このコロナで気になることがある。この先、都会はどうなるのだろうかと。
ベンチャー企業が都心のオフィスを解約、面積を縮小して郊外へ移転するとか、全面的にテレワークに移行、オフィスを廃止するなどのニュースを目にすることが多くなった。
「都心のオフィスの空室率が10年ぶりの悪化幅」
と共同通信が報じる。
オフィス空室率は、利便性の高い場所への移転、面積拡大に向けた企業の需要が強く、改善が続いてきた。
しかし新型コロナにより潮目が変わった可能性がある。
4カ月連続の悪化により18年11月(1.98%)の水準に戻った。 (出所:共同通信)
拡がる働き方改革、変わるオフィスの姿
富士通も、「テレワークを基本とする」と発表した。働き方改革にもつながっていく狙いがあるようだ。
テレワークを加速しながら、オフィスの姿も変える考えだ。
全席をフリーアドレスにして、自宅やシェアオフィスと合わせて「最適なオフィスを自律的に選択できるようにする」(平松氏)。
全国のオフィス面積を、2023年3月期をメドに現状の5割程度まで減らす考えだ。
オフィスは、最新技術の実証や顧客との共同作業などに使う「ハブオフィス」と、作業や打ち合わせなどに使える「サテライトオフィス」に改装する。
ジョブ型制度の全社員導入を検討
コロナ後の働き方を支える人事制度として、いわゆる「ジョブ型」の雇用制度に転換する方針も明らかにした。「適材適所ではなく『適所適材』を実現する」と平松氏は話す。 (出所:日本経済新聞)
変わるオフィスの存在意義 ニューヨーク
米国も同じなのだろうか。「コロナが問うオフィスの存在意義、NYの象徴にも変化の波」とロイターが報じる。
ロイターによれば、6月22日からの経済活動再開に伴い、人口密度を以前の50%以下に抑えれば、オフィスを再開できるようになったが、ビジネス交流サイトのリンクトイン他、エンパイアステートビルに入居する企業のほとんどは、在宅勤務を延長することを選択しているという。
「カルバン・クライン」などのライセンス管理を行っているグローバル・ブランズ・グループは6フロア分のスペースを15年間契約で借りた。
だが、同社はニューヨークで勤務する従業員に対し、オフィスへの復帰を義務づけることはないと伝えている。
リック・ダーリングCEOは、「素晴らしい本社ビル」で働くことの魅力がパンデミックによって霞んでしまったと話す。
「それはあまり重要ではなくなったと思う」とした上で、「まさに業績こそが企業の評判を決定することになる」と語る。 (出所:ロイター)
オフィスの立地が変わることで、新卒の企業の選び方にも変化が起きたりするのだろうか。
店舗の出店政策に変化も
コロナは、オフィスばかりでなく、小売店舗にも影響を及ぼしているようだ。
無印良品が、ウィズコロナ、アフターコロナ時代の消費傾向を分析し、出店政策を見直すようだ。今までショッピングセンターを中心に出店していたが、今後は、路面店の出店も進めるとWWD Japanが伝える。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代の消費傾向としては、
(1)世界的に都心よりも郊外、
(2)日常的なもの、
(3)ECという流れ
があると指摘。
国内の436店はショッピングセンター(SC)への出店が主だが、SC内の店舗ではSCが休業すると営業ができない。
生活に入り込むために、お客さまの近くに出店する。
今後の国内出店はロードサイドの路面店を積極化する。
国内は今後も年間10~15店の出店を続ける中で、ロードサイドも年間数店の出店を進めていく考え。 (出所:WWD Japan)
テレワークで変わるもの
良品計画は、7月9日、ホームオフィスなどのサブスクリプションサービスを発表した。
「新型コロナウイルスの影響などにより働き方が大きく変化している中で、「家で働く」こともくらしの一部となっており、自宅にワークスペースを確保し、心地良く働ける環境を整える需要が急速に高まっています」(出所:良品計画ニュースリリース)
ウィズコロナ、アフターコロナの消費傾向としてあげた「日常的なもの」を意識したのだろうか。
月額800円からはじめられるホームオフィスセットなど、家具・インテリア用品の月額定額サービスの受付けを、7月17日(金)より限定店舗で開始します。同時に、今のお部屋を少し変えるだけで、簡単にコンパクトなホームオフィスを作れる「プチリノベーション」も承りを開始、くらしにまつわるお悩みや困りごとを専任のアドバイザーにオンラインで相談できる「くらしの相談会」の展開も拡大します。 (出所:良品計画ニュースリリース)
テレワーク格差 遅れる中小企業
SAP Concur Japanが、「“テレワークが出来ない”中小企業は大企業の2倍 企業規模での違いが明らかに」とのリリース記事を投稿した。
進めたいが進まないテレワークということであろうか。中小企業では、テレワークができなかったと回答した人が半数以上の55%に上り、大企業でも28%ができなかったという。
(資料出所: SAP Concur Japan)
テレワークが進まない理由は、経費処理や契約書などのペーパーワークだという。
(資料出所: SAP Concur Japan)
人が集まれば、「密」ができてしまい、感染リスクは否応なしに高まる。オフィスの「密」解消によるメリットは理解できても、なかなか一気に進めることができない。
そんな現実があるのだろうか。
新しい日常、行動変容を受け入れるにはもう少し時間がかかるのだろうか。
東京では、4日連続で200人を超える感染数になった。大阪でも感染者が増加、「黄色信号」が灯った。
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