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急拡大するアマゾン自社配送 物流に変化を促すか⁉

 

 「顧客中心」主義を貫くアマゾンにとって、商品の遅配は絶対に許されない行為のようである。

 

  TechCrunchが、荷扱が増える年末商戦での米アマゾンの物流の動きを報じる。プライムの配送からFedExを外すらしい。

 

サードパーティのベンダーは先週末にAmazon(アマゾン)から、プライムの発送にFedExの地上配達サービスを使わないよう命じられた。ウォールストリート・ジャーナル紙の記事によると、米国時間12月15日にAmazonが販売業者送ったメッセージは、「『配達のパフォーマンスが良くなるまでは』この禁令を継続する」と書かれていたそうだ。(出所:TechCrunch)

 

jp.techcrunch.com

 

Amazonのスポークスパーソンによると、現在同社はクリスマスの配達遅延や未配達問題に対処しており、顧客が荷物をタイムリーに受け取るよう努力しているという。FedExUPSはどちらも最近、配達遅延を経験している。その原因は、記録的な配達量と天候不順だと公表している。(出所:TechCrunch)

 

遅配を許さなアマゾンの哲学 拡大する自社配送

 いかなる理由があるにせよ、遅配などは許さない。物流業者が出来ないなら、顧客のために、自分たちでやってしまおうというスタンスなのであろうか。

 

 Forbesは、米投資銀行モルガン・スタンレーの米アマゾンの物流に関して調査報告書の概要を伝える。

 

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アマゾンは物流で競合する他社の約5分の1の機材数でシェアを拡大していると言及。これはアマゾンの「集積とテクノロジーを活用して効率性を高める能力」を示すものだと記している。

アマゾンは有料の「プライム」会員向けの翌日配送を新たな業界標準にすべく、配送能力の増強を進めている。

モルガン・スタンレーは、アマゾンは子会社のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を通じてクラウドサービスでしたように、物流サービスもサードパーティーに提供するようになると予想。 (出所:Forbes)

 

 自社の業績を一時的にせよ、犠牲にしてまだアマゾンは翌日配送にこだわる。

アマゾンでは年約400億ドル(約4兆4000億円)に達する配送コストが小売り部門の粗利益の半分ほどを食いつぶしており、この巨額コストを抑制することが今後の収益性にとって「極めて重要」(モルガン・スタンレー)だからだ。

アマゾンが10月に発表した19年7〜9月期(第3四半期)決算は、営業利益が前年同期比16%減り、2年ぶりの減益となった。これも主に翌日配送サービスの拡充により配送コストが46%増の96億ドル(約1兆円)に膨らんだのが響いた。(出所:Forbes)

 

 顧客のための翌日配送を実現するために、効率化したシステムで運用される物流網を拡大していく。至ってシンプルな考え方だ。顧客のためのコストは必要コストとみなすが、徹底的に低減を図るということであろうか。

 モルガン・スタンレーは、「UPSフェデックス、米郵政公社USPS)の大手3社のシェアが、19年の82%から3〜6年後には一気に50%ほどに低下する」と予測する(出所:Forbes)。

 

forbesjapan.com

 

 

 

アマゾンフレックス 国内でも自社配送拡大 

 日本のアマゾンも同様な傾向で、「アマゾンの自前配送比率は2019年7月時点で41.2%にのぼる」と東洋経済オンラインが伝える。やはり、大手に委託するより、自前配送の方が格安ということであろうか。

 日本でも、個人事業主に直接業務委託する「アマゾンフレックス」が動き始めている。現在、関東圏・愛知県・宮城県・北海道で運用が始まった。

 

prtimes.jp

 

 2019年9月にアマゾンジャパンが始めた「Amazon Hub(アマゾンハブ)」でも、対応するのはこうしたデリバリープロバイダのみと東洋経済は伝える。

 

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toyokeizai.net

 

 東洋経済オンラインは、物流業界の実態を「大手が社員の待遇改善を進めるが、末端には十分に行き届いていない」と指摘していた。

アマゾンを頂点とする物流のピラミッド構造が生じている。宅配大手も下請けや孫請けに依存しており、構造は同じだ。

人手不足の物流業界では大手が社員の待遇改善を進めるが、末端には十分に行き届いていない。アマゾンは配送の一部をヤマトからDPにシフトしたが、問題の構図は何ら変わらない。自社配送網の拡大を阻む大きなリスクといえそうだ。(出所:東洋経済オンライン)

 

toyokeizai.net

 

2020年から始まるアマゾンの置き配

 アマゾンは来年2020年から置き配を全国で始めるという。環境問題も指摘され、配送員の負担になっている再発達の低減を図るようだ。

 

国内の宅配便全体の再配達率は約2割に上っており、配達員の負担軽減や業務の効率化につなげる。(出所:時事ドットコム

 

www.jiji.com

 

巨人アマゾンと小さな改善の繰り返し

  アマゾンにとって、顧客とは商品を購入する人だけではなく、アマゾンのサービスを利用、参加する人たち全員なのであろうか。こうした人たち皆のために、今あるサービスを改善し、新たなサービスを生み出しているように見える。

 それをステップ バイ ステップで確実に実行する。 「急がば回れ」ということであろうか。

 「ローマは一日にして成らず」

 そうして巨人アマゾンが生まれたということかもしれない。

 

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