日本経済新聞にコーヒーに関しての記事があった。コーヒー好きなので、興味をひかれ読んだ。2000年頃からシアトル系コーヒーがブームになったとあって、当時のことを思い出す。ちょうど海外赴任した年になる。それから1~2年くらいしてからだろうか、赴任したシンガポールにもコーヒーショップが多くなり、そうしたお店でコーヒーを飲むようになった。馴染みの店もできて、毎日の何気ない会話を楽しむようになった。
記事に、『喫茶店で誰かと会って、飲みながら会話をする。コーヒーはそんなきっかけになる』とある。たしかに、一杯のコーヒーが色いろなつながりを生み出すのかもしれない。自分なりのコーヒー史を振り返ってみる。
30年前は1989年、その頃は、まだ喫茶店やファミリーレストランが街にたくさんあって、そこがコーヒーとの接点だった。90年代初めには東南アジアと日本の二拠点生活になり、日本のコーヒーから離れることになった。
マレーシアのコーヒーの味に驚き、これはブラックでは飲めないなと、コンデンスミルクを大量に入れた「コピタレ」を飲むようになった。でも、いつしかドロッとしたマレーシアのコーヒーをブラックでも飲めるようになって、「コピオコソン」と頼むようになった。それでも、ホテルに帰ってからいただくネスカフェのインスタントコーヒーが一番至福のひと時だったかもしれない。あ~たまには日本の香り立つコーヒーが飲みたいと思っていたものだった。
それから、30年近くたった。シンガポールでカフェの魅力に接して、今ではもう香り立つコーヒーよりエスプレッソ系のコーヒーにすっかりとはまってしまっている。
- 2007年、スタバに魅了されてしまう
- ベトナムコーヒーに感動
- キーコーヒーの研究所を訪れたり、コーヒーの焙煎工場にいってみて
- 宮越珈琲もいいと思う
- スタバとネスレが提携 スゴすぎるコラボ
- ブルーボトルコーヒーでも始まる環境活動
2007年、スタバに魅了されてしまう
帰国して間もなくして、大﨑勤務になりスタバに通うようになった。勤務していたビルにはドトールとスタバがあった。海外が長かったこともあって、スタバに何気に入った。その時は特にコーヒーに感動した訳でもなく、スタバの方が馴染みがあったという感じだった。ある日、バリスタに「ケニア、美味しいですよね」と声をかけられた。その時から意識して、毎日通うようになったように思う。なんか懐かしさがあったのかもしれない。
1年ほどしてからだろうか、職場が移転となった。大﨑のスタバには行けなくなったが、町田のスタバに通うようになった。すぐにバリスタたちとも仲良くなった。たくさんの刺激と学びがあって、すっかりとスタバのファンになってしまった。
バリスタに勧められてマイボトルを持つようになった。環境のことを大切するスタバのことをはじめて知り共感した。マイボトルもそんな共感があってのことだった。バリスタから前CEOのハワードシュルツが書いた「スターバックス再生物語」を紹介してもらって読み感動した。フェアトレードという言葉に出会い、エシカルということを学んだ。そして、多くのバリスタたちと会話して、色いろな生き方があることを学んだ。
- 作者:ハワード・シュルツ,ジョアンヌ・ゴードン
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ブラインドテイスティングに挑戦するようになり、スタバのコーヒーの味がだいぶわかるようになった。「スマトラ」の力強いコーヒー感の中にあるコーヒー本来の甘さがわかるようになると、すっかりスタバのコーヒーの虜になっていた。季節ごとに変わるコーヒーを楽しみながら、いつしかエスプレッソローストが自分の中で定番になり、家でも飲むようになった。
10年以上通い続けた。今年、父が倒れ実家に戻ることになり、町田のスタバに通うことはできなくなった。
ベトナムコーヒーに感動
何度めかに行ったベトナムホーチミンで飲んだコーヒーは衝撃的だった。泊まったホテルで、朝食の時に何気に飲んだコーヒーに驚いた。
スタバのグァテマラカシシエロを飲んだ時、すごい衝撃だった。こんなコーヒーもあるんだと思った。
ベトナムで同じ感覚を味わうと思わなかった。
後になって知ったことだったと思うが、ベトナムはロブスター種のコーヒー一大産地。飲んだあのコーヒーがロブスター種かどうかはわからないけど美味しかった。お土産に買って帰った記憶がある。
スタバの季節によるコーヒーも年ごとで味が変わる。毎年、同じものができるとは限らないだろうし、焙煎や淹れ方でも味は変化する。カシシエロを最初に飲んだ時のあの感動が再び感じることがないけど、カシシエロが出れば、必ず買っている。コーヒーの奥深さを感じるときである。
キーコーヒーの研究所を訪れたり、コーヒーの焙煎工場にいってみて
仕事の関係でキーコーヒーの研究所を何度か訪ねた。所長さんと毎回お会いする。コーヒーにかける情熱が伝わってくる。輸入するコーヒー豆の品質検査やティスティングの仕方をお聞きしたりした。お世辞にもきれいなといえない研究所。でも、ドアを開けたとたんにコーヒーの香りがとても印象的だった。
ネット販売するとあるコーヒー屋さんの焙煎工場を訪問する機会があった。案内されたフロアについたとたんにコーヒーの香りが漂ってきた。ワクワクとした高揚感に包まれる。ドアを開けたら、コーヒーの生豆が所狭しと並んでいた。
この豆の産地はどこどこで、こっちがアラビカ種で、こっちがロブスター種とか、実際に豆を目の前に話を聞いた。たくさんの焙煎機から聞こえる豆が転がる音、そこから香るコーヒーの香りが異国情緒を誘う。ベトナムコーヒーのことを思い出したり。
「実は焙煎したてのコーヒーより、少し熟成させた方が美味しんですよ」と教えてくれた。
スタバで、アニバーサリーブレンドも熟成された豆を使っていると聞いたことを思い出したり。アニバーサリーブレンドも好きな豆のひとつである。
宮越珈琲もいいと思う
友だちと待ち合わせし、何気なく入った宮越珈琲。初めてだった。薄いコーヒーは嫌だなと思ってフレンチをオーダーした。出てきたコーヒーを飲んで目を丸くした。なんか、ベトナムで飲んだコーヒーに近いぞとの印象があった。帰り際、豆を売っているコーナーでしばしコーヒー談議。不思議に話が盛り上がった。
いつだっただろうか、スペシャリティコーヒーが登場してきた。美味しいということはわかるけど、ちょっと自分のイメージとは合わなかった。コーヒーも作り手の趣向が味や香りにでる。自分の好きなものが一番贅沢なひと時を与えてくれる。
スタバとネスレが提携 スゴすぎるコラボ
スタバとネスレが提携し、ネスレグストでもスタバのコーヒーが楽しめるようになった。コーヒー大手同士の提携に驚いた。
そればかりでなく、ネスレが「スターバックスの窓」という期間限定のサイトを立ち上げた。スタバの実在する人気店の雰囲気をアニメーションと音楽で楽しめるデジタルコンテンツ。実家に引越して、徒歩圏内にスタバがない。ネット上でスタバの雰囲気が楽しめるならと、何度もサイトを覗いてみた。こんなに素敵な環境のお店もあるんだと感心してしまった。
実家から一番近いスタバに行って、エスプレッソローストを買ったときに、「エスプレッソマシンお持ちなんですか」と声をかけられた。「アロマゴールドで淹れているんです」と答えると、???との表情。「10年前くらい前に、スタバで買ったんだよ」と答えると、「調べておきます!」と。
時の流れを感じた瞬間。若いバリスタは知らなくて当然だよね。初めて行ったお店でも、ちょっとした会話が楽しめることに😄
ペーパーフィルターを使わずにコーヒーを淹れることができる「アロマゴールド」。そんな配慮も気に入っているところ。そう思うと、もう10年もペーパーフィルタを買っていない。
ブルーボトルコーヒーでも始まる環境活動
ブルーボトルコーヒーには行ったことがない。新宿店の前を何度も通って、お店の中を覗きこんだりはするけど、近くのスタバの方に足が向いてしまう。 ハンドドリップよりエスプレッソに惹かれてしまうのだろうか。
そのブルーボトルの本家アメリカでは新たな環境の取り組みが始まるという。
ブルーボトルコーヒーは、以前からプラスチックストローは紙製ストローに、使い捨てのプラスチックカップは100%堆肥化できるサトウキビカップに切り替えている。しかし、使い捨てということで飲み終わったカップはお客さんがゴミ箱に捨ててしまうため、毎年消費する約1200万個のうち、多くが堆肥化されることなく埋め立て処分されていた。こうした問題を受けて、使い捨てをなくす計画が生まれたのだ。(出所:IDEAS FOR GOOD)
2020年末までに全米で「廃棄ゼロ」を目指すべく、使い捨てカップを廃止する実験を発表した。来店客は、マイカップを持参するか、デポジット料金が加算されるカップを使用することになる。また、袋入りのコーヒー豆販売も停止し、代わりに豆は量り売りとなるので容器を持ち込む必要がある。
ブルーボトルコーヒーのCEOブライアン・ミーハン氏は、「多くの人に消費について考えてもらえるよう、チャレンジしています。昔、牛乳瓶を使った後も再利用していた時代に逆戻りしてみるのです」と述べる。(出所:IDEAS FOR GOOD)
こうした環境活動がコーヒーショップでまたひとつ始まることにほっこりする。日本のブルーボトルでも始まればいいなぁと思う。
昔、食料品店は計り売りが普通であった。便利さ、手軽さを求めて、今のような個装したセルフ方式が生まれたと聞く。計り売り時代に戻るのもいいのかもしれない。