Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

EV普及に欠かせないレアアースをめぐる知恵くらべ、EVシフトへの逡巡

 

 世界各地で2035年をめどに、ガソリン車の新車販売を禁止し、電動車への切り替えを促進させようとする。電動車の定義は、各国で異なるようだが、内燃機関、エンジンだけを搭載した車種の存続が厳しくなり、EVなどバッテリーを搭載した主流になっていくのだろう。

 つい先頃までは、それが最善の解のように思えたが、水素エンジンにバイオ燃料、e-fuelなど新たな技術が出始めれば、それがベストだったのかと疑問も沸く。トヨタの豊田会長の肩を持つ訳ではないが、他の選択肢があってもいいのかもしれない。

 2035年までに、EV用充電設備はどこまで普及するのだろうか。再生可能エネルギーは十分な供給能力はあるのだろうか。バッテリーの供給能力、それに加えて、それらに必要なレアアースレアメタルなどの供給も問題ないのだろうか。

 その目標に到達するためには課題が多過ぎる。それらをクリアできるのだろうか。

 気候変動抑止のためには、強力な政策が必要なのかもしれないが、絵に描いた餅になったりしないか、心配でもある。

 

 

 ダイキン工業が2025年度までに、全ての空調機器レアアース(希土類)の使用量をほぼゼロにする方針だという。

ダイキン、全空調で脱レアアース 25年度までに、調達不安を回避 | 共同通信

 共同通信によれば、電気自動車(EV)向けなどの需要増大による価格上昇が予想されるほか、米中対立など地政学的な緊張が高まる中、安定調達への不安を避ける狙いもあるそうだ。

 賢明な選択なのかもしれない。

ダイキン空調機のモーターにネオジムなどレアアースを採用している。耐熱性が高まるなどの利点があるが、工法を工夫したり、別の材料に切り替えたりすることで、性能を維持しながらレアアースを極力使わないモーターの開発にめどを付けた。今後、順次新製品に採用していく。 (出所:共同通信

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 米国では、GM ゼネラル・モーターズとGE ゼネラル・エレクトリックが、レアアース(希土類)などの共同調達で提携すると発表したそうだ。

GMとGE、レアアースを共同調達 EV・再エネ事業を加速: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー機器など両社が手掛ける事業で使うレアアースを共同で調達するという。米大手2社が組むことで、希少資源を巡るグローバルの調達競争を優位に進める狙いがあるようだ。

EVや再生エネの発電に用いる電気モーターには、ジスプロシウムなどのレアアースを使用する。世界的な環境規制の強化とEV・再生エネ振興の流れの中で、レアアースの相場は上昇傾向が続いている。 (出所:日本経済新聞

 

 

 それなら従来のエンジン車のままでカーボンニュートラルを目指してもよいのではなかろうか。

 欧米に中国、それらの地域ではEVをはじめとする電動車が普及するのかもしれない。その他の地域でも同じように普及は可能なのだろうか。

 世界には無電化地域がまだある。もし電動車の普及が遅れる地域があるのなら、そこでは永延とCO2を排出し続けてよいのだろうか。既存の自動車でカーボンニュートラルを実現できるといわれるバイオ燃料やe-fuelなどが求められていそうだ。

 トヨタは水素エンジンのクルマを走らせ、ポルシェは南米にe-fuelの工場を建設している。

 複数の選択肢があった方が、最終目的である気候変動の抑制には役立つのかもしれない。そして、そこには大きな機会がありそうだ。なぜ投資を躊躇うのだろうか。みな口を揃えて、政策的後押しが必要という。