で購入しようと思えば、相見積もりに頼らざるを得ない。A社よりB社がより競争力のある価格を提示すれば、当然B社が採用され、A社は失注する。供給能力などの懸念があれば、複数社購買となり、その価格見合いで発注比率が設定されるのだろう。

 そんな流れが想定できるが、その中では特許のやり取りもあったのだろう。指摘があれば、メーカ側も当然確認に動く。先方の主張を聞いたうえで、確認行為が進められ、知財、法務の部署も巻き込んで確認作業が進められるのだろう。

 そうした話し合いが繰り返され、担当者間で合意に至らなければ、エスカレーションされ、より上位の階層に判断が委ねられる。交渉相手がより上位の人になれば、受け手側もそれに見合う人が交渉に加わることになるのだろう。日本企業の判断の遅い所以でもあるが、エスカレーションの方法を間違えれば、ムダに時間を費やすことになるのかもしれない。早くからトップ交渉に移行しておけば、いざこざにならずに済んだのかもしれない。

 

 

中国でEVを売るためなら…トヨタと日本製鉄の「鉄の結束」を壊した自動車業界の大変化 生き残るための「苦渋の選択」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

日鉄は世界の自動車向け電磁鋼板の需要は25年度に17年度比で7倍程度に増えるとみている。宝山の電磁鋼板は、海外の自動車会社でも採用が続いているとみられ、鉄鋼業界にとって主戦場となる電動化分野で覇権を取るには、宝山の動きを止める必要がある。 (出所:プレジデント)

 こう読むのは自然なのかもしれない。そうであれば、トヨタを巻き込まずに、宝山だけを提訴でもよかったのではなかろうか。宝山を提訴して、トヨタとは話し合いの場を持つというのが筋のように思われる。それでもトヨタを提訴に巻き込むには、筋論で語れないやむに已まれない事情があるのだろう。

 まずは、日鉄が申し立てた、対象となる電磁鋼板を利用したHVなどの国内での製造・販売差し止めを求める仮処分の決定がどうなるかによるのだろうか。

 どういう結果になろうとも、どちらかが即時抗告することになるのだろう。裁判所の決定が下されることが話し合いのきっかけになるのかもしれない。和解なのか、それとも徹底抗戦、どちらになるのだろうか。