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アップル税の行方 フォートナイトに「ハリウッド」のような新天地はあるのか

 

 アップルと人気ゲーム「フォートナイト」を運営する米エピックゲームズの対立が深まっているようだ。

 ロイターによれば、エピックは、「フォートナイト」について、アップストアを介さずにアイテムを直接購入できる仕組みを撤廃する考えはないと表明したという。

 

 iPhone利用者がアップストアで「フォートナイト」をダウンロードできる道が閉ざされたとロイターが伝える。

 

jp.reuters.com

 

 

 

 日本経済新聞によれば、30%の手数料を取る「アップストア」を経由しないとアプリをiPhoneiPadに配信できず、代替手段がない点を問題視し、エピックはアップルを提訴したという。

 

 アップルの規則に疑問や不満を持っていた開発者は少なくなく、アプリ内課金が多いゲーム業界などでは30%の手数料を「アップル税」と呼ぶという。こうした人たちの間では共感が広がっているそうだ。

 

エピックが訴訟を起こす約2週間前の7月29日、アップルを含むIT(情報技術)大手4社は米議会下院の公聴会に招集された。各社さまざまな論点があるなかで、アップルのティム・クックCEOが追及を受けたのはアプリ課金をめぐる独禁法違反の疑いについてだった。

政官界含めて世の中の関心が高まった時期を狙ってエピックが訴訟を起こしたことで、一段と注目を集めた。

クック氏は公聴会で「10年以上手数料を上げていない」と説明したほか、「不満を公にしたアプリ開発者に対して、報復やいじめはしない」とも証言していた。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 あの発明王エジソンと映画産業の争いを思い出す。

 映画撮影の特許多数を保有していたトーマス・エジソンは、エジソン・トラスト、ザ・トラストとも呼ばれるMPPC(モーション・ピクチャー・パテンツ・カンパニー)を設立し、アメリカ国内における映画製作と配給を独占しようとした。

 

 Wikipediaによれば、エジソンとこのMPPCは、「ヨーロッパ映画アメリカ市場を席巻していた状況を終わらせた」といい、また、「アメリカで製作される映画の質を高めて競争力を強め、アメリカでの映画の配給・上映の方式を標準化した」とその功績も説明する。

 

MPPCはアメリカ国内における映画の製作・配給・上映を独占。

特許料を求めるだけでなく、加盟した映画会社のみが映画の撮影フィルムを購入できるなどの権限を持っていた。

結果的にアメリカ映画の配給や興行網に対する独占市場を築いてゆく礎となったのである。

一方で、<トラスト>に反発する人たちが決していなかったわけではない。

例えば、映画館でMPPCに加盟しない映画会社の作品を上映した場合、今後一切その映画館に対しては作品の供給を打ち切るという処遇が成されていた。これに不満を持った人たちは<反トラスト派>と呼ばれ、独立業者として東海岸のニューヨークを離れて映画の製作を試みるようになったのである。

そう、その新天地こそが、西海岸にあるハリウッドだったというわけなのだ。 (出所:FINDERS)

 

finders.me

 

 エジソンは優れた着眼点で、いくつもの最新技術を実用化、ビジネスに発展させた。ただ、エジソンは強欲過ぎたのかもしれない。

 

 今回の訴訟は、映画産業発展の話を彷彿させる。

 ロイターによれば、エピックはアップストアの規約が反トラスト法(独占禁止法)に抵触していると主張しているという。

  反アップル派からすれば、アップルは強欲過ぎたエジソンの姿にダブったりするのだろうか。

 

 最終的に、MPPCは連邦政府より訴えられ、反トラスト法違反とされて終焉を迎えたという。

 

 

 

  25日、米連邦判事が、エピックのゲーム開発ソフト「アンリアル・エンジン」の維持を認めたとロイターが伝える。

 

「エピック・ゲームズとアップルは互いに提訴するのは自由だが、第三者に大損害をもたらすべきではない」

ゴンザレス・ロジャーズ判事は「(フォートナイトの)現在の苦境は自ら招いたもののように見える」とし、元の状態への回復を命じることを拒否。

しかし、エピックの関係先に対するアップルの行動については、関係先がフォートナイトのようにアップルの規約に反したのではないためあまりに厳しいと述べ、アンリアル・エンジンの維持を認めた。 (出所:ロイター)

 

 また、同判事はアップストアには「競争がない」と見ていると指摘、「聞きたいのは、競争がなく、30%(のアップストア手数料)はどこから来たのかということだ。なぜ10%、20%ではないのか。消費者の利益はどうなのか」と尋ねたという。

 

jp.reuters.com

 

 最終的に、司法はどういう判断を下すのだろうか。

 

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