都心の渋滞にはMaaSが有効なのだろうと考えたものだが、MaaSはどこまで浸透、普及しているのだろうか。
「MaaS = モビリティー・アズ・ア・サービス」、複数の交通手段を組み合わせて自由に移動できるようにすること。アプリはそれを予約できる機能にすぎないが、「MaaS=アプリ」というイメージが出来上がっているという。
MaaSによって、都会の人の流れと車の流れが整流化され、都市が再整備され、公共交通がスムースに流れるようになれば、自動車の自動運転化とEV化もまた進みやすくなるのではないかとイメージした。地球環境にもやさしく、サステナビリティ、持続可能な社会にも近づいていくと思ったものだが、まだまだその途上ということなのだろうか。
乗り放題タクシーのような『ちょい乗り』サービス
大手高速バス運行会社のWILLERが昨年6月に京都府京丹後市で、オンデマンド型のエリア定額乗り放題のシェアリングサービス「mobi(モビ)」をはじめた。翌月7月には東京都渋谷区にも展開、10月にはシンガポールでも同様のサービスを始めた。
WILLER と KDDI、 エリア定額乗り放題サービス「mobi」を共同で提供 ~合弁会社を設立、社会課題解決と新たな移動体験の提供~ | WILLER株式会社
WILLERは、シームレスにつながる社会交通システムを創造する上で、ラストワンマイルを移動するサービスがないことが課題ととらえ、このサービスを始めたという。
「2キロくらいの生活圏内で、乗り放題の新たな『ちょい乗り』サービスを届けたい」
アプリや電話で配車可能で、AI ルーティングによりお客さまの予約状況や道路状況を考慮して、半径約 2km を目安としたエリア内を出発地から目的地まで最適なルートで効率よく移動できるそうだ。
月額5000円で1か月乗り放題のサービス、既に始まっている京都府京丹後市や東京都渋谷区の他、名古屋市千種区、東京都豊島区に展開、その後、22地域に拡大するという。
子どもや家族の送迎、今までより足を延ばした場所での買い物や家族での外食、高齢者の自由な外出など、幅広い用途で利用できるという。
年老いた母を思えば、こうした地方でも気軽に利用できるようになればいい。毎月決まったように病院に出かけ、たまに出かける近くの美容室にもタクシーを利用する。月5000円を費やしていないかもしれないが、気軽に利用できるようになれば、足が弱ってきた母でさえ、行動半径が拡がるかもしれない。
AIルーティングの開発はシンガポール
WILLERのアプリの最適ルートを割り出すAI(人工知能)ルーティングを開発したのは、在シンガポールのライドシェアリングのスタートアップのSWATモビリティという。
それもあってか、WILLERSは今後、サービスが始まっているシンガポールでも順次拡大していくという。また、ベトナムや台湾、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアへの展開も視野に入れているそうだ。
「シンガポールは公共交通が整っているものの、自宅周辺のラストワンマイルに関しては交通が不便な場所もある」と現地のスタッフはJETROのインタビューにそう答える。
以前シンガポールに駐在時は近距離移動にたびたびタクシーを利用していた。価格が安かったこともあったが、頻繁に使えば、それなりに費用はかさむ。定額サービスはありがたいのかもしれない。
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途上国の交通事情をよりよくしようと思えば、日本が抱える課題もより鮮明に見えるのかもしれない。海外籍の日本企業が地方の課題を解決していく機会がもっと増えればいいのだろう。
「参考文書」
WILLER、シンガポールでオンデマンド型のバス・シェアリングサービス展開へ(シンガポール、日本) | ビジネス短信 - ジェトロ