Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

認知されないSGDs、進まぬ循環経済 その深層は

 

 スーパーシティ法が成立したという。まちづくりに先端技術活用し、生活全般をスマート化した“まるごと未来都市”を構築していくらしい。

 

人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した都市「スーパーシティ」構想を実現する改正国家戦略特区法が可決、成立した。車の自動運転や遠隔医療などを取り入れたまちづくりを通じ高齢化社会や人手不足の解決につなげる。

スーパーシティ構想は物流、医療、教育などあらゆる分野の先端技術を組み合わせ、その相乗効果で住みやすいまちをめざす。自動運転やキャッシュレス決済、ドローンの自動配送、遠隔診療などのサービス提供を想定する。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 官邸公式ページで、スーパーシティ構想を解説している。

 

「スーパーシティ」構想の概要

地域の困った(高齢化、過疎、空き地…)を見過ごせない。

J-Techと規制改革を総動員して、「困った」を絶対解決!

J-Techと、開発の基盤になった地域を世界に発進。

技術力の日本!新しい技術を地域と共に育てる。

 

①これまでの自動走行や再生可能エネルギーなど、個別分野限定の実証実験的な取組ではなく、例えば決済の完全キャッシュレス化、行政手続のワンスオンリー化、遠隔教育や遠隔医療、自動走行の域内フル活用など、幅広く生活全般をカバーする取組であること
②一時的な実証実験ではなくて、2030年頃に実現され得る「ありたき未来」の生活の先行実現に向けて、暮らしと社会に実装する取組であること
③さらに、供給者や技術者目線ではなくて、住民の目線でより良い暮らしの実現を図るものであること
という、この3要素を合わせ持ったものであると定義しており、これを「まるごと未来都市」と呼んでいます。 (出所:官邸公式ページ) 

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

 先日、経済産業省「循環経済ビジョン2020」を公表した。

  

 EUは循環型社会への転換を目指し、「サーキュラーエコノミー」を政策の中心に据えた。世界経済フォーラムなども活用して、世界的なトレンドにしようと努力を惜しまない。欧米企業の多くが、このサーキュラーエコノミーの概念を取り入れ、製品開発、システム設計を進めている。

 

 そんな世界的な流れに遅れまいとしたのが、この「循環経済ビジョン」なのだろうか。

 

 

 首相官邸は、もちろん「SDGs」にも取り組む。国連で採択され、2020年は「行動10年」と言われるているからであろうか。

 

  政府SDGs推進本部が、昨年12月「SDGsアクションプラン2020~2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり~」を公表した。

 

 この中で、「SDGsアクションプラン2020」のポイントを説明する。

 

日本は,豊かで活力のある「誰一人取り残さない」社会を実現するため,一人ひとりの保護と能力強化に焦点を当てた「人間の安全保障」の理念に基づき,世界の「国づくり」と「人づくり」に貢献。SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す。

『SDGsアクションプラン2020』では,改定されたSDGs実施指針の下,今後の10年を2030年の目標達成に向けた「行動の10年」とすべく,2020年に実施する政府の具体的な取組を盛り込んだ。
国内実施・国際協力の両面において,次の3本柱を中核とする「日本のSDGsモデル」の展開を加速化していく。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 政府によるSDGsを推進するための主な取組を説明する。

『経済財政運営と改革の基本方針2019』(抜粋(令和元年6月21日閣議決定)):人間の安全保障の理念に基づき,SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す。特に,質の高いインフラ,気候変動・エネルギー ,海洋プラスチックごみ対策,保健といった分野での取組をリードする 。 この他,女性,防災,教育,デジタル化といった分野でも,SDGsの取組を進める。

『成長戦略フォローアップ』: 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた世界的な動きは,新たな事業機会をもたらす。「Society 5.0」を国際的に展開し,「日本のSDGsモデル」を,アフリカ及び東南アジアを重点地域として,国際社会に共有・展開する。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 SDGsが政策の中心にあるような記述になっている。だが、現実とは乖離してはいないだろうか。

 

 

 

  こうして各政策を眺めてみれば、それなりにまとまっているようにみえる。だが、どれだけ現実に社会実装されているのだろうか。

どれだけの人々がSDGsを認知し、サーキュラーエコノミーを正しく理解しているのだろうか。

  電通の調査では、SDGsの認知率は29.1%。2019年2月の調査から13.1ポイント改善したが、1/3にも満たない。

 

 世界的な動きに遅れまいとしているだけではないのか。

 

  現政権が発足したのは、 2012年12月のこと。政権の一丁目一番地と言われる経済対策「アベノミクス」がスタートして、もう7年以上の時間が経過する。

 

 デフレからの脱却と持続的な経済成長を目指すとした。企業の業績を改善し、雇用の拡大や所得の上昇につなげ、さらなる消費の増加をもたらすことが期待されるとした。こうした「経済の好循環」を実現し、景気回復の実感を全国津々浦々に届けますとした。

 

 「2%の物価上昇率を達成する」という目標を掲げ、「異次元」の金融緩和に踏み切ったのも7年前のこと。企業や国民に染みついたデフレ心理を一掃しようとしたが、その目標は実現できず、いつしか違う数字で、経済が回復していると政策の正当性を主張した。

(資料出所:官邸公式ページ

 

 現実はどうなのだろうか。

 

 持続的な経済成長のためには、常に消費の拡大が必要になる。消費の拡大が途絶えれば、政府が標榜する持続的な経済成長が途絶える。そのためには常に、消費の拡大を喚起しなければならない。

 そういしたことが、無駄を生み、非効率を生み出しているのかもしれない。その非効率の改善を追いかけるような政策が、成長戦略「未来投資会議」なのかもしれない。

 

 官邸公式ページでは、「未来投資会議」を、イノベーション構造改革による社会変革(Society 5.0)を目指して、これまでの構造改革の総ざらいを行い、近年の目覚ましい技術革新を社会実装し、成長戦略をさらに加速させるためだという。

 

Society(ソサエティ) 5.0とは
Society 5.0とは、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会のことです。
IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety 5.0の実現を目指します。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

 やりたいことの概要は理解することはできる。

ただ気になることがいくつかある。

 当初定めた物価目標はどうなったのだろうか。

 国民の感情はどうなのだろうか。みなが等しく経済が上向いていると感じているのだろうか。

 持続的な経済成長とSDGsはどんな関係にあるのだろうか

 

 スーパーシティ法案でも気になったことがある。

 海外事例を分析し、日本が遅れているような表現をする。 

 ほんとうにそうなのだろうか。

 世界には確かに先駆的な事例が数例ある。

 それをもって、遅れているとしているのならどうかと思う。

 何事にも日本型○○を国際的に発信とよく表現する。

 その目的は何なのだろうか。

 

 世界的な潮流からはずれていないだろうか

 日本型にこだわり過ぎて世界市場からつまはじきされることはないのだろうか

 

 政権の姿勢が、社会的な雰囲気を作り出しているのかもしれない。

  

 SDGsの認知にはもう少し時間がかかるのだろう。

 大量消費、使い捨て社会ももう少し続くことになるのだろう。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

  

「参考文書」

www.nhk.or.jp 

www.kantei.go.jp

 

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