「欧州EV革命、大量解雇の恐れ 抗議活動も」とロイターがいう。
ロイターによれば、自動車産業はEUの労働人口の約7%に相当する1460万人の雇用を直接、間接に生み出しているが、大量の解雇が行われる恐れがあるという。
焦点:欧州EV革命、大量解雇の恐れ 抗議活動も | ロイター
労組は2工場の従業員3700人のうち、最大で半分が最終的に職を失う可能性があるとみている。
ドイツ全体では数千人のレイオフが実施される見通し。もっともボッシュの広報担当者は「できる限り社会的に受け入れ可能な」方法で行うだろうと述べた。広報担当者は、ディーゼル車用のパワートレイン・システムの製造にはEV用の10倍の労働者が必要だ、とも説明した。 (出所:ロイター)
いつの時代でも、新たなモノが誕生すれば、古いモノを駆逐し、その職業を消滅することさえあったのだろう。自動車が誕生し、それまでの馬車に関連した産業が衰退していったように。ただEVシフトは、自動車産業内の話。法規制によって、その流れが作られている。目標となる年度までに、その理想は実現できるのだろうか。
電気自動車、BEVだけでは、2050年に運輸部門のカーボンニュートラルを達成することは不可能とみられていると指摘するは日経XTECH。
カーボンニュートラル燃料、「グリーン水素」「グリーンアンモニア」「合成燃料(e-fuel)」「バイオ燃料」などに注目があつまるという。
e-fuelは内燃機関を救えるか? ポルシェやBMWの本音 | 日経クロステック(xTECH)
CN燃料が普及すれば、既存のエンジンはカーボンニュートラルなパワートレーンの1つとして生き残る。
ガソリン相当のCN液体燃料40Lのエネルギー密度は、米Tesla(テスラ)「モデル3」の約60倍に達する。移動体のエネルギーとして、これほど利便性の高いものはない。 (出所:日経XTECH)
さらに記事は、VWグループのドイツPorsche(ポルシェ)やBMWが「e-fuel」に熱心といい、フランスRenault(ルノー)もCN燃料プロジェクトを強化すると指摘する。
そのポルシェはシーメンスエナジーとともに、チリのプンタアレナスにeーfuelのプラントを建設し、来年2022年には34,300ガロン(130,000リットル)以上のeーfuelを生産する。
日経XTECHによれば、チリの安価な再エネ由来電力とシーメンスエナジーの技術を使って水電解し、グリーン水素を生成、それと大気や工場から回収したCO2を合成してe-methanol(メタノール)を合成し、エクソンモービルの技術を利用し、eガソリンを製造するという。主成分はエンジンのノッキング(異常燃焼)に強いオクタン価100のイソオクタン(C8H18)とみられ、非常に使いやすいe-fuelになるそうだ。
電力がすべて自然エネルギーで発電され、いつでもどこでも充電ができ、しかもそれがガソリンを給油するのと変わらない時間でできる。それがEVにとっての理想的な環境なのだろう。それが整って自動車のゼミエミッションの目的が達成できる。その目標とする2035年に、現実社会はどこまで近づくことができるのだろうか。
EUがていねいに、そして粘り強く政策を進めていけば、目標は達成できるのかもしれない。しかし、他の国ではどうであろうか。特に、途上国でEUと同じ施策は実行可能なのだろうか。未だ無電力地域も多くある。その地域でも、車は走っているかもしれない。
ゼロエミッション車ばかりでなく、e-fuelなどを使うカーボンニュートラル車も一定程度必要ではなかろうか。現行の内燃機関で使用できる「e-fuel」や「バイオ燃料」が安価に普及すれば、今走っている自動車のカーボンニュートラル化を進めることができる。大目標に貢献する現実的な解ではなかろうか。しかし、これを政策の中心に据えることは難しいのかもしれない。
テスラが登場してEVが進展したように、ポルシェが「e-fuel」の普及に努めれば、もしかしたら、現在のエンジン、内燃機関を使用した自動車の存続があるのかもしれない。それが実現できれば、自動車産業の雇用が守られることになるのだろう。