Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

ソニーの天然新素材「トリポーラス」が示す「SONYの存在意義」

 

 ソニーが、米の籾殻を原料とする天然素材「トリポーラス」を作った聞き驚いた。少し前までのソニーであれば確実に潰されていただろう。

 

www.sony.co.jp

 

 ソニーがCESでEVを発表して、SONYらしさが戻ったと思った。この「トリポーラス」は、それより前の昨年1月末からライセンスを始めている。

 

www.sony.co.jp

 

 2018年に、aiboを復活させ、ソニーが変わり始めたかと感じたが、それまでのソニーを思うと、まだ信じられずにいた。

 初代aiboが登場した時は、何かSONYらしさを感じたが、生産中止となってしまった。ソニーがながく不振にあえぐエレクトロニクス部門の再建に取り組むときの判断であったのだろうか。

 

 

 

SONYらしさ

 ソニーのEV進出は度肝を抜かれた。それがSONYらしさのかもしれない。

EVは電機メーカでも作れると早くから言われていたが、実際、誰もそれをやっていなかった。それをソニーが実行し、クルマをSONYらしくチューニングした。テスラとはまた違う、SONYらしくクルマを電機に近づけた。業界の垣根、常識を超えたということなのかもしれないと感じた。

 

 事業が不振に陥るのは、商品の魅力が失われたからに過ぎない。テレビもオーディオもSONYらしさを失い、陳腐なものになった。売上を維持するために量を追い、利益を守るために、ただコストを削る作業を続ける。そうなれば、顧客を感動させようとの気持ちが薄らぐ。そんな雰囲気が会社を覆いつくすようになれば、魅力ある商品は生まれない。いつ芽を出すかわからない開発にコストは掛けられないと次々と潰されるプロジェクト。

ものづくり商品ハードウエアをスケールさせるには、時間とコストが掛かる。

 

 

 

実った平井改革

 前CEO平井氏の時代に手がけた開発が芽吹き始めてきたということなのかもしれない。

新たな素材「トリポーラス」やEVがその象徴にみえてしまう。

「トリポーラス」はライセンス供与のビジネスのようだ。一気にスケールアップすることはないかもしれない。EVもまた同じかもしれない。

 未知数なところも多く、可能性はあっても、事業として成り立つか否かの判断は何ともいえないかもしれない。

 

SONY Triporous

 前CEO平井改革が実ったと言っていいのだろうか。

テレビ事業が復活し、音質にこだわるオーディオが息を吹き返してきた。不振にあえぐ中でソニーを支えたイメージセンサーがカメラに変化を促した。

 

...その時に、よく耳にしたのが、「自分は素晴らしいアイデアを持っているのに、どこに持ちこめばよいのか分かりません。直属の上司にやりたいと言っても、『今そんなことしている場合ではないだろう』とか、『それは ××事業部の範疇で、お前の仕事じゃない』などと言われてしまいます」という声でした。別の事業部のアイデアを持っていても、どうしていいかわからない。ソニー自由闊達な会社だと思っていたのに、事業部が違うだけでアイデアの持っていき場所がないことを知り、驚きました。しかもこの意見は、何回も出てきたんです...(出所:c/net Japan)

 

 c/net Japanのインタビュー記事に答えた平井氏の言葉に苦悩してきたソニーのありのままの姿をみる。

 

『やるのであれば、アイデアを最後まで見届けるメカニズムをきちっと作る必要があると思いました。アイデアを評価して、良いものはブラッシュアップして商品化にまで持っていく事業的なメカニズムをつくらなければいけない』

と、平井氏はc/net Japanのインタビューに答えていた。

 

 そうした風土、文化を形成されていく中で、aiboの復活もあったのだろうか。

 

 平井氏は6年間という短い時間でCEOを退任され、次の世代にバトンを渡した。自身の役割を既存事業の立て直し、成長の芽を醸成するとしていたのだろうか。その役割を果たし、次の成長は若い世代がということだったのだろうか。

 

新たなソニー 新しい存在意義

 「平井(ソニー前会長の平井一夫氏)が作った「Mission/Vision/Values」がありました。それを改めて見つめ直すことで、「Purpose & Values」に変えました」と話す吉田CEOとのインタビュー記事をc/net Japanが報じる。

ソニーは多様な事業と、職種や人種、国籍など多様な人材によって構成されている集合体です。世界の各地に、さまざまな事業に関わる社員が約11万人いるのです。この、ソニーにしかない“多様性”を強みにし、皆が同じ長期視点を持って価値を創出していくためには、「ソニーは何を目指しているのか」「何のために存在するのか」ということを明確にし、社員全員の共通認識にすることが絶対に必要だと思いました。(出所:c/net Japan)

 

『2018年にCEOに就任後、ミッションとビジョンを見直そうと考えました。

社内ブログで「ミッションとビジョンの見直しを考えている。意見が欲しい」とグローバルの全社員に呼びかけたところ、想像以上に反応があったんですね。

そこで、寄せられた声や各事業部のトップの意見も聞き、「何のためにソニーは存在するのか」という明確な存在意義を、全社員がわかりやすい言葉で定義しようと考えました』

と、インタビューに答えた吉田CEOの言葉も印象的だ。

 

クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす

  他者と対話するようになった新たなソニーの姿がそこにある。

 

 「マーケットイン」「プロダクトアウト」のような理論を生み出し、利用することでは新たな魅力ある商品は生まれない。対話、エンゲージメントがあってこそ、魅力ある商品が生まれ、企業を活性化させていくのだ。 


dentsu-ho.com

 

 

 

「参考文書」

japan.cnet.com

japan.cnet.com

business.nikkei.com

www.sony.co.jp