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【自粛の中のサスティナビリティ】ユニクロ、ファーストリテイリングのDXとは

 

 三度、緊急事態宣言が発出された。また自粛が求められる。

 このコロナ渦にあっても、ファーストリテイリングの業績が好調だという。柳井社長が4月8日の業績発表の会見では、「正しさ」を強調したという。

 このコロナ渦を乗り切るヒントでもありはしないだろうかと、日本経済新聞の記事を読んでみる。

www.nikkei.com

 会見では業界の常識に左右されることなく、「何が正しいか」を評価基準にして消費者、生活者のための服作りをし続けたことの自負が柳井氏の発言に滲(にじ)んでいた。(中略)

それは自信の表れでもあり、コロナ禍の社会環境の下では「正しさ」をより深掘りすべきだと認識しているからだろう。社会生活が大きく変容し、デジタル化がそれを加速させている中で「正しさ」を再認識するタイミングになっているのだ。 (出所:日本経済新聞

 的を射ているようで、何か釈然としない解説のように感じる。

 商売とは、顧客に十分なサービスをし、その対価をいただくということにすぎない。

 「サービス(service)」とは辞書を調べれば、(他者に対する)「奉仕」、「役に立つこと」、「有用」、「助け」、「尽力」、「骨折り」などの言葉が並ぶ。

 成長や利益は誘因であり結果であって、その結果は顧客への「サービス」の積み重ねでしか得ることはできない。

 

 

 柳井氏が唱える「正しさ」とは、顧客を第一に思い、有益なサービスを提供し続けるということなのかもしれない。

 結果としての今期の売上も営業利益も、そして、来期の業績予測も、そのサービスの結果にすぎない。サービスが、役に立つことだったから、顧客の購入動機につながっているのだろう。

 ファーストリテイリングは2017年に「有明プロジェクト」を発表し、これまでの製造小売業から「情報製造小売業」に変わると宣言、従業員の働き方から産業構造まで、全社的にあらゆる改革を進めるとした。

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(参考:「有明プロジェクト」とは ファーストリテイリング

「情報製造小売業」の究極の目的は、「無駄なものをつくらない、無駄なものを運ばない、無駄なものを売らない」にあるという。それは「お客さんの要望が全部商品になり、その商品がお客さんの期待以上のものになり、すぐ届くようにする」ことにつながる。

 そして、その実現のために、企画・計画・生産・物流・販売というサプライチェーンのすべてのプロセスを「有明プロジェクト」で変革していくという。

 その改革は実り、今日の結果に至る持続的な成長になったようだ。

 ファーストリテイリングが実行したことと言えば、今でいう「DXデジタルトランスフォーメーション」ということなのだろう。

 見事にビジネスモデルに作り替えたのかもしれない。

有明プロジェクト」、ファーストリテイリングだからこそ、3年間の時間をかけ成し遂げることが出来たのかもしれない。

 

 

 改めて4月8日の会見での柳井氏の発言をテキスト文で読んでみる。

「正しさ」というワードは、 このコロナ渦や社会の情勢を鑑みた社会に向けたメッセージではないかと感じる。正しいことをしていけば、かならず良い結果が生まれる。それは業績ばかりでなく、働き方であったり、地球環境であったり、それらすべてに共通することなのだろう。それが、真の「サスティナビリティ」ということでもあるのではなかろうか。

 山口宇部の小さな洋品店が世界一のアパレル企業になることができた。誰にでも出来るとメッセージしているように感じた。

 

「参考文書」

www.wwdjapan.com

business.nikkei.com

r.nikkei.com

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