Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

深刻さを増す半導体不足 最新クアルコム製SoCも逼迫

 

 半導体不足、調達リードが長いだけに一度不足に陥った企業はそこからなかなか抜け出ることができないのかもしれない。それがパニック買いを誘発し、さらなる泥沼にはまり込んでいく。

 需要過多となれば、ボトルネックの設備能力が増強されない限り、需要が続けば、供給が改善されることはない。生産枠の取り合いになり、誰かが貧乏くじを引かざるを得なくなる。

 調達関連の仕事をしていた時は、リードタイムが長い半導体などを戦略物資に位置付けて、その取引先とは良好な関係を維持できるよう苦心し、適正在庫を維持することに努めた。適正在庫という定義には難しさがあったが。

 


Qualcommクアルコム)のチップ供給量が減少し始めたことで、とうとうAndroidスマートフォンにも影響が出はじめているようです」とGizmodoがいう。

あっちもこっちもチップ不足…。

今年に入ってから自動車産業やゲーム市場など、さまざまな分野でチップの不足が叫ばれています。(中略)

状況を見渡すと、自動車からゲーム機、そして今ではAndroidスマートフォンに至るまで、あらゆるものに影響を及ぼすチップ不足により、今年後半に向けて状況が回復し始める前に電子機器の入手可能性はずっと悪くなる可能があります。 (出所:Gizmodo)

www.gizmodo.jp

 先日、ロイターが報じた記事内容がベースになっているようだ。

事情に詳しい関係者2人によると、世界最大のスマホメーカーであるサムスン電子は、スマホの「心臓部」となるクアルコム製アプリケーションプロセッサー(基本ソフトなどを実行する半導体)の供給不足に見舞われている。 (出所:ロイター)

 

サムスンサプライヤーの社員によると、クアルコム半導体の不足で打撃を受けたのはサムスンスマホの中位から低位のモデル。

また別のサプライヤーの社員は、クアルコムの新旗艦モデル「スナップドラゴン888」の供給が不足していると述べたが、それがサムスンの上位機種の生産に影響しているかどうかは明らかにしなかった。 (出所:ロイター) 

jp.reuters.com

 ロイターによれば、クアルコム製アプリケーションプロセッサーの全モデルは、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)や台湾積体電路製造(TSMC)が旧式技術で製造した電源管理用集積回路(IC)を組み込んでいるという。

クアルコムサムスンからの需要に応じるため、こうした旧式技術を使った電源管理用ICの供給を、利益率の高い高性能アプリケーションプロセッサーであるスナップドラゴン888に振り向けた。

しかしそのために下位アプリケーションプロセッサーの供給に支障が生じたという。 (出所:ロイター) 

  クアルコムが取った対応にはサムスンとの間で合意形成はあったのだろうか。

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 「半導体不足は製品のパニック買いを引き起こし、メーカーの生産能力が一段とひっ迫、ほぼすべての半導体で、最も安い部品に至るまで価格が上昇している」とロイターはいう。

例えば一般的に使われるSTマイクロエレクトロニクス製半導体は当初2ドルだったが、今では14ドルに価格が跳ね上がった。 (出所:ロイター) 

 疑心暗鬼になれば、手あたり次第ということであろうか。

 

 

 

 「半導体の発注から納入までのリードタイムは6週間と見込んでいた。それが1週間後に10週間となり、その1週間後には1年になった」と話す中国東莞市で電子機器工場を経営する人物の声をロイターは紹介する。

 今回の騒動で何を学ぶのだろうか。

 ブルームバーグによれば、国内半導体の大手ルネサスエレクトロニクスの柴田社長が取材に応じ、「従来のサプライチェーン(供給網)は、どこかで立ち行かなくなると感じていた」という。「今回の車載半導体不足で問題が顕在化した」と指摘、「業界全体で供給網や在庫管理の在り方を見直すことも課題になる」との認識を示したという。

www.bloomberg.co.jp

 

 「信用取引」が企業間取引の基本だ。

 パニック買いで実需以上に発注し、大量にキャンセルでもするようなことになれば、「信頼」が崩れる。

Liability(責務)、買取責任と確かなForecast情報で良好な信頼関係を築くことができるのではないであろうか。