新電力の事業撤退が相次いでいるという。NHKによれば、去年1月から3月25日までに15社の新電力が事業から撤退したという。電力の自由化によって、雨後の筍のように数多く立ち上がった新電力が、足元の天然ガスなどの高騰による電気料金の高止まりに苦しんでいるという。
燃料価格 高騰「新電力」の事業撤退相次ぐ | NHK | 原油価格
おととし12月以降、発電用の天然ガスの不足などによって電力の市場価格の高騰が続いていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻によって一段と価格が上昇したため料金の維持が困難になったとしています。(出所:NHK)
同じく新電力のホープエナジーが、電力会社からの送配電取引契約を解除され、破産することを決めたという。負債総額は概算で約300億円にのぼるそうだ。
新電力子会社「破産」でホープが失ったもの ~ 会社分割から3カ月での「破産決議」~ : 東京商工リサーチ
㈱ホープエナジーは、電力小売事業に参入して業績を急拡大した㈱ホープが2021年12月に、会社分割して設立されたという。
TSR東京商工リサーチによると、新電力事業参入で業績を急激に伸ばしたホープであったが、2021年電力取引価格が高騰し、電力の調達コストが跳ね上がり、多額の不足インバランス(電力の調達ができなかった場合、電力会社に支払うペナルティ)を背負い込んだという。
ホープは債務超過の解消を目指し、新株発行などの資本増強を進めた。懸案の不足インバランス料金は、分割弁済で2021年12月にようやく支払いを完了した。ところが、これと前後して同年10月以降、JEPXでの調達価格が再び高値で張り付き、逆ざやによる赤字はさらに拡大することになる。(出所:東京商工リサーチ)
こうした状況下で、ホープは2021年12月、持株会社体制へ移行し、新電力事業は分割会社のホープエナジーが承継したという。
ホープも新電力事業を推進しながら、自社で発電設備を持っていなかったという。自前の設備を持たなかったが強みであったのかもしれないが、事業環境の急激な変化では足枷であったのかもしれない。流行りに飛び乗り、社会課題を解決しようとの強い志もなく、儲かりそうだからと新事業を始めたのだろうか。
「新電力という足かせは外れたが「身軽」になった代償として、ホープが失った信用はあまりに大きい」とTSRは指摘する。そのホープもまた上場企業である。
こうした企業が上場企業として名を連ねていることが不思議でならない。消費者に継続的に便益を提供し、また株主の利益を守ることができるのだろうか。
SMBC日興証券、日野自動車など企業の不祥事が続いている。企業の不祥事はいつになったら止まるのだろうか。このままであれば、日本経済の衰退が止まらないのではなかろうか。
成人年齢を18歳とする改正民法が4月1日に施行される。若者たちが親の同意なく契約ができるようになる。こうしたことを悪用した消費者被害の拡大を懸念する声があるという。こうしたことも企業倫理が低下していることの証左なのだろうか。