中国を取り巻く事情が複雑化しているのでしょうか。G7各国が中国離れを進めるようとする一方で、それとは異なる動きもあるように見えます。単純な対立構図による二極化ではなく、世界はもっと複雑化していくのでしょうか。
新興国、反欧米に染まる日 渦巻く植民地時代への怒り - 日本経済新聞
記事によれば、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の行動が、世界秩序の将来を大きく左右する可能性があるといいます。その代表格である、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アからなるBRICSに、22カ国が加盟を申請し、加入に関心を示している国々もほぼ同数にのぼるようになっているそうです。
中国との2国間取引では、ドル離れが加速し、中国の通貨・人民元での決済が広がっているそうです。
中国の2国間決済、人民元初の米ドル超え 23年4〜6月 - 日本経済新聞
記事によれば、人民元建ての割合は2023年4〜6月期に49%となり、初めて米ドル建てを上回ったといいます。
資本市場の開放やロシアとの取引拡大の影響が大きい。世界全体の決済では人民元比率は3%弱にとどまるが、「ドル離れ」が進み始めた。(出所:日本経済新聞)
これが世界の現実なのでしょうが、肝心要の日米欧は対立軸を強化するばかりになっていないでしょうか。
加速する日米欧の中国離れ
米銀行大手JPモルガンやの同じく米国の電気自動車大手のテスラは、表向き米中経済のデカップリング(切り離し)に対する拒否感を示しているといいますが、これとは別に中国離れの動きも強まっているといいます。
外国企業で進む「中国離れ」 口先とは裏腹の現実 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
日本、韓国、欧米のマネーは中国以外の投資先を求めている。かつて独立性が高くリベラルな「特別行政区」であった香港では、中国政府の統制強化に反発した数十社がシンガポールなど他のアジア地域に拠点を移した。米物流大手フェデックスもそのうちの1社だが、多くは金融関連企業だ。(出所:Forbes)
この他にも、韓国サムスン電子や米アップルなどを含めて70社ほどの企業が、中国から他のアジア諸国、特にインド、タイ、台湾、ベトナムに事業を移す予定にあるといいます。
こうしたことは中国指導部の動向を反映したものであり中国の権威主義体制の結果であると記事は指摘し、中国政府が事態を好転させる方法を見いだすとは考えにくいといいます。
「中国に賭けるべきか、それとも離れるべきか」と日経クロステックは問いかけます。
中国に賭けるべきか、それとも離れるべきか | 日経クロステック(xTECH)
記事はどっちつかずとの論調のようです。大きな市場があって、大きな売上がある、それが誘因となって中国に賭けるのも悪くはないのでしょう。ただいつ駄目になってもいいとの覚悟があった方がいいのかもしれません。それによってどれだけの損失が生じるかを把握し、それに備えたリスク回避策を考えておけばいいだけのようにも思えます。
さて、日本政府は中国の関係をどうしていくつもりなのでしょうか。いつまでも米国追従のままなのでしょうか。
「参考文書」
米中冷戦によって影響を被る業界を知っておく:日経ビジネス電子版
一帯一路参加「ぞっとした」 対中輸出に資せず―伊国防相:時事ドットコム