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【もっと自由な買い物】巨大IT企業は「自由」を奪っているのか 

 

「売れ筋商品を完コピ」やりたい放題のアマゾンに米政府すら手を出せないワケ」、という記事をSankeiBizが出しています。ダグ・スティーブンス・著、斎藤栄一郎・訳『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)の一部を再編集したものだといいます。

 

 GAFAの市場支配に対し、規制しようとの動きがありますが、あまり進展していないようにも感じます。

パンデミック前の世界では、企業の独占に反感を持つ社会の空気が醸成されていて、規制当局の調査も活発だった。

だが、パンデミックになってからは、アマゾンなどの企業が、消費者にとっても出店業者にとっても、回り回って各国の経済にとっても、なくてはならない頼みの綱となった。 (出所:SankeiBiz

 皮肉なことなのでしょうか。

 

 国内でも、同様な動きがありました。2019年の公正取引委員会が公表した、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT(情報技術)企業の調査報告書では、運営会社が検索結果の表示順位をわざと操作すれば、独占禁止法に違反する恐れがあると指摘し、そのうえで検索結果や広告枠について説明の開示を巨大ITに求めていた。

 その後、何か進展はあったのでしょうか。 

www.nikkei.com

 当時の公取委の聞き取り調査では、商品検索やアプリストアの表示順位がどう決まるか不透明だとの訴えがあったといいます。また、運営側は恣意的に操作していないと説明したそうですが、「あるサイトでは広告費を支払うと表示位置が上がる」との指摘があったそうです。

通販サイトなどでは運営側も自ら商品を出して他の出店者とライバルになることがある。自社の商品を検索結果の上位に表示する行為などが違反にあたる恐れがあると整理。順位決めのしくみや広告費の影響の有無を開示することが望ましいとした。(出所:日本経済新聞

 

 SankeiBizはアマゾンのPB商品の問題を指摘し、また、ユーザーが、アマゾンのスマートスピーカー「エコー」で、音声指示で注文しようとすると、アレクサがアマゾンのPB商品を推奨する傾向が非常に強いといいます。

www.sankeibiz.jp

 「巨大IT企業に絡めとられる消費者」と、記事はいって、アマゾンなどの巨大IT企業が次々と新たなカテゴリーに進出する未来を予測し、こう指摘しています。

消費者にとっては、購入商品の大部分はもちろん、住宅や自動車の保険も処方薬もリハビリも子供の家庭教師も何から何までアマゾンが供給するような未来像は、以前よりも現実味を増している。 (出所:SankeiBiz

さらに「ひとたびこうした怪物企業がこれまでよりうまみのあるカテゴリーを次々に掌中に収めていけば、ECサイトでの商品利益率はあまり重要でなくなるのだ」。「極端な話、ECサイトは採算ラインぎりぎりで運営し、純粋に新規顧客の獲得手段として利用することも可能になる」と言います。

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商品は、新規顧客を招き寄せるための撒き餌に過ぎない

釣られた客は、怪物が用意した巨大エコシステムに生涯にわたって取り込まれることになる。銀行にしても、保険会社にしても、保健医療機関にしても、教育機関にしても、輸送業者にしても、怪物に大事な商売道具をごっそり持っていかれるわけだ。 (出所:SankeiBiz

 

 

 国内でもおなじような光景を目にしているような気がします。○○経済圏といって、銀行も投資も保険も、旅行も、そして電気から何から何まで、すべてその巨大なエコシステムの中で完結することができるようになりつつあります。

www.itmedia.co.jp

 記事の指摘と違う点を探せば、ポイントが撒き餌ということなのでしょうか。

 いいのことなのでしょうか、それともよくないことなのでしょうか。

 強いて気になることを言えば、ポイントの原資は誰が負担しているのかということでしょうか。ポイントを扱うプラットフォームばかりが大きな益をあげることには多少疑問はありますが。

 規制当局はどう判断することになるのでしょうか。過去に倣って、市場を独占してしまった巨大企業を解体に追い込むのでしょうか。ポストコロナの関心事です。