Into The FUTURE

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コロナ対策とSDGs達成度ランキング2020

 

 「WHO、新型コロナ空気感染の可能性を精査」とのロイターの報道に少しばかり驚く。

「科学者数百人が空気感染の可能性を示す科学的根拠があると指摘し、WHOに対し推奨する対策を見直すよう求めている」と ニューヨークタイムズが報じたという。 ロイターによれば、その内容をWHOが精査しているという。

  

WHOは現在、ウイルス感染防止に向けて他人と最低1メートルの距離を維持すべきと提言しているが、推奨する対策が見直されることになれば、この提言は意味を失い、各国政府も対応の調整を余儀なくされる公算が大きい。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

 

 

 気になるニュースだ。国内でも感染者が増加傾向になり、東京では、5日連続して100人を超える感染者が発生している。

 米国の内科専門医は、 NEWSPICKSに以下のようなにコメントした。

東京都内の現在の実効再生産数は、1.6前後を推移しており、検査の陽性率も上昇してきていることから、今後報告される感染者数はさらに増加することが見込まれます。

数字をこまめに追いかけている方におかれては、びっくりしない心構えが必要かもしれません。

しかし、社会レベルで捉えると、各店舗での感染対策やクラスター対策を行った上での実効再生産数でも1を超え続けていることから、現状維持では止められず、追加の公衆衛生策が必要であることが示唆されます。

(出所:NEWSPICKS)

 

newspicks.com

 

 1.0よりも高い実効再生産数に驚く。

 ロイターによれば、再生産数とは、「あるウイルスが1人の感染者から平均何人にうつるかを示す数値で、ウイルス感染状況の目安だ。数値が1なら、平均で患者1人が別の接触した1人に感染させることを意味する」という。

 

1を下回れば、流行が下火に向かっていることを意味する。1人が感染させる人数が1人未満だからだ。1を上回れば感染が急増していくことを意味する。1人から複数にうつしていくからだ。 (出所:ロイター)

 

jp.reuters.com

 

 

 

 6月30日、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が、「サステナブル・ディベロップメント・レポート」を公表、SDGs達成度ランキングを発表した。

 

 今年のレポートでは、ランキングの他、新型コロナウイルス危機から持続可能な復興を果たすために、SDGsをどう再考すべきか指針を示しているという。

 

持続可能で公正な復興をサポートする6つのSDGトランスフォーメーション

Covid-19は、ほとんどのSDGに深刻な短期的悪影響を与える可能性があると指摘する。

 所得の不平等やその他の不平等を深刻に増幅させ、特に、SDG 1(貧困なし)、SDG 2(飢餓なし)、SDG 3(健康と幸福)、SDG 8(ディーセントワークと経済成長)が影響があるという。

 経済活動の低下によって環境への悪影響が減少したことが明るい点だというが、経済活動の復興には、環境を劣化させるような過去のパターンに回帰させないことを目的にしなければならないともいう。

 そして、SDGsと6つのSDGトランスフォーメーションを推奨する。

 すべての国がウイルスを制御下に置かない限り、パンデミックから安全になる国はないという。

 

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(資料出所:Sustainable Development Report 2020 Covid-19 and the Sustainable Development Goals | Executive Summary

 

storymaps.arcgis.com

 

 一方、SDGs達成ランキングでは、日本は17位だった。昨年は15位で、2017年の11位から下降傾向にあるとサステナブル・ブランド ジャパンは指摘する。

 

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(資料出所:Sustainable Development Report 2020 The Sustainable Development Goals and Covid-19)

 

日本の最大の課題は、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」。

取り組みが後退していると指摘されているのは、重要課題に入っている目標10「人や国の不平等をなくそう」。上位10%の所得層の所得と下位40%の所得の比率を表すパルマ比率、高齢者の貧困率、所得の不平等を測るジニ係数を基に判断されている。そのほか、目標5と13、14への取り組みが停滞している。 (出所:サステナブル・ブランド ジャパン)

 

dashboards.sdgindex.org

 

 サステナブル・ブランド ジャパンによれば、国家予算にSDGsの推進を組み込んでいる国は、日本やオーストリア、アルゼンチン、パキスタンのわずか4カ国しかないと、今回のレポートで指摘しているという。また、世界人口の3分の2を占めるG20諸国のパフォーマンス・ギャップ(目標と現状の取り組みの格差)は深刻で、G20諸国の行動とコミットメントがSDGsの達成には不可欠であり、政策面での一層の努力が求められているという。

   サステナブル・ブランド ジャパンの指摘を批判する気はないが、オーストリアを除く日本より上位にある国々は、わざわざ国家予算でSDGsを推進しなくても、それなりに結果を残しているとも言える。

 

世界のSDGs達成度ランキング、日本は17位 格差是正の取り組み後退(サステナブル・ブランド ジャパン)

 

 

 

 

 一方、「サステナブル・ディベロップメント・レポート」は、韓国は経済への影響を緩和しながら、Covid-19の健康への影響に最もよく対処できたと指摘する。また、特にアジア太平洋地域では、(これまでのところ)Covid-19の封じ込めと経済への被害の最小化に成功しているといもいう。下図からすれば、この中に、日本が含まれているということでよいのではなかろうか。

 

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(資料出所:Sustainable Development Report 2020 Covid-19 and the Sustainable Development Goals | Executive Summary

 

 政府の新型コロナウイルスの専門家会議に代わる新たな有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の初会合が6日、東京都内で開かれ、新規感染者が再び増加する東京都内の感染状況を分析したという。

 

7月10日に予定されている集客イベントの人数制限緩和など社会経済活動のレベル引き上げは予定通り実施することを了承した。

感染症対策と社会経済活動を両立するための検査体制の基本的な考え方も示した。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 様々な意見や指摘があるということなのかもしれない。どれが本当に正しいのかを掴むのが難しい。まずは、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の意見を従うしか手はなそうだ。

 第2波がやって来ることは避けえないことなのかもしれないが、それでも、防疫体制、公衆衛生を向上させることで、感染拡大を最小限にとどめて欲しい。

 

 

「関連文書」

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