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動く株価、意識される中国不動産開発の債務危機

 

 ビットコインが下落し、一時4万3000ドル割れになったという。中国恒大を巡る懸念が波及したとブルームバーグはいう。

ビットコイン下落、一時4万3000ドル割れ-中国恒大を巡る懸念が波及 - Bloomberg

中国恒大を巡る現在進行中の状況がすでに伝統的市場に混乱をもたらしているが、これが仮想通貨急落の背景にもあるとの声が出ている (出所:ブルームバーグ

 米国の株式市場も急落している。中国の不動産開発大手、恒大集団の株価が香港市場で一時2割近く下げ、ハンセン指数も3.3%安。欧州株も大幅に下げた。

 日本経済新聞によれば、中国の金融や不動産市場の混乱が海外にも波及する可能性が意識されたという。

 

 

 中国恒大集団、住宅、マンションを中心とする不動産デベロッパー。大規模な都市開発プロジェクトを進めてきたという。

 東洋経済オンラインによれば、少ない資本で借金を膨らませる高レバレッジ自転車操業状態を前提とした急激な業容拡大が注目されたという。例えば、理財商品(高利回り短期の投資信託のような商品)を使った資金調達もしていたが、それを開発プロジェクトには使わず運転資金に流用していたとの噂があったりしたそうだ。

中国恒大集団はリーマンショックの再来を招くか | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 恒大集団の動きから中国の景気減速が意識され、世界景気の回復鈍化につながりかねないとの見方が広がるようだ。

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 アナリストたちの声をブルームバーグが紹介する。

習主席が計算ミス犯すリスク、不動産規制で-市場は慌てて織り込みに - Bloomberg

「中国恒大の問題が経済に「重大な影響」を及ぼすのをどのように阻止しようとしているのか、当局は「より明確なメッセージ」を送る必要がある」、「過度な引き締めを行うという政策ミスを犯す可能性」、「大半の人は中国恒大が突然破綻するとは考えていないが、政策当局が沈黙し、主立った行動を取っていないため、皆がパニックに陥っている」、「中国当局はセンチメントを落ち着かせるため、少なくとも口頭での何らかの支援を近く行うものと、私は予想している」。

「中国恒大の問題が長引く中で、政策が変わることはないと中国当局が主張し続ければ、当局が受け入れ可能な範囲以上の脆弱さを引き起こす恐れがある」

 中国当局がこの問題にメッセージを発しないことへの苛立ちが目立ち始めたのだろうか。

 

 

「グローバル金融市場は中国の動向に対し基本的には鈍感でありながら、いったん懸念し始めると過度に「悲観的」に振れる傾向がある」と東洋経済オンラインが指摘する。

結論から言えば、この企業そのものはなくなっても、資産負債の整理を行って、金融システムへの波及や不動産市場の暴落といった事態は避けるだろう。秩序立った債務再編と企業再編を進めるということだ。保有不動産が強制売却されたり、それによって不動産市況が悪化することは起きても、局所的、限定的とみている。結局、中国の国内問題として処理され、国際市場に波及するリスクは小さい。 (出所:東洋経済オンライン)

 株式市場がリスクを意識し始めたのだろうか。

「習主席が中国経済を損なうことなく不動産市場の行き過ぎを抑制しようとする中で計算ミスを犯すリスクを慌てて織り込みに動いた」とブルームバーグは言う。

 株式市場の論理ではなく、「共同富裕」を標榜する中国当局が不動産市場の適正化を過度に優先することはないのだろうか。中国当局の動きが気になる。