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深刻化する中国の電力不足と、政府と蜜月になったアリババ

 

 日本ばかりでなく、中国も課題が多い国のようだ。

 電力不足が深刻のようで、中国国家能源局が、冬場にエネルギーの十分な供給を確保するため、石炭・天然ガス会社に生産を拡大するよう要請したという。

中国、エネルギー会社に生産拡大要請 冬場の供給確保へ | ロイター

 また、中国国内の電力網の75%を運営する国有の送電会社国家電網は、電力不足を解消する総合的な対策を導入すると表明したそうだ。

 ロイターによれば、中国東部と南部の主要産業地域では、電力不足が悪化し数週間前からメーカーの生産が制限されているほか、北東部の一部の一般世帯にも影響が広がり始めているという。さすがに一般世帯への影響は阻止したいということなのだろうか。

 

 

 中国政府が昨年、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ、2060年までには実質ゼロとすると発表した。

 しかし、安定した運用を維持するという観点では、電力網に接続できる再生可能エネルギー発電所の数は、すでに上限に達し、太陽光発電所や風力発電所の新設では済まないという。 

アングル:脱炭素目指す中国、鍵は「世界最大規模」電力網の刷新 | ロイター

こうした「グリーンエネルギー」を遠隔地の消費者へ送電するシステムを刷新するには、新規の発電所建設に比べて5倍のコストが必要になる可能性がある。テクノロジーの急速な進歩も必要だ。 (出所:ロイター)

 ならば目先は石炭や天然ガスの活用ということのだろうか。

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 中国国家発展改革委員会は8月、エネルギー消費が多く、二酸化炭素の排出量が大きい事業を抑制すると発表した。

 ロイターによれば、広東省広西チワン族自治区雲南省江蘇省など9つの省・地域で今年上期のエネルギー消費が前年比で増加し、エネルギー消費が非常に厳しい状況と説明していた。

 こうした措置があるにもかかわらず、電力が不足するということは、規制だけでは追いつかなくなっているほどにエネルギー消費が伸長しているのだろうか。それとも、産業を抑制過ぎたことによる弊害を看過できなくなったのか。経済が想定以上に減速してしまう恐れでもあるのだろうか。

 

 

その上、中国恒大集団の余波の懸念も出てきているようだ。

中国不動産開発会社の資金繰り難が拡大、融創中国が支援要請 - Bloomberg

中国の不動産市場低迷の影響が拡大し、香港上場の不動産開発会社、融創中国が流動性問題に直面している。同社はプロジェクトの一つが現地当局の不動産投資抑制策の影響で販売が振るわず、浙江省紹興市の当局に支援を要請した。 (出所:ブルームバーグ

 中央政府が業界のレバレッジ圧縮と住宅市場の過熱冷却に取り組む中で、大手の中国恒大集団が危機に陥っているが、同社の運命にかかわらず、中国の住宅価格は「大きな下振れ」リスクを抱えているとブルームバーグは指摘する。

 恒大を発端とした影響が大きく広がることもあまり好ましい事態とはいえないのだろう。

 一方、アリババなど中国の大手ハイテク企業首脳が、政府が毎年主催する世界インターネット大会で、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」の理念を支持し、中小企業の支援を進めると約束したという。政府とすっかり蜜月ということであろうか。

アリババなど中国ハイテク企業が「共同富裕」支持、世界ネット大会 | ロイター

アリババ・グループ最高経営責任者(CEO)のダニエル・チャン(張勇)氏は、同社が独自に打ち出した150億ドル規模の共同富裕促進計画が「着実に進展している」と説明。自活の道を教えるという意味で、貧しい地域に暮らす才能のある人々を援助することが大事だと強調した。 (出所:ロイター)

 こちらの方は順調なのだろうか。

 

 

 中国はかつての成長最優先の政策から転じ、IT大手による支配や、貧富の差の拡大など、放縦な資本主義の手綱を締めようとしていると日本経済新聞が指摘する。

[FT]世界経済のけん引役から外れる中国(社説): 日本経済新聞

それも理解できなくはない。例えば、アルミニウムの減産は政府が環境対策を強化した結果とされる。だが、中国の方針転換は、中国が世界経済にとって、08年の金融危機後のような成長エンジンにはならないことを意味する。世界は今、中国に代わる景気けん引役を探す必要に迫られている。  (出所:日本経済新聞

「二兎を追う者は一兎をも得ず」という。何から何まで追い求めても、それらすべてがうまくいくとは限らない。何か焦りが出てきているのだろうか。