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【苦境のコンビニ】国がまとめた「SDGs、令和の時代」のコンビニのあり方

 

 コンビニエンスストアが誕生して40年の時間が経過したという。コンビニは、便利でまさに「コンビニエンス」を体験できる場であった。時代時代の変化を取り入れ、コンビニが生活の中で必要不可欠な存在になった。

 統一ルール、フランチャイズ方式によるコンビニモデルで、大規模に出店し成長してきたコンビニチェーンが行き詰まりを迎えたのかもしれない。

 

 

 経済産業省が、「新たなコンビニのあり方検討会」報告書 ~令和の時代におけるコンビニの革新に向けて~ との報告書をまとめ公表した。

 成長期には、様々な施策を取り入れることで売上の拡大は続く。やがて成長は鈍化しはじめる。未来永劫、成長できる単一事業はない。どこかで進化を求めなければならい。

 アマゾンが登場し成長するにつれ、「便利さ」はコンビニからECサイトに移行していったのかもしれない。

消費財サプライチェーンに不可欠となったコンビニの持続的発展は、個別企業の経営問題という範囲を超えた課題に」

経済産業省の報告書は指摘する。

 コンビニ業界も、国から問題指摘されなければ、ビジネスを進化させることができなくなったということであろうか。

 

 

 

 

報告書の問題指摘

コンビニモデルは統一ルールが原則であった。統一ブランド、統一的な品揃え、統一的なフランチャズルール、成長期にはこの手法は有用であった。一気に拡大させていくには効率的であったことであろう。

このモデルは、大量仕入れ・大量販売で支えられ、商品・サービスの均質化を生み出した。経済の合理性のもと、商品の欠品は機会損失とみなされ、発生するロスがより問題視されるようになる。こうしたことが大量廃棄という問題を生み出していく。

経産省の報告書はこの他にも顕在化してきたいくつかの問題を指摘する。

 

  • 人口減少社会の中で売上高は頭打ち、チェーン間の競争、異業態小売業との競争が激化。
  • 人手不足、最低賃金引上げなど人的コストの不可避的上昇が加盟店利益を圧迫。土地・店舗を本部が準備する契約が増え、チェーン参加メリットが見えにくい状態に。
  • 提供サービスが増える中、手数料が低く、手間に比して売上げが伸びない状況。社会的役割への対価が適切に負担されているか、オーナーへの過重負担となっているか (出所:経済産業省 報告書)

 

 三現主義ということばある。「現場」「現物」「現実」を重視、実際に現場で、現物を観察、現実を確認した上で、問題解決を図るという考え方のことだが、こうした役割を担うはずの店舗の指導役であるスーパーバイザー(SV)が機能不全を起こすようになった。

コミュニケーション不足により本部には現場で起きている変化が伝わらない。そればかりか、SVが先兵となり、本部の意向をただ押しつけるようになった結果が無断発注のような問題に発展したいったのかもしれない。

 

問題解決への糸口

通常、問題点が明らかになり原因究明ができれば、対策を講ずることは、原因究明より難しいことではないはずであるが、多機能化したコンビニは地域に必要な存在になり、有用ないくつかのサービスを提供していることが、問題解決の足かせになる。

この報告書では、「ビジネスモデルの再構築」などいくつかの提言がある。詳細は、報告書で確認できる。


「統一」からより「多様性」を重視するフランチャイズモデルへの転換
  • 加盟店のオペレーションについて一律の対応を見直し、店舗のおかれた環境に応じて提供サービスを取捨選択するなど柔軟な経営を認めることによりオーナー負担の軽減、多様化する消費者ニーズへの対応が可能となるのではないか。
  • 24時間営業については、ユーザーからも地域性などを踏まえるべき、店舗の判断に委ねるべき、との声が強い。全店舗が一律に24時間営業を行うのではなく、経営環境や地域社会の需要・認識の変化を踏まえあり方を検討すべき。サプライチェーン全体に波及する働き方改革の観点から、休日についても、店舗の事情に応じて柔軟に認めることを検討すべき。
  • 食品ロス削減などの社会的要請への対応の観点からも、加盟店の積極的な創意工夫を促すべき。 (出所:経産省の報告書)

 

 


社会課題解決型ビジネス
  • 地方における買物拠点、見守りサービスなど公共的サービスの提供拠点としての役割は、人口減少と高齢化の中より一層高まることに。
  • 観光客への地域 PR やインバウンド取込みに向けた地域の産品の販売、地域産品を全国に紹介していく機能など、地域活性化の拠点としての役割も。
  • 災害時対応の BCP の観点や、指定公共機関としての機能維持・回復に関してチェーン全体として検討すべき。
  • 社会課題の解決につながるコンビニの機能は、本部にとっても加盟店にとってもビジネスとして成り立つことが前提であり、適正な対価の回収が可能な形で実施されるべき。 (出所:経産省の報告書)

 

まとめ

経産省の報告書は、「今やフランチャイズによるコンビニというビジネスモデルの持続可能性が危機に瀕しているのではないか」と指摘する。

SDGsの視点からすれば、今までのコンビニモデルはサスティナビリティに欠けているということに他ならない。大量仕入れ・大量販売という経済優先のコンビニモデルから、より包摂的な社会を支えるビジネスモデルへの転換が求められているのではなかろうか。もちろん、そこには経済的に成り立つことも求められる。

 

報告書にこんな文章がある。

地域のコンビニでは、「顔の見える関係」があり、コンビニの店員と顧客が、コーヒー一杯の注文を通じて、あたかも親戚・家族のようなコミュニケーションを取っていることもあり、町村においてはとても貴重な場所であると言える。 (出所:経産省の報告書)

 コンビニ改革が急務である。

 

また、報告書には、「現在、公正取引委員会が、独占禁止法を執行する立場から、コンビニ本部とオーナーとの関係について調査を行っており、政府としては、引き続き本部とオーナーの関係が適正なものとなるよう対応していくことが求められる」との指摘もある。

 巨大プラットフォーマーである楽天との共通性を感じる。

健全性の確保も急務であろう。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

 

「参考文書」

「新たなコンビニのあり方検討会」報告書~令和の時代におけるコンビニの革新に向けて~(経済産業省)

 

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