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【循環型経済へ】EV電気自動車用バッテリーの2次利用が拡大へ

 

 日産自動車のリーフが販売を始めてから10年経過するという。

 レスポンスによれば、販売開始の翌年2011年には約1万台が販売され、10年が経過する今年は、ほとんどのバッテリーが回収対象となる見込みだという。

 EVの使用済みバッテリーの再商品化処理が急務になっているようだ。

response.jp

 日産が住友商事と合弁で設立した「フォーアールエナジー(4R)」は2018年に、EV電気自動車の中古電池再利用の拠点となる工場を福島県浪江町に新設、バッテリーの2次利用の事業を開始した。 

 

 

  ロイターによれば、この工場では、これまで全ての電池モジュールを解析するのに16日間要した時間を、4時間に短縮できる技術を開発したという。

jp.reuters.com

(日産)リーフは1台につき電池48個のモジュールを1パックにして搭載している。車の使い方などによってモジュールは劣化度合いが異なるため、どの程度劣化しているかを工場で1個ずつ解析する。

各モジュールは電力容量に応じて仕分けされ、容量が80%を超えるものはリーフ向けの交換用電池として再利用する。80%以下のものは電動フォークリフトやゴルフカート、街灯向けなどの電池として売り出す

工場では旧型リーフで年間2250台分の電池処理能力を持つが、まず年間「数百台」(牧野社長)から始め、将来的に1万台ヘ引き上げたい考え。 (出所:ロイター) 

www.4r-energy.com

 

 

  工場新設から3年あまり、いよいよ処理能力の向上が必要になっているようだ。

 レスポンスによれば、4Rの牧野社長は浪江事業所の処理能力について、具体的な言及は控えたが、「適切なキャパシティーを確保するよう対応していく」と述べたという。

能力増を図るうえで大きなネックとなるのは、4時間程度を要すこともある回収バッテリーの「性能測定」としており、「測定装置の拡充とともに、用途に応じた測定の簡素化も進めて大幅な時間短縮を図る」(牧野社長)方針を示した。人員の増強も行う計画という。 (出所:レスポンス)

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(写真:日産自動車

 トヨタプリウスが販売になったのは2009年のこと。トヨタ自動車も車載用電池の再利用に向けた取り組みの拡大を図ると、ブルームバーグが昨年10月に報じた。

 それによれば、今後増加することが予想される使用済み電池を電力の需給調整などに二次利用する仕組みを構築し、資源の有効活用や車のコスト低減につなげるとしていた。

www.bloomberg.co.jp

 

 EV用バッテリーの2次利用の拡大が始まりそうだ。その仕組みが構築されれば、高価なリチウムイオン電池も、低価格での利用に道が開けることになるのかもしれない。

 現実、日産リーフでは、中古バッテリーの利用により価格を抑制し、長期に亘るライフサイクルでのコスト低減を実現しているという。

 4Rではこの他にも、セブン-イレブン店舗向けの太陽光発電と連動して使う蓄電システムに、中古バッテリーを活用したという。

 EVバッテリーの2次利用で、自動車産業の循環型経済サーキュラーエコノミーが稼働し始めると、それは様々な産業にも波及していきそうだ。