Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

苦しい飲食店を税金でどこまで救済するのか

 

 新型コロナによるパンデミックが起こり、世界恐慌以上の経済危機が到来するのではと心配されていた。一時株価は大きく下落し、恐慌が始まるのではと思わせたが、株価は回復し、ここ最近では以前と変わらぬ水準まで回復してきたようである。

 各国政府の積極的な政策の下支えがあってのことかもしれない。

 

jp.reuters.com

 

 コロナパンデミック以降、倒産件数は増えたが、危惧された世界恐慌並みの経済危機にはまだ至っていない。

 この先、ロイターの指摘するようなコロナバブルが起こるのであれば、2次補正予算はほんとうに必要なのだろうかと思いたくなる。

 

 

 

 「大阪の飲食店7割、解除後も売上高半減 外出自粛響く」と日本経済新聞が報じる。

緊急事態宣言は解除されたが、大阪府の飲食店では客足が戻らず厳しい状況が続いている。通常営業が可能になった5月下旬の1週間の売上高は、約7割の店舗で前年同期に比べ5割以上減った。4月から回復はしているが、宴会自粛などが響き夜の集客に苦戦している。感染拡大を防ぎながら、売り上げをどう確保するか戸惑う声も出ている。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 アフターコロナでは、元あった世界にはもう戻れないと聞く。日本経済新聞が伝えた内容はこうしたことの証左なのだろうか。

 もし、こうしたことが、「新しい日常」での当たり前になるのであれば、飲食業の救済、支援のあり方を考え直す必要はないのだろうか。 

新たな課題も出ている。新型コロナの感染拡大を防ぐための「新たな生活様式」では、座席を減らしたり、ビニールシートで仕切ったりする対応を飲食店に求めている。

焼鳥と焼野菜ぎんすけ三国店(大阪市)は「感染防止を第一に取り組みたいが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)は難しい。座席を少なくすると、売り上げと利益は確実に減る。会社として存続が難しくなってしまう」と危機感は強い。「飲んで楽しむのがレストランなのに。客も店に行く意味がない」(大阪市の飲食店)と戸惑いの声もあがった。(出所:首日本経済新聞

 

 飲食店側の言い分は理解できる。しかし、変えようもない事実として、新型コロナが存在し、散発的にクラスターが発生する現実があれば、三密になる場所を避けたいという人が多数いてもおかしくないだろう。

 誰が悪いわけでもなく、これが今ある環境ということなのだろう。

 

「お店」の苦境は理解するが、感染リスクを考えると、今までと同じように、同じ頻度で「お店」に行けない。 

 

  割り切っていってしまえば、店側の事情と顧客ニーズのミスマッチが、今起こっているに過ぎない。

 

 新たに「公衆衛生」を作り替える契機ということなのかもしれない。感染リスクがなく、安心して来店できる飲食業に変わることが求められているのだろう。

 

 

 

  飲食業を中心にして、「家賃モラトリアム」の要望が高まっているようだ。

「コロナに苦しむ飲食店の“救済”に格差 カリスマシェフが指摘する重大問題」とITmediaビジネスオンラインが報じる。

 

 「このまま、何の補償もなく営業を自粛していたら、飲食店はバタバタと潰れてしまう」 

「与党案だと、1~2店を経営している個人事業主なら救済されるでしょう。

しかし、3店以上を出しているところは厳しいです。

1企業ではなく、1店につきなら、まだ分かるのですが……」と顔を曇らせる ....

都心部の場合、1カ月の家賃が300万~400万円もざらで、与党案で押し切られては、支援金をもらっても焼け石に水だ」と、松田氏は困惑している。 (出所:ITmediaビジネスオンライン)

 

www.itmedia.co.jp

 

与党案は、3店以上を経営する意欲的な経営者ほど厳しい。営業ができない場所で、無駄に家賃だけ払えない

 DDホールディングスは、2020年2月期決算で売上高573億6900万円(前年同期比12.5%増)、経常利益29億1600万円(同30.6%増)となり、売り上げ、各種利益ともに過去最高となっている。ところが、稲本氏によれば、4月の売り上げは休業した結果、前年比98%減になった。まさに、これから飛躍の時と意気込んでいた矢先にコロナ禍に襲われた。(出所:ITmediaビジネスオンライン)

 

「東京の山手線内の家賃はとりわけ高額で、1企業、1個人の頑張りではどうにもならない」とDDホールディングスの取締役が訴えたとITmediaは伝える。

 「無駄に家賃だけ払えない」というなら、払わずに店をたたむしかないだろう。

 

 今ある環境を国や自治体がすべて作り出したわけではない。全てはコロナによって引き起こされたということではなかろうか。

 そうした事情の中で、経常利益を29億円あげ、300~400万円の高額な家賃を払えた企業を、どんな形であれ、税金を使って救済する必要があるのだろうか。

 あるとすれば、三密を生み出さないなどの「公衆衛生」の向上に資する行為があることが条件になるのではなかろうか。

 そうしない限り、いつまでも安心・安全が担保されない。

 

アフターコロナでは、もう前の世界には戻ることができないのだから。

 

 日経新聞は、神戸国際大学の中村智彦教授の言葉を紹介する。

「飲食業は他の産業が正常通りになってから初めて客が増える。給付金や融資制度の一層の拡充が必要だ」と指摘する。

「ソーシャルディスタンスが定着すると、生活だけでなく商売の方法も変わる。経営者は変化を受け入れる必要がある」 (出所:日本経済新聞

 

東京新聞は、「大きな課題が起きると政府内では各省庁がさまざまな名目で関連予算を要求する傾向にある。中には必要性に疑問が残る予算も多く含まれ額は肥大化する」。

「人々が苦しむコロナ禍を予算獲得合戦の具にしてはならない。そのために最も必要なのは国会で議論を尽くすことだろう」と指摘する。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

 もうそろそろばらまきを止めた方がいい。社会をよりよい環境にするために、優先的に税金を使うべきではないかと思う。

 

「参考文書」

コロナ禍の下にある不動産、家賃モラトリアムのリスクを考える-コロナ禍が理由の家賃の延滞では契約解除が困難に(ニッセイ基礎研究所)

 

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