アマゾンは自社の業績を悪化させてまで、翌日配送にこだわる。同じECでありながら、楽天市場は違うようである。
公正取引委員会が楽天に対し、「送料無料」について独禁法違反の恐れがあることを指摘したことを朝日新聞デジタルが伝える。
公取委は、今月までに口頭で「違反のおそれがある」と回答したという。出店者に送料負担を強いかねないことから、独禁法が禁じる優越的地位の乱用に当たる可能性を指摘したもようだ。(出所:朝日新聞デジタル)
東京新聞は12/1付の記事で、楽天に出店する店舗側が公正取引委員会に調査を求めていたことを伝えていた。
楽天が通販サイト「楽天市場」で一定額以上を購入した利用者を対象に、商品の送料を出店者負担で一律無料にすると決めたのは独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たるとして、出店者らが公正取引委員会に調査を求めたことが三十日、分かった。出店者は楽天との交渉に向け組合組織の設立準備に入った。公取委は通販などインターネット上で基盤サービスを運営する「プラットフォーマー」への監視・規制を強めており、調査に乗り出す可能性がある。(出所:東京新聞)
一時、下請いじめという言葉が流行った。大企業が発注側の優位な立場を利用して、弱い受注側にある中小企業などに不利な取引条件を押し付けこと。下請法はこうした行為を防止するために機能する。
大手電機メーカーに勤めていた頃は嫌になるほどこの下請法についての教育を受けたものだ。こうした法律もあるが、ビジネスを進める上では、日本古来からある「三方よし」を心がけた。顧客への最高のサービスの提供はもちろんだが、その実現のために取引先にも配慮、Win-Winの関係作りを目指していた。
日本最大手のECプラットフォーマーは少し考えが違うようだ。
楽天市場に出店する店舗が組合を結成したことをライブドアニュースが伝える。
「一方的な規約変更を出店者側に強要する態度はまるで中世の悪徳地主。意に介さぬ出店者側に対しては、唐突に導入された違反点数制度(罰金制度)により、強制退店や、100万円を超える高額な罰金を楽天に支払う必要がある。奴隷のような扱いをされることに我慢ができず、対抗措置として組合を結成しました」(出所:ライブドアニュース)
楽天市場に出店していた経験があるので、出店者がいうことがよくわかる。
楽天市場で売上を維持するためには、楽天からの通知内容に常に目を光らせていなければならないし、無視すれば、即座に売り上げに影響があることを経験的に知りえた。売上が低迷するとコンサルから連絡が入り広告を督促される。広告を入れれば売上は戻るが、ランニングコストがかかる。楽天市場の広告代理業をやっているのだろうかそうした企業からよく連絡が入ることからも広告あってのビジネスだということを理解できたし、そんな企業を存在することに虚しさみたいなものを感じていた。Ankerがアマゾンにこだわり、中川政七が楽天を撤退したことが理解できるようになる。
東洋経済オンラインは、楽天市場創業時のエピソードを紹介する。
「シャッター通りと化す地方の商店街を目の当たりにする中で、ECで日本をエンパワーメントしたいと思った」。三木谷氏は現在でも、当時のこのエピソードをたびたび口にする。(出所:東洋経済オンライン)
楽天市場が立ち上がった当初は、地方の商店もECに容易に参加することができるようになり、まさに「三方よし」の精神があったのだろう。さて、今の楽天市場はどうなのだろうか。
だが、課金体系の一方的な変更などで、楽天に対する出店者の不満は長年くすぶってきた。さらにここ数年のプラットフォーマー間の競争が一段と激化し、出店者へのしわ寄せはいよいよ拡大。「我慢の限界」と感じる出店者が一気に増えたとみられる。((出所:東洋経済オンライン)
国連が採択したSDGsが意識され、倫理的な消費、よりエシカルな消費に時代は変化する。サステナビリティが求められ、社会課題の解決を通して持続可能な社会の実現を目指す。他者を犠牲にするビジネスでは持続可能な社会を実現できない。
アマゾンは自らの利益を削ってまで、顧客のためにサービスの充実を図り、そのための投資も行なう。一方、楽天は出店者に無理強いしていると報じられる。顧客のためと言いつつ、自社の利益拡大を図っているように映ってしまう。
楽天市場の出店者は楽天にとって重要なパートナーであり顧客のはずだ。楽天は大企業になったという意識が欠けていないだろうか。もう自社だけの利益優先の考えは許されない。コンプライアンス精神を高めて欲しい。
楽天市場は創業時の精神を取り戻せるのだろうか。楽天市場利用者もそれを望んでいるはずだ。
【楽天 反発ある送料無料開始へ】https://t.co/nNenI5n7yW
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2019年12月19日
「楽天市場」が一定額以上を購入すると送料を無料にするサービスを来年3月18日に始めることが分かった。送料を出店者に負担させるもので、一部の出店者から強い反発。
「参考文書」