Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

ポストコロナ 存続し続ける企業の特徴は何なのか

 

 また、コロナの影響が明るみに出る。タイ航空が破産法に基づく会社更生手続きとのニュースが流れる。会社更生手続きを申請するのはタイ政府だそうだ。

 米国では、航空会社は連邦政府からの救済措置で、従業員の解雇や一時帰休命令、給料削減は禁じられているという。が、ユナイテッド航空は、従業員保持義務の期間が終わればすぐに人員削減に踏み切るようで、10月1日に解雇通知を受ける見通しとForbesが伝える。

 米国では、対応が冷淡で配慮に欠けているのかもしれない。ウーバーも大量解雇に踏み切り、その対応をForbesがレポートする。 

 

forbesjapan.com

 

 

 国内では、老舗アパレル「レナウン」が破綻した。破綻すべくして破綻したとの意見が多い。バブル期の成功体験があだになり、その後、改革が進まず、コロナが引き鉄になったようだ。

 時事通信が指摘する「時代に対応できず」という言葉がすべてを表しているのかもしれない。

 小郡の小さな洋品店だったユニクロが、グローバル企業に成長している。国内市場規模は小さくなったが、こうした成功事例があるのだから、老舗企業は時代に乗り遅れたということなのだろうか。

 

www.jiji.com

 

 ユニ・チャームやライオンはコロナ特需で利益を大幅に伸ばすようだが、多くの企業は深刻な影響を受けている。

 自動車産業もその影響は深刻のようだ。ブルームバーグによれば、欧州の新車販売が、4月は78%減になったという。スペインでは、97%減と4100台をわずかに上回る水準だったといい、その数字に驚愕する。

 

www.bloomberg.co.jp

 

 先日、トヨタが業績発表を行った。コロナにより甚大な影響を受けるというが、それでも、次期は5000億円の営業利益を確保することを目標にするという。こんなに厳しい状況下で、達成できる数字なのかと勘ぐってしまう。

 

 日経XTECHがこの数字のからくりを解説する。

 トヨタは、次期の売上目標を24兆円としている。まず、この24兆円の妥当性がどうかという議論もあるかもしれないが、この売上をベースにすると、5000億円の利益を得るためには、1兆5000億円のコスト改善が必要になるという。

 日経XTECHによれば、リーマンショック時にも、トヨタはこうしたコスト改善を実施していたという。09年3月期には約1300億円の利益改善を行い、営業損失をミニマイズし、翌年には、営業利益は1475億円を確保し黒字化を果たしたという。このときは、原価改善で5200億円、固定費削減で4700億円の利益改善を達成したという。

  実は、トヨタが行う改善は地味なもので愚直に積み重ねていくという。

緊急VA(Value Analysis、価値分析)活動
新工場プロジェクトの中止・延期・規模縮小
生産調整による在庫の圧縮と、労務費低減策の実施
一般経費の徹底的な削減  (出所:日経XTECH)

 

 日経XTECHは、「真実は平凡の中にある」と指摘する。

 

xtech.nikkei.com

 

 

 

 何もトヨタが特別なことをやっているようではない。ただひたすら基本を繰り返し繰り返し実行しているということであろうか。それが、大きな利益につながり、その継続に繋がっていく。

  アパレルも同じものづくりの業界である。ものづくりの基本に大きな差などないのではなかろうか。

 

 電機会社で働いていたとき、「トヨタの生産方式」を学ばされた。地獄の研修といわれるものであったが、今から思えば、よいことだったとつくづく思う。

 研修の最初に叩き込まれたのが、「つくり方の固定概念を捨てよ」ということだった。そして、協働の大切を教え込まれ、改善は無限であることを知った。

 会社は何に為にあるのかと繰り返し問われ、利益を永続的に上げ、雇用を創出して、地域社会に貢献することを教わる。

 

 豊田社長も、先日の業績発表の場で雇用のことに触れた。

今の世の中、「V字回復」ということがもてはやされる傾向があるような気がしております。

雇用を犠牲にして、国内でのモノづくりを犠牲にして、いろいろなことを「やめること」によって、個社の業績を回復させる。それが批判されるのではなく、むしろ評価されることが往々にしてあるような気がしてなりません。 

「それは違う」と私は思います。

企業規模の大小に関係なく、どんなに苦しい時でも、いや、苦しい時こそ、歯を食いしばって、技術と技能を有した人財を守り抜いてきた企業が日本にはたくさんあります。 (出所:トヨタ プレスリリース)

 

 「企業は何のために存在するのか」、それが明確であれば、苦境にあっても抜け出ることができるということなのかもしれない。

 

 ソニーも社長が交代し、会社の存在意義、パーパスを定義した。そのソニーは何やらソニーらしさを取り戻したように思う。

 昨日、5月19日にソニーの「2020年度経営方針説明会」があった。ソニーは「ソニーグループ株式会社」に社名を変更するという。「ソニー株式会社」の商号は、ソニーグループの祖業であるエレクトロニクス事業を行うソニーエレクトロニクス株式会社が継承するという。

 

www.sony.co.jp

 

 コロナショックと言われるが、多くの企業が基本に立ち返り、お客様と従業員、そして、地域社会や地球を大切にすれば、この苦境も抜け出ることができるのではなかろうか。

 

 

「関連文書」

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