Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

近づくCOP26と衆院選の投票、エネルギー基本計画はいつ決定となるのだろうか

 

 衆院選が近づき、もう少し脱炭素や気候変動の問題が議論されるのかと思えば、そうでもないようである。そればかりか、某政党の幹事長が、温室効果ガス削減目標の前提に、原発30基の再稼働があると発言したというから、ただ驚くしかない。

 原発事故以来既に10年の時間が経過するが、国民的コンセンサスを形成するのに至らず、また、当の東京電力も失態続きで、とても原発稼働を任せられる状態になっていない。

 10年である。あれだけの事故を経験し、その絶対的な安全性を再構築できないのであれば、もうそれを諦めるべきなのではなかろうか。原発推進派がまた登場し、蒸し返しのように議論したところで、画期的に何かが変化する訳でもなく、ただ時間を無駄にするようにすら感じてしまう。今、また推進といえば、それはリスクを負うという犠牲を伴うことではなかろうか。そんな危険性をもってまで、原発にこだわるのはなぜであろうか。原則、原子力に頼らない社会を目指すときになっているのではなかろうか。

 

 

 気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定、パリ協定に従えば、2050年のカーボンニュートラルの達成は避けられず、先の政権もこれに従い、成長戦略を見直した。そして、様々な変化が生じ始めている。

 自動車もその例外ではない。この先、電動車の切り替えは避け得ない。ただ、ほんとうにそれでよいのだろうか。EVシフトが進み始めた中国では、極度な電力不足に苛まれている。こんな状況下で、一気にEV化が進むとどんな事態になるのだろうか。

 自動車の電動化は進めるべきなのだろうけれども、安定的なエネルギー供給なくしての全面切り替えにはリスクが伴うのかもしれない。脱炭素に向け、伸びる電力需要に十分な供給が準備できずに自動車まで電動化してしまえば、どれだけの電力が必要になるのだろうか。その解決を原発に求めることがあってはならない。

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 ならば代替策を模索しておく必要があるのではなかろうか。バイオ燃料に、e-fuelなどの合成燃料などはその候補にならないのだろうか。

 とある議員はe-fuelを推奨していると毎日新聞が報じる。

自動車・航空・船舶も脱炭素 CO2合成燃料e-fuelを導入せよ | | 佐藤ゆかり | 毎日新聞「政治プレミア」

 CO2と水素から作る液体合成燃料「e-fuel」。

燃焼すればCO2を排出するが、回収したCO2を原料にするためCO2排出量は実質「ゼロ」とみなされる。いわば、ガソリンに代わる「カーボンニュートラル」な未来の燃料だ。

e-fuelの最大のメリットは、従来の内燃機関(エンジン)にそのまま使えることだ。既存のエンジンを改良する必要も別方式にする必要もない。 (出所:毎日新聞

 

 

 未だ世界には、無電力地域があるといわれる。そんな状況で、2050年までに世界の多くの国々に電動車を走らせることはできるのだろうか。それよりは従来の内燃機関を使ってカーボンニュートラルを目指す道を閉ざすべきではないのではなかろうか。

 まずは、この先のエネルギー計画をゆるぎなきものにしていかなければならない。今月末に始まるCOP26を前に、政府は第6次エネルギー基本計画を閣議決定するという。原子力利用が高水準になっている素案が示されている。足下の利用は避けえないのかもしれないが、将来的には脱原発を目指すべきだろう。パブリックコメントを鑑み、何か変更はあるのだろうか。