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【CO2再利用とCCS】費用を投じるマスク氏と資金提供を求めるエクソンモービル

 

 NASA米航空宇宙局が、火星探査車「パーシビアランス」に搭載したMOXIE「火星酸素現地資源利用実験装置」で、大気中の二酸化炭素から酸素約5gを生成することに成功したと発表したという。

www.afpbb.com

 一方、国内では、トヨタ自動車グループの豊田中央研究所が、人工光合成の効率を世界最高水準まで高めることに成功したと発表した。

人工光合成」とは、太陽光のエネルギーを利用し、CO2と水のみから有用な物質を合成する。

 豊田中央研究所によれば、2011年の原理実証時には、太陽光変換効率が0.04%だったが、改良を重ねた結果、今回は7.2%まで向上させたという。「植物の光合成の効率を上回る」と共同通信は報じる。

www.tytlabs.co.jp

 目的は違うのかもしれないが、二酸化炭素を資源にした技術が実用化に向けて動き出す。

 

 

 米国では、 イーロン・マスク氏が、「アースデー(地球の日)」に合わせて、1億ドルの賞金を拠出してCO2(二酸化炭素)を回収する技術開発を競うコンテストのルールを明らかにしたという。

 ロイターによれば、4年間かけて参加団体が年間1000トンのCO2を大気中から回収する技術を競うという。

jp.reuters.com

現在、わたしたちは絶望的な状況にあるとは思っていない。ただ、このまま無関心でい続ければ、予測不能な気候変動を引き起こすリスクがある」とマスク氏が述べたという。

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  イーロン・マスク氏は2006年に、「秘密のマスタープラン」を公表した。そして、彼はその通りに実行し、ゼロエミのEVの世界を作り出している。

スポーツカーを作る 

その売上で手頃な価格のクルマを作る

さらにその売上でもっと手頃な価格のクルマを作る

上記を進めながら、ゼロエミッションの発電オプションを提供する。

これは、ここだけの秘密です。 (出所:テスラホームページ)

dsupplying.hatenablog.com

 そして、今またイーロン・マスクがCO2の回収技術について言及した。 

これは、何が正しい解決策かを見極めるのに時間がかかる問題の1つだと思う」と述べ、「CO2除去のために最善の経済を見極めるのには特に時間がかかる」と説明した。 (出所:ロイター)

 CO2除去にも乗り出すことになるのだろうか。

 

 

 米石油大手エクソンモービルが4月19日、1,000億ドル規模のCO2貯蔵構想を提案したという。

 JETROによれば、ヒューストン地域の石油化学工場から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、メキシコ湾の海底に貯蔵するという。CO2回収量を2030年までに5,000万mt、2040年までに1億mtとする計画だそうだ。ただ、実現に向けては、企業や政府機関から1,000億ドル以上の資金支援が必要になるそうだ。

www.jetro.go.jp

 他人の褌で事業を進めようとしていないか。それで実現可能性はあるのだろうか。これが、CCS(CO2回収と貯留)のベストプラクティスになるのだろうか。

 マスク氏が火星移住計画を発案するのもわかるような気がする。その方がはるかに実現可能性が高いのかもしれない。スペースXのクルードラゴンの打ち上げが成功し、NASAが火星でCO2を資源にして酸素の生成に成功したと聞いて、そんなことを感じた。

 今回クルードラゴンの打ち上げは、有人では初めての機材再利用となったという。

www.bloomberg.co.jp

 マスク氏はスペースXの次世代宇宙船「スターシップ」のような大型ロケットが、「すぐに完全な再利用が可能になる」と考えるようになったのはつい最近だと指摘。その方法を考え出すのは一筋縄ではいかない問題で、人類を複数の惑星に住めるようにする鍵になると述べた。 (出所:ブルームバーグ

 もしかしたら、エクソンモービルの生みの親、ロックフェラーも墓場の片隅で嘆いているかもしれない。