Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

一時的にせよ静寂をとり戻した株式市場とゾンビ企業の末路

 

 日経平均が3万円を回復した。中国恒大集団への懸念が後退したといわれる。

 週末近くなると、様々な情報が流れ、それがニュースになる。中国の銀行規制当局などが、暗号資産(仮想通貨)の取引と採掘(マイニング)を全面的に禁止すると発表し、また、中国恒大については23日期限のオフショア債の利払いがされていなかったとの報道もあった。

 今度は、中国恒大傘下のEV電気自動車の開発を手掛ける中国恒大新能源汽車集団が、資金注入がなければ資金繰りが破綻すると警告したそうだ。

中国恒大集団のEV部門、資金繰りショートを警告 当局は沈黙 | ロイター

 恒大集団グループの他事業部門でも流動性危機が悪化していることが明らかになったとロイターはいう。

「現段階では誰も大きなリスクを取りたがらないため、不気味な静寂が続いている」とロイターが指摘する。的を得た表現なのだろうか。

 米国株価は24日、ダウもS&Pも小幅続伸したという。

 

 

 ブルームバーグによれば、世界の実業界では「ゾンビ」企業が増加、その中でも不動産業界の比率が最大となっているそうだ。

債務支払い不能な「ゾンビ」企業が増加、不動産筆頭-カーニー調査 - Bloomberg

ゾンビ企業」とは、OECD経済協力開発機構によれば、創業10年以上で、営業収入による利払いが3年連続でできていない企業をさすらしい。

 ゾンビ企業は過去10年に世界で9%拡大したそうだ。

ゾンビ企業は前回の金融危機以降に増えてきたが、新型コロナウイルス禍がこの流れに拍車をかけた可能性が高いようだ。経済活動が停止された際に、持続不可能な規模の債務を抱え、その支払い免除を模索する企業が増えている。 (出所:ブルームバーグ

 緩和的な金融政策で債務の繰り延べが可能になった影響と言われている。

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中国政府、恒大の銀行口座を監督-住宅プロジェクトの完工確保で - Bloomberg

 中国恒大が資金を債権者への支払いに回すことなく、未完成の住宅プロジェクトの完工を優先させるよう、同集団の銀行口座を当局が管理強化しているという。

 新築物件が滞りなく引き渡しができれば、購入者の不安、不満を弱らぐのだろうか。

 

 

 その中国恒大集団にとって23日はオフショア債の利払い日にあたる。しかし、その利払いを受けていない債権保有者がいるとロイターが報じた。

 30日間の猶予期間内に利払いが行われないとデフォルト 債務不履行にとなるという。既に、その猶予期間に入ったそうだ。

中国恒大の一部オフショア債保有者、米国時間23日期限までに利払い受けず=関係筋 | ロイター

中国政府から見れば、オフショア債保有者は総じて西側の機関であるため、扱いが異なっても正当化できる

中国恒大のドル建て債では、来週も4750万ドルの利払いが予定されている。

ドル建て債の利払いに関して沈黙を保っていることは、国内投資家への対応との違いを浮き彫りにしている。同社は今週、国内債券に対する利払いを行った。 (出所:ロイター)

 今までは中国の企業が金の卵かのように注目されていた。その熱狂も静かに幕を閉じようとしているのだろうか。中国当局が規制を強めたことで、見える景色が少し変化してきたのかもしれない。当局も規制を強化しても、必要以上に混乱を生じさせたくはない。ただ、未来はバラ色ではないと、その業界とそれにかかわる人々にメッセージを残せれば十分なのかもしれない。

 中国における成長分野が変わったのだろうか。こうした中国の変化は直接間接を問わず、世界にどんな影響を及ぼしているのか。

 週明け、また何か動きはあるのだろうか。しばらくは模様眺めが続きそうだ。