「今年はSDGsな買い物元年になるかもしれない」、日経MJがそういう。
多少違和感をおぼえる表現だ。何でもSDGsをつければいいというものではなかろう。
日経MJは、「SDGsは今までどちらかというと企業が機関投資家からの高い評価を得るために推進してきた側面もある」と指摘する。それだけなら、国連が意図した「誰一人取り残さない」というSDGsに求められる精神が蔑ろにされていないだろうか。
「企業の社会的責任(CSR)の延長での植林活動や慈善事業などを企業もメインに考えていたが、最近はマーケティング活動としての取り組みや成功事例が多数出てきている」 (出所:日本経済新聞)
社会的良心と利益を両立させていくことが、「サスティナビリティ」の本質のひとつのように思う。本業が社会的良心にもとづくものであれば、特別なマーケティング活動も必要なかろう。
SDGsな買い物
日経MJは、楽天の今年のバレンタイン特集を紹介する。それによると、「選ぶことで始まる ちょっといいこと、いいきもち。」というコーナーがあり、チョコレート選びを提案しているという。
「安心:製造過程におけるフェアトレードや原料がオーガニックであることなど」、「食品ロスへの配慮:製造過程の廃棄を少なくしたり本来なら廃棄するものを原料としているもの」、「ポスト投函:梱包材のムダを省くことのできるポスト投函可能な商品」等々。
「毎日の消費活動の中で少しずつでもSDGs的な買い物をしていくことが、大きく世の中を変えることにつながると信じて」。 (出所:日本経済新聞)
日経MJが指摘する通り、こうした商品選択がきっかけとなり、サステナブルな購買行動につながっていけばいいのかもしれない。そのために、企業は広報・PR戦略を考え直すべきなのだろう。それがマーケティング活動の一部ともいえるが。
始まりは助け合いの気持ちから
ウーバーイーツが、食品卸の永和物産の食材たちを同社の物流拠点がある東京都東部で配達を1月中に始めるという。日本経済新聞によれば、ウーバーイーツは今後、提携企業を増やし、配送地域も広げる方針だという。
永和物産が東京都江戸川区に持つ物流拠点からおよそ30分以内に配送できる地域を対象にして、レストランやホテル向けのプロ食材の取り扱いを始める。イタリア産の乾燥魚卵やアルゼンチン産の塩といった、一般家庭ではなじみが薄い国内外の珍味や果物、調味料など100種類以上を注文できるようになるという。 (出所:日本経済新聞)
新型コロナの影響で、外食産業ばかりでなく、食品卸も売り上げ確保に苦戦する。ウーバーがこの事業を始める動機は何なのだろうか。危機における、思いやりや助け合いの精神、社会的良心のあらわれなのだろうか。
ウーバーは需要を補える新たな流通のかたちとして、卸業界に積極的に提携を呼びかけると日本経済新聞は伝える。
流行りだからといって、何でもかんでもSDGsという言葉を使うこともあるまい。それよりはその仕事の背後に隠れている物語を伝える方がいいのかもしれない。そして、SDGsの理解につながっていけばいいのかもしれない。