高級ブランドやサービスを提供する世界80社で構成する株価指数「S&Pグローバルラグジュアリー指数」が約5カ月ぶりの低水準に落ち込んだといいます。
中国の習近平国家主席が貧富の差を縮小を示す「共同富裕」を提唱し、高級ブランドの中国事業の先行きに不透明感が生まれたのがきっかけだと日本経済新聞は説明します。
欧州の高級ブランド品は中国富裕層の拡大に伴って事業を拡大し、株価も上昇してきた。例えば仏エルメスは10年前から株価が約5倍に膨らんだ。 (出所:日本経済新聞)
エルメスやLVMH、バーバリーなど高級ブランドの株価回復はあるのでしょうか。中国の意志がこの先、世界経済にどんな影響を及ぼしていくのか気になります。
習近平主席による「共同富裕」への言及が今年に入ってから急増しているとそうです。
ブルームバーグによれば、大きく広がった貧富の差の縮小を目指す中国共産党のコミットメントを示唆する動きだといいます。
共同富裕との文言は、習指導部発足後の最初の8年間に散発的にみられたが、昨年からより頻繁に言及するようになり、ペースに弾みがついている。習主席は昨年の演説と会合で共同富裕に30回触れたが、今年はこれまでに既に65回言及している。 (出所:ブルームバーグ)
米ジョージア州立大学のマリア・レプニコワ氏は、スローガン作りは習主席の意図の強さを示唆していると分析し、「スローガンは新たな政策の方向性や変化を捉えるものであることが多く、政策がどのように変化しつつあるか示唆し得る」と述べ、「それらは幅広いことが多く、解釈のあいまいさと調整の余地をいくらか残している」と指摘したといいます。しかい、それは自分たちに都合のよい希望的観測が含まれているような気がしてなりません。
「交通事故をなくそう」とのスローガンはその方向に向かうことを示唆し、曖昧さはないはずです。
「中国当局が民間企業への締め付けをどこまで進めるのかを巡り懸念が根強く、割安株の物色が後退している」とブルームバーグが報じます。
疑心暗鬼、まだ中国のテック企業が「金の卵」に戻るのか、自信を持てないのでしょうか。
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、企業によるユーザーデータの取り扱い方法により厳しい規則を定めた法案を可決したといいます。
TechCrunchによると、レコメンドエンジンのような「パーソナライズされた意思決定」のためのアルゴリズムを使用する事業者は、まずユーザーの同意を得るよう求められるといいます。
パーソナライズはユーザーの選択の結果であり、真のパーソナライズされたレコメンデーションは、強制することなくユーザーの選択の自由を確保しなければならない。したがって、ユーザーにはパーソナライズされたレコメンデーション機能を利用しない権利が与えられなければならない。 (出所:TechCrunch)
「中国以外の国でも、アルゴリズムによるターゲティングに対する懸念は高まっている」とTechCrunchはいい、欧州でも、議員や規制当局が行動ターゲティング広告の規制強化を求めているといいます。
特に、中国が極端におかしなことをやろうとしているわけではないように解釈できます。個人的にはレコメンデーション機能は迷惑なものと感じています。
驚きのニュースが流れました。中国の深圳証券取引所は、EV電気自動車メーカーのBYD(比亜迪)の半導体部門の新規株式公開IPO申請について、審査を一時停止したと発表したといいます。
ブルームバーグによれば、今回の動きが中国政府の本土企業に対する締め付け強化に関連しているかどうか今のところ明らかではないといい、BYDにとっては打撃となると指摘します。BYDの株は最近、半導体部門のスピンオフ決定を受けて上昇基調にあったといいます。
国策の脱炭素と半導体強化にも資するBYDも標的になったのでしょうか。脱炭素と半導体強化よりも、「共同富裕」が優先されているということなのでしょうか。