国連人権理事会が22日にオンラインで開催され、日本や米国、欧州など40カ国超が、中国の新疆ウイグル自治区の人権状況について「深刻な懸念を抱いている」との共同声明を発表したそうです。
日本経済新聞によると、現地訪問と調査を受け入れるよう中国に求めたそうです。また、香港やチベットの人権状況についても懸念を示したといいます。
世界各国と足並みを揃えて、中国の人権問題に懸念を示しましたが、一方、その法制化では、まだ世界とは隔たりがあるようです。
日本経済新聞によると、欧州連合(EU)の欧州委員会は、企業に「人権デューデリジェンス(DD)」を課すなどのEU法案を検討し、21年中にも提出される見通しといいます。人権リスクへの対応を義務付けるルールが欧州全体に広がる可能性があるそうです。
ところが、日本では、義務化する欧州の流れからは大きく遅れ、導入を「期待する」との表現にとどめているということです。こうした国内ルールの甘さが、企業の足取りの鈍さにも反映されると日本経済新聞は指摘します。
ドイツでのデューデリジェンス法の状況をJETROが伝えます。
ドイツ連邦議会 下院で6月11日に可決され、上院で審議され成立後、2023年1月1日に施行の見込みだといいます。
ところが、ドイツでは、業界団体などが、同法を非難する声明を相次いで発表しているそうです。理由は、企業に不要な事務作業を強いるものであるとともに、企業が注意義務違反をしていなくても、法的リスク回避のため、最悪の場合、企業は市場から撤退することになりかねないということにあるようです。
ドイツの事例を見ると、あまり変わらないようにも感じます。ドイツはやや強引との印象もありますが、法制化を進め、一方、日本は国内企業に配慮し過ぎるあまり法制化が進まないと見えてしまいます。政府の差が如実にあらわれているようです。
欧米企業との対応の差がビジネスの動向や市場からの評価に響く恐れもある。
資産運用会社アムンディ・ジャパンの岩永泰典氏は「人権DDが不十分だと、投資判断の際にマイナス要素になる」と指摘。蔵元左近弁護士は「外国当局やNGOなどからの指摘で企業イメージが下がり、消費者の反発を招くサイクルが生まれかねない」とみる。 (出所:日本経済新聞)
企業が柔軟にこの問題に対処していく必要が求められると日本経済新聞は指摘します。
もうだいぶ前のことになりますが、海外赴任する前に、現地での心構えみたいな研修を受けた記憶があります。その中身詳細まで記憶にありませんが、違いがあることを率直認め尊重し、センシティブなことに触れないことがトラブルに巻き込まれないコツと聞いたように思います。
実際、現地に赴任し、日々、現地の人たちと一緒に仕事をするとき、その教えはたいへん役立ちました。気持ちをフラットにすることができれば、気づきもあり、学びのチャンスも増えます。それまでは、どこか日本人の優越性みないな勝手な思い込み、偏見があったかもしれないとその時感じたものでした。
世界の距離がぐっと縮まったグローバル化した社会では、様々な人が混在して生きていくことだと思います。違いを尊重することができれば差別感情も薄れるはずです。それが人権問題の解決に役に立つのかもしれないように思います。