Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

脱炭素「カーボンニュートラル」で不足のパワー半導体 半導体産業は復活するか

 

 2050年のカーボンニュートラルが国是となり、次世代エネルギー源の議論がさかんに行われ、技術開発が進み始めたのだろうか。主な排出源であるエネルギーの脱炭素が極めて重要であることは間違いない。原発事故後、石炭火力の効率化を政策の中心においてきたことが、国産再生可能エネルギーの国際競争力の低下を招いたことを改めて思い知らされる。無駄な時間を費やしてきたのかもしれない。

 その一方で、EVを始めとし益々電化製品の需要は増しているようだ。世界的な半導体不足を見れば、その証左と言えるのだろう。

 

 

パワー半導体不足

 脱炭素、カーボンニュートラルを達成のためには、省電力、省エネを改めて意識せずにはいられない。そんな中、省エネに直結するキーデバイスとしてパワー半導体に注目が集まる。

 株式市場でも半導体関連銘柄が注目され、「株探」までがパワー半導体の動向を解説する。

電力を効率的に使うことができる パワー半導体も不足しているとみられ、主要国での電気自動車(EV)や再生可能エネルギーといったグリーン投資拡大が需要を更に押し上げそうだ。 (出所:Kabutan)

kabutan.jp

パワー半導体の性能は電力制御モジュールの省エネ化、軽量・小型化につながることから要求性能は年々上昇しており、これまで主流となっていたシリコン(Si)素材よりも電気を通しやすく、電力損失を大幅に削減できる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)の次世代材料が実用化されているほか、これらに比べて更に高電圧・高電流で使用できる可能性を持つ酸化ガリウム(Ga2O3)の研究開発も進んでいる。 (出所:Kabutan) 

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 次世代パワー半導体素子の開発が活発化し、足元では既存のパワー半導体ボトルネックになって高性能チップセットの供給能力が決まるようなことも起きているようだ。

 今はまだシリコン製のパワー半導体が主流だが、今後、炭化ケイ素SiC製のパワー半導体にとって代われば、その加工技術が問題になりそうだ。SiCは硬く安定な材料であるため、単結晶の成長やウエハーの加工に時間とコストがかかるという課題があるとニュースイッチは解説する。

 

 

次世代パワー半導体の開発に着手

 国内では技術総合研究所が、昭和電工などのウエハー(基板)メーカーなどと連携し、次世代パワー半導体用の炭化ケイ素(SiC)ウエハーの量産技術開発の共同研究を始めたと発表したという。

 SiCのインゴット(塊)を作る工程からウエハー化する工程までを低コスト化するため、材料や装置、プロセス技術を持つ企業が連携。革新的なウエハー製造技術の早期確立を目指す。 (出所:ニュースイッチ) 

newswitch.jp

 

 半導体レース SiCなどの第3世代が激戦地に

 「半導体レース」始まる、危機で目覚めた世界、投資しなければ負けとブルームバーグは指摘する。

www.bloomberg.co.jp

 それによれば、中国は国内の半導体産業を育成するため1000億ドル以上を投じる方針で、テクノロジー開発を国家の優先課題と位置付け、「第3代半導体」で覇権確立を狙っているという。

「第3代半導体」とは、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)や、酸化亜鉛(ZnO)などの新材料を使った半導体を指すという。

 

連戦連敗からの脱却を目指すのか

 過去20年間の日本ハイテク産業は“連戦連敗”であったというのは週刊エコノミスト

weekly-economist.mainichi.jp

 その間、半導体産業のリーダーに台頭してきたのは多額の資本投下を継続し、先端デバイスでコストを下げ市場シェアを一気に獲得してきた韓国サムスン電子、米インテル、台湾TSMCら。日本企業は太刀打ちできなかったが、その状況が変わってきたという。 

「パワー半導体、センサー、オプティカル(集光)半導体など、依然日本が競争力を持っている分野が多く、復活の機会を与えている」と週刊エコノミストは指摘する。

 

 

 東芝が、加賀東芝エレクトロニクス内に、300mmウエハー対応製造ラインを導入し、生産能力を増強することを決定したと発表した。2023年度上期の稼働開始を予定しているという。低耐圧MOSFETIGBTの生産能力を増強するそうだ。
toshiba.semicon-storage.com

 パワー半導体は、あらゆる電気機器の省エネルギー化に不可欠なデバイスであり、自動車の電動化や産業機器の自動化などを背景に、今後も継続的な需要拡大が見込まれていると東芝はいう。 

 日本ハイテク産業復活の狼煙になるのだろうか。

 

 「参考文書」

www.moneypost.jp