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【デジタル化の弊害か】従業員の過負荷に陥った米スタバ、創業者が復帰して進める改革で2桁成長を目指す

 

 創業者ハワードシュルツ氏がCEOに復帰した米スターバックスが、労働環境の改善を求める従業員の声に応え、フラペチーノなど冷たい飲み物などを、これまでより大幅に短縮して作れる設備を北米の店舗に導入するといいます。

 株価が低迷していたスタバがまたシュルツ氏のもと、勢いを取り戻することになるのでしょうか。

米スタバ、北米店舗に650億円投資 効率向上へ新設備: 日本経済新聞

 日本経済新聞によると、このための投資額は4億5000万ドル(約650億円)になるといいます。また、今後3年間で米国で約2000店舗の新規出店を計画し、デリバリー専用の店舗も増やすといいます。こうした対応で、オンライン注文が急増したことで高まった負荷を軽くするそうです。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに増えたオンライン注文は全注の4分の1近くを占め、注文の6割が冷たいコーヒー飲料だ。

新たなシステムではドリンクに使う氷の自動供給などで作業を簡略にして、モカ・フラペチーノを作る時間を86秒から35秒に短縮できるという。すでに一部店舗では実験的に導入している。(出所:日本経済新聞

 こうした戦略の実行で、売上高と1株当たり利益の2ケタ成長を見込むそうです。また、シュルツCEOの後継となるラクスマン・ナラシムハン氏は「実店舗とデジタルをつなぐ体験を提供し、消費者の期待を超えていく」と述べたといいます。

 ナラシムハン氏は2023年4月に、シュルツ氏に替わりCEOに就くそうです。

(写真:スターバックスコーヒージャパン

 コロナ禍においてデジタル化を進めた結果、顧客の利便性は向上したのかもしれませんが、それによって従業員の負担を増やしたということなら、デジタル化の悪い事例ということだったのでしょう。

 

 

 創業者が復帰して改革が実行され、そこから新たな戦略が始まり、それによってまた次の成長を目指すことになるのでしょうか。

 単なるデジタル化でなく、改革が伴ったものであれば、シュルツ氏がわざわざ復帰することもなかったのでしょう。

 慣れ親しんだ古い習慣が改革を拒むのかもしれません。部分最適では誰かが犠牲にならなければなりません。全体最適を目指すのであれば、それに見合う投資も厭わないとの信念が求められるのかもしれません。

 改革とはそういうものではないでしょうか。また、その改革が実ると、あたかも「三方よし」となり、顧客、従業員、社会にとっての便益となっていくのでしょう。 そして、それがやがて変革へと誘っていくのではないでしょうか。

 継続的な改革が求められているのでしょう。

 DX、デジタル改革が進まない日本の企業も、もしかしたらシュルツ氏が復帰する前のスタバと同じ状況なのかもしれません。古い習慣から抜け出るには新しい力が求められているのではないでしょうか。時にそれは世代交代なのでしょう。