ルネサスエレクトロニクスの那珂工場で火災が起きた。世界的な半導体不足の中での事故で業界に衝撃が走ったのではなかろうか。
ルネサスによれば、火災は3月19 日のAM2:47頃に発生し、AM8:12頃に火災の鎮火を確認したという。翌日の20日は警察と消防による現場検証が完了したという。
建屋自体に被害はなかったが、純水供給装置や空調装置など一部用役設備および一部製造装置に被害が出てたという。 この事故による人的被害はなかったそうだ。
出火元は、N3棟(300㎜ライン)のめっき装置であるということが特定され、同装置の筐体およびめっき槽は熱への強度が相対的に低く、過電流が発生したことにより発火に至ったものだとルネサスは発表した。
ただし、過電流が発生した原因や発火に至った経緯については調査中だという。
- 焼損面積は約600㎡で、N3棟(300㎜ライン)1Fのクリーンルーム面積(12,000㎡)の内、約5%に相当します。焼損した製造装置は、11台でN3棟(300㎜ライン)の全製造装置の約2%に相当します。N3棟(300㎜ライン)は生産を停止しています。生産再開の目途は判明次第お知らせします。
- N2棟(200㎜ライン)とWT棟(ウェハテスト工程)は稼働中であり、製品出荷を継続しています。
- 仕掛品の被害および業績等への影響は現時点で不明であり、精査中です。 (出所:ルネサスエレクトロニクス)
JIJI.COMによれば、N3棟では、自動車の走行を制御する半導体「マイコン」などを生産しているという。
時間経過とともに自動車産業への影響もわかってくるのだろうか。
火災前、ルネサスエレクトロニクスの柴田社長が週刊エコノミストOnlineのインタビューに応じ、(半導体の)「供給逼迫は長期化しない」との見方を示していた。
TSMC(台湾積体電路製造)などのファウンドリーではスマートフォンやデータセンターのほうが割合は大きく、顧客の列の後ろの方に自動車メーカーがある。
そうした現状を念頭に置いた上で、では、どういう在庫管理や発注の仕方がよいのかを、当社も含めて一緒に解を見いだしていけたらよいと思う。
ただ、供給が逼迫(ひっぱく)した状況はそれほど長くは続かないだろう。 (出所:週刊エコノミストOnline)
半導体不足解消に向け動き出す矢先に事故が発生したということであろうか。影響が軽微であればと願うばかりである。
宮崎の旭化成の半導体工場で火災があったのは昨年10月だった。こちらの出火原因の調査は長引き、生産再開には時間を要することになりそうだとNHKが報じる。
それによれば、旭化成は複数の半導体メーカーに代替生産を依頼、ルネサスが応じる方針を固めていたという。
立て続けに生じる半導体工場の火災が気になる。出火原因は何であろうか。人為的なミスはなかったのだろうか。
過負荷、無理があれば、必ずといっていいほどに、ミスが生じたりするものだ。まずは徹底的な原因究明、そして、再発防止のための対策。
適切な余裕をもった生産は基本中の基本だろう。余裕がないと気づきを得ることも難しくなることもあるのだから。