Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【自動運転】トヨタ、アップル、それぞれが目指す「自律走行」

 

 レクサスのフラッグシップモデル「LS500h」と燃料電池車の「MIRAI(ミライ)」の新型車の販売を始めると、トヨタが発表した。

 最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate/Lexus Teammate」の新機能「Advanced Drive」搭載車を設定しているという。

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(写真:トヨタ自動車

新機能では、ドライバーが安心してシステムに運転操作を任せられるよう性能を向上させた」。

高速道路や車専用道路での追い越しや車線変更をシステムが提案し、ドライバーは前方を監視しながら、ハンドルやアクセル、ブレーキの操作をせずに運転できる「レベル2」の自動運転ができる。 (出所:ロイター)  

 

 

Lexus Teammate」は、クルマが人から運転を奪うのでも、単に人に取って代わるのでもなく、人とクルマが気持ちの通った仲間のようにお互いを高め合い、共に走る、というトヨタ自動車独自の自動運転の考え方『Mobility Teammate Concept』に基づいて開発したとトヨタはいう。

global.toyota

 トヨタは、この「Advanced Drive」の機能を、高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムという。

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(写真:トヨタ自動車

 ロイターは、「AI人工知能)技術を活用し、運転中に遭遇するあらゆる状況の予測と対応も支援する」と説明する。

 ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら、目的地に向かって運転を支援する。

ドライバーはアクセル、ブレーキそしてステアリング操作からも解放され、長時間の運転における疲労が軽減されるとともに、より周辺に注意を払った安全な運転が可能になります。 (出所:トヨタ自動車

jp.reuters.com

 ロイターによれば、周辺環境の認識にはステレオカメラ、ミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)といったセンサーを使用、車外の画像や走行データを記録し、トヨタのサーバーに送信することで今後の自動運転・先進安全・地図などの関連技術の研究開発に生かすという。

 

 

 また、ソフトウエアを自動更新できる「OTA(Over-The-Air」を採用、つねに最新のソフトウェア(制御ソフトおよび高精度地図ソフト)に更新され、購入後も、クルマに新たな機能が追加され、また性能が向上し、最新の運転支援技術を備えたより安全・安心なクルマへの進化を続けると、トヨタは説明する。

最先端のハードウェア

ソフトウェアアップデートのベースとなるハードウェアとして、認識、演算処理、信頼性(もしくは冗長性)などにおいて、高性能、かつ最先端の製品を装備しています。これらのハードウェアにより、お客様に最新の安全技術をご提供し、常に安全安心にお使いいただくことが可能となります。 (出所:トヨタ自動車

 自動車メーカのトヨタらしさを感じる運転支援テクノロジー。「自動運転」ではつまらない、そう考えるクルマを運転することが好きな人間にとっても受け入れることができるのかもしれない。 

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(写真:トヨタ自動車

 「EV アップルカー」を開発していると噂されるアップルのティムクックCEOが「自動運転」について発言したようだ。

自律走行はコアテクノロジーと思う」と、彼は述べたという。

「一歩下がって考えると、自動車はさまざまな意味でロボットだ。自律走行自動車はロボットなのだ。自律技術によって、多くのことができるようになる。

アップルが何をするのか、注目していてほしい」 (出所:Business Insider)

www.businessinsider.jp

 クックCEOの言葉から色々と想像してしまう。自律走行がコアという以上は、クルマというハードウェアをやはり作ろうということなのだろうか。それに加え、自律走行がもたらす快適な社内シーンをより豊かなものにしていこうというのか。

 Business Insiderによれば、クックCEOが「アップルはハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合して、それらが交わるポイントを見つけ出すことを好んでおり、それはそこで魔法が生まれると考えているからだ」と述べたという。
 そして「その周辺の重要なテクノロジーを手に入れることも大好きだ」と、付け加えたという。

 

 

 トヨタもアップルも、「ハードウェア、ソフトウェア、サービスを統合する」ということでは大きな差がないのかもしれない。

 トヨタは、クルマを「走らさせる」という機能の中に自律走行を付け加え、一方、アップルは自律走行こそがコアで、それによってもたらされる快適なインターラクティブな車内空間を創っていこうとしているのだろうか。

 同じモビリティであっても、違った世界が生まれるのかもしれない。

 クルマを走らせる、ドライビングもまた趣味の世界であり、そこを極めようとするのがトヨタの狙いなのだろうか。

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(写真:トヨタ自動車

 

 ミドリムシユーグレナ社が、東京都中央区のライフ白銅のガソリンスタンドで、バイオディーゼル燃料の販売を2021年4月9日(金)から3日間限定で始めた。

 ユーグレナ社によれば、バイオディーゼル・ジェット燃料実証プラントで製造されたイオナフサを混合したハイオクの供給も行うという。

www.euglena.jp

 こうした燃料で、カーボンニュートラルが達成できるのであれば、クルマの内燃機関の存続があってもいいのかもしれない。

 

dsupplying.hatenadiary.com

 

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量子コンピュータと古典的コンピュータによるデジタル化、DX

 

 量子コンピュータはまだ先のことだと思っていたが、そうでもなそうだ。理化学研究所が、埼玉県に中核研究拠点「量子コンピュータ研究センター(RQC)」に開設し、富士通との連携拠点「理研RQC-富士通連携センター」を併設したという。

 富士通によれば、理研RQC-富士通連携センターが取り組む研究テーマは大きく2つあり、超伝導量子コンピュータに関わる「ハードウェア」と「ソフトウェア」の研究だという。

 

 

超伝導量子コンピュータを1000量子ビット級へと大規模化することを念頭に、量子ビットの製造におけるばらつきの改善や、周辺部品および配線部の小型化と低ノイズ化、パッケージやチップの低温実装などの基盤技術の研究開発を行います。

さらに、これらのハードウェアに関する要素技術の研究成果を統合し、超伝導量子コンピュータ試作機を開発し、要素技術の有用性を検証します。 (出所:富士通

pr.fujitsu.com

 まだ量子コンピュータの可能性を正しく理解できていない。もう少し学びが必要と感じる。

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(資料:内閣府「量子技術イノベーション戦略最終報告(概要)」

 量子コンピューターは近いうちに、従来のどのコンピューターよりも格段に速く問題に対処できるようになるだろう。

化学反応のシミュレーションや物流の最適化、大規模なデータセットの分類など、膨大な変数や可能性がある課題への企業の対応に特に大きな影響を及ぼす可能性がある。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 

 富士通によれば、理研が開設した「量子コンピュータ研究センター」は内閣府が策定した「量子技術イノベーション戦略」に基づいており、今後、20年、30年と社会の変革と共に必要性が高まる、量子技術の人材育成に長期的に取り組むという。

 「量子技術イノベーション戦略」を確認してみれば、量子コンピュータの実用化は10年後あたりをめどにしているのだろうか。

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 10年後には次世代コンピュータが登場しそうだというのに、まだアナログが跋扈しているのだろう。DXデジタルトランスフォーメーションという言葉からすれば、そういわざるを得ない。今使われている古典的コンピュータを使いこなしていないということでもあろう。

 

 

 

 三菱商事ファッションがアパレル業界のそのDXに挑戦しているという。

 CGWORLD.JPによれば、「3D・CGデジタルスキーム」を開発、大量生産や大量在庫、大量廃棄など業界が抱える課題を解決し、サステナブルなモノづくりができる環境をつくることが目的だという。

アパレル業界では25年くらい前からCADを導入してデジタル化が進みましたが、結局はアナログで、何も変わっていないというのが現状です」。

このような課題の中、三菱商事ファッションは2Dパターンを3Dで確認修正できる技術や、生地情報を正確にスキャンできる技術を向上させ、デジタル化に取り組んでいった。これらの技術を使うことで、2Dパターンを引用した3Dモデリングをつくり、EC用のCGとして活用できるようになった (出所:CGWORLD.JP)

cgworld.jp

 「販売期間がかなり早くなるので、場合によっては先行受注が可能になります。先行受注が可能になると在庫軽減ができるので、かなりのコスト改善になります」と三菱商事ファッションの谷本氏が述べたという。

 これだけのメリットがありながら、25年もの間、アナログのままであったということであろうか。無為にやり過ごしても、みなが同じようにそうであれば、何も自らが率先して変革を起こす必要はないという動機が働くのだろうか。

 

DXというキーワードも、生まれては消える泡沫的なマーケティングバズワードの一つなのかもしれません。過去のキーワードと同じように、特別意識して対応せずに見過ごしてもいいことなのかもしれません」と話すのは清水博氏。その言葉をITmediaエンタープライズが紹介する。

www.itmedia.co.jp

 業界を超えて探索すれば、ベストプラクティスはあるものだ。それを応用、深化していけば、DXへの取っ掛かりは作れそうな気がする。

 やはりテクノロジー、技術を利用しない手はない。利用しないと、あるとき損することに気づくということなのだろう。

 

【サステナブル × デジタル】三菱と素材メーカ東レが始めたD2Cファッション

 

 固定概念に取りつかれると、そこから抜けだるのは容易ではない。トレンドを掴み損ね、気がつけばひとりだけ取り残されていたみたいなことも起きるのだろう。サステナビリティへが世界のスタンダードとなり、デジタル化がこれだけ騒がれれば、その流れに乗り遅れまいと必死になるのだろうけれども、どこかでまだ固定概念を捨てきれずにいると、中途半端に終わり、変革など起きない。 

 

 

 ファッション産業もなかなか古い体質から抜け出ることができていなかったのだろうか。そんな中、三菱商事ファッションが新たなプロジェクト「NAGIE(凪へ)」を立ち上げたという。サステナブルな「D2C」で、限定受注生産で、余剰生産や廃棄等の業界課題の解決も目指すという。

nagi-e.com

「NAGIE」は、人や、地球環境や、社会を“循環させる”ブランドを目指しますという。また、資源は減らさず、可能性をうみ出していくといい、商品は、再生ポリエステルを中心としたリサイクル素材を全品番に使用し、不要になった商品を回収して新たな資源に変えていくという。

 受注生産方式に新鮮さを感じる。どんなサプライチェーンが構築されているのだろうか。

 WWD Japanによれば、今後は、他ブランドとのコラボレーションによるサステナブルな商品開発やD2Cブランドに対する素材や生産面での支援などを行う予定だという。

www.wwdjapan.com

 

 

 ユニクロとの共創で、そのサスティナビリティを支える素材メーカの東レが、グループ会社の東レ・ディプロモードで「D2C」で、直接消費者に商品を販売し始めたという。

 日本経済新聞によれば、D2Cの商品では衣料品メーカーに提供する前の最新の素材を消費者が体験できるそうだ。

www.nikkei.com

 その第1弾商品として昨年9月に、特殊な素材や生地の構造を採用したTシャツ「水を纏う」を用意、クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」で消費者へ直接販売したという。

 今年2月には、第2弾として、ヴィーガンレザー「キマイラ スキン™」のコートを同じく「Makuake」で発売、サポーター571人を集め、目標金額 300,000円を大きく上回る16,993,350円を集めたという。

www.makuake.com

 

 素材メーカが「D2C」にまで触手し、その可能性を探る。東レの社長が言っていたが、衰退産業ではなく、まだまだ伸びしろがあるということなのだろうか。

 

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「サスティナビリティ」、「デジタル化」が、 大量消費、大量廃棄が問題視されたファッション業界を動かし始めているようだ。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

dsupplying.hatenablog.com

【SDGs】食品ロスに挑む商社のDX~在庫を最適化

 

 DXデジタルトランスフォーメーションということばが、どうもしっくりこないと感じることがある。DXを否定する気はさらさらない。

 あたり前過ぎて、何を今さらという感じがしているのかもしれない。

 価格下落が激しいB2B業種で、限界利益20%でも持続的に成長できる、そんなことを常に求められていた。 限界利益率をもう少し下げることはできないものだろうかと常日頃そんなことばかり考えていた。否応なしに効率化、どこまで人を少なくしてオペレーションが可能か、そんなことばかり考えていた。

 

 

 ここ最近、DX推進のため業務提携とのニュースを数多く見るようになった。

 三菱商事がNTTと組んで「インダストリー・ワン(Industry One)」という会社を年度内に設立、DXデジタルトランスフォーメーションサービスを提供するという。

Industry Oneは、日本の産業界全体のDXを促進し、持続可能かつ国際競争力のある企業成長を支える変革実行パートナーとして、DX企画からソリューションまでを一気通貫で提供します。

日本の産業構造は、複雑なバリューチェーンにまたがるため、個々の企業の改革努力だけでは解決困難な課題が多いという特徴があります

これらの課題を解決すべく、Industry Oneは三菱商事及びNTTの強みである産業知見とICT技術を集約し、広くパートナー企業とも連携していきながら、DXの土台づくり(企業個社のDX加速化、デジタルを活用した企業間プロセスの最適化)からデジタルビジネスの創造までを一貫して実行支援し、価値提供してまいります。 (出所:三菱商事

 三菱商事によれば、まずは食品流通分野における食品卸の在庫最適化ソリューションの開発を進めていくという。2021年度から、コンビニ ローソン向けの三菱食品が運営する物流センターを対象に、ソリューションの提供を始め、他企業向けに順次展開していく予定だという。

 

 

 小売、卸、メーカーの在庫、受発注、需要予測等、企業内や企業間に散在するデータと気象予測情報等の外部データをデジタル技術で連携する基盤と、独自AIエンジンを組み合わせ、約10,000商品を対象とした実証実験で、物流センターの在庫を平均約3割(一部カテゴリでは最大4割)削減、トレードオフの関係にある欠品率も総じて低下させることに成功したという。

 このソリューション提供を通じ、食品流通業界における食品ロスや人手不足等の課題を解決することで、SDGsの達成に向けた食品流通産業の持続的な発展に寄与していくことを目指すという。

 また、この他にも、ブロックチェーン等の先端技術を活用し、企業間のスマートコントラクトの実証実験を、2021年度内に開始予定だという。

www.mitsubishicorp.com


 伊藤忠商事もグループ会社の食品卸の日本アクセスと連携し、人工知能(AI)を用いた需要予測と発注最適化のソリューションを、日本アクセスの食品メーカーへの発注に、導入したという。両社は、これを皮切りに食品サプライチェーンDXを本格的に展開していくと発表した。

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(資料:伊藤忠商事

・小売の業務データ(在庫・売上・発注)と卸の業務データ(在庫・入出荷・商品毎の発注ロット)に加え、天候データやカレンダー情報を入力値として人工知能(AI)の一種である機械学習モデルを構築

・メーカーが要求する発注ロット単位での推奨発注値を算出し、既存の発注システムにデータ転送 (出所:伊藤忠商事

www.itochu.co.jp

 

 同じようなDXソリューションが異なる商社で準備される。それだけ食品業界で同じような問題を抱え、その解決にデジタルが活用され切れていないということなのだろうか。

 

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 ソフトバンクグループがノルウェーのロボティクス企業オートストアの株式40%を取得するという。

 ロイターによれば、オートストアは1996年に創業し、倉庫内の作業を自動化するロボットを35カ国に2万台展開しているという。

顧客にはプーマやベスト・バイ、シーメンスが含まれている。倉庫の保管スペースを有効活用するための設計手法も持つ。こうした技術はオンラインショッピングが拡大する中、電子商取引企業の業務効率化につながる。 (出所:ロイター)

jp.reuters.com

 EC電子商取引ばかりでなく、倉庫は商品を扱う企業になくてはならないものだ。倉庫を見学に行くと、効率化、改善の宝庫ではないかと感じるときがある。

  目ざとい、ソフトバンクGということであろうか。

 

【DXと余剰人員】強者たちはDXで何を変革するだろうか

 

 地政学リスクという言葉が死語になるのではないかと感じることがあった。グローバル化が進み、世界がフラット化していけば、多様性ある世界になり、均衡が保つことができるのではないか。しかし、現実はそんなに甘美なものではない。

 新たに力を持つ者が現れれば、それをこころよく思わない輩も現れる。米中対立が生まれたのはそんな背景があってのことだろうか。政権が変われば、元の鞘に収まって鎮静化するのかと思ったが、そうはいかずに、さらに対立が深刻化しているようだ。この先、どんなところまで影響が及ぶのだろうかと少々心配になったりもする。

 

 

 そんな状況下にあっても強者はいるものだ。

 Bキャピタルが、運用資産19億ドル(約2100億円)の一部を中国で急速に台頭しつつあるエンタープライズテクノロジー分野に展開するという。

 ブルームバーグによれば、Bキャピタルの創業者の一人ラジ・ガングリー氏が「中国の過去20年間が消費者向けインターネットの興隆だったとすれば、次の20年は伝統的なビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)ということになる」と指摘したという。

「われわれは、地政学にかかわらず、テクノロジーがいかにこうした産業を変えていくかという長期的視点に確固として立っている」。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 また、Bキャピタルのゼネラルマネージャーの蔡氏は「大規模産業でデジタル化がテーマとなっており、企業にサービスを提供するテクノロジー各社に極めて大きな好機を見いだしている。過去20年間に米国が経験したことによく似ている」、と語ったという。

 中国にもまだDXでのビジネスチャンスがあるとは意外なことだ。国内で、DX騒ぎになるのも当たり前のことなのかもしれない。

 

 

 

 DXデジタルトランスフォーメーション、あらゆる企業活動を最新のデジタルツールを利用をして効率化していくということなのだろうか。

www.ibm.com

 

 一方で、コロナ渦による需要減で、2020年10~12月期に企業部門は238万人に上る余剰人員を抱えたと内閣府の「ミニ経済白書」が指摘したとJIJI.COMが報じる。

 企業は政府の支援策を活用しながら雇用維持を図っているが、中長期的な生産性向上へ「成長分野に失業なき労働移動を促進していくことも必要」としたという。

今後はニーズの高い分野への人材移動を促すため、労働者のスキルアップ支援が課題になる。

ただ、アジア太平洋地域の14カ国・地域を対象とした19年の調査(パーソル総合研究所)では、勤務外で学習や自己啓発を行っていない就業者の割合を見ると、日本は46.3%と14カ国・地域の平均(13.3%)に比べて著しく高い。白書は「個人も企業も人的投資には消極的」と問題視している。 (出所:JIJI.COM)

www.jiji.com

 少し前まで人手不足と言われていたのが嘘のようである。逆に言えば、それだけ人手に頼っていたオペレーションを続けていたということなのだろうか。

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 このコロナ渦で、DXデジタルトランスフォーメーションによる業務変革が求められるといわれる。経営コンサルを始め、様々な業種からDX市場に参入し、DXをリードしようとしているようだ。

 DXでどんな結果が導き出されていくのだろうか。DXが単なる業務の効率化に終われば、新たな余剰人員を生み出すのだろう。DXの進展で新たな雇用の受け皿となる仕事を生み出していかなければ、真のDX、デジタルによるトランスフォーメーションとは言わないのだろう。

 

【EVシフト鮮明】テスラに対抗するVW、EVコンセプトカーを発表したレクサス

 

 独 VW フォルクスワーゲンは、2025年までに世界のEV市場のリーダー目指すという。今年のEV販売目標を100万台とするとブルームバーグが伝える。

 主要テクノロジーを標準化することでコスト削減に取り組み、劇的な電気自動車 EVシフトを加速させ、米テスラなどの競合に対抗するという。

ソフトウエアやバッテリー、充電インフラを含めたテクノロジーの展開で効率化を高める「プラットフォーム」アプローチを探る。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 ロイターによれば、ダイムラーも、乗用車販売全体の50%以上が2030年までにプラグインハイブリッド車か完全電気自動車になるとの見通しを示しているという。

 欧州でのEVシフトの流れが加速しそうだ。

 

 

 トヨタは、レクサスにおいて2025年までに10以上のEV、PHV、HV等の電動車を含む、約20車種の新型や改良モデルを投入すると発表した。

 ロイターによれば、21年には2車種を披露するという。

2025年には全車種に電動車を設定し、電動車の販売比率がガソリンエンジン車の比率を上回ることを目指します。

2050年には、全モデルラインアップにおける材料製造、部品製造・車両製造、物流、走行、廃棄・リサイクルの各段階を含めたライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを目指したクルマづくりに挑戦していきます。 (出所:トヨタ自動車

jp.reuters.com

 トヨタもレクサスブランドからEVシフトしていこうということであろうか。

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(写真:トヨタ自動車

 トヨタはこの発表に合わせ、レクサスのEVコンセプトカー「LF-Z Electrified」を公開し、また、新たにレクサスの事業拠点を開設、開発・デザイン・生産技術・企画部門が一体となった創造的なクルマづくりを進めると合わせ発表した。 

 

 

 「電動化技術で走りが進化」とトヨタはいう。

 EVコンセプトカーには、新たな四輪駆動力制御技術「DIRECT4」を搭載、前後の駆動輪を独立して制御することで、FF、FR、AWDなど、走行シーンに応じた適切な駆動方式を提供できるという。アクセル、ブレーキ、ハンドル操作に応じて、駆動力配分をコントロールし、ドライバーの意図する力強い加速感や爽快なコーナリング性能をもたらすという。

 バッテリーの車両フロア下への搭載によるフレームの高剛性化や低重心化により、路面からの微細な振動や不快な音を防ぎ、LEXUSの原点である静粛性と乗り心地も格段に進化し、質感の高い空間がドライバーや同乗者に安らぎを提供します。 (出所:トヨタ自動車) 

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(写真:トヨタ自動車

 この他にも、インテリアやアクセサリーなどにもレクサスらしさの最先端の技術が搭載されるようだ。

・ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携させ、視線移動や煩雑なスイッチ操作をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオ、ドライブモードセレクトなど、各種機能の操作が可能な空間を実現しています。

E-Latchシステムにより、ドアの開閉はよりスムーズに、そして安全なものになります。乗車時は、格納式ドアハンドルが、キーを所持した乗員が近づくと車両表面から自動的にスライドし、ハンドル内部のセンサーに触れるとドアの解錠、開扉をスムーズに行うことが出来ます。降車時には、車内の開扉スイッチを押すことでドアを開くことが可能になるとともに、車両に搭載されたセンサーが周辺状況を監視し、接近する車両や自転車を感知した場合には、乗員に警告を発して、降車時の事故低減にも寄与します (出所:トヨタ自動車

global.toyota

 レクサスで示されるコンセプトが今後のトヨタの他のクルマにも展開されていくのかもしれない。いよいよトヨタのEV(電動車)シフトが始まるようだ。

 

【脱炭素と鉄鋼】日本製鉄はカーボンニュートラル競争を勝ち抜くことができるか

 

 カーボンニュートラル、脱炭素の圧力が素材関連産業を揺るがしているのだろうか。

 鉄鋼、鉄鉱石を原料に石炭を使って生産され、大量の二酸化炭素を排出する。

 世界中のメーカがカーボンニュートラルの実現を宣言するようになれば、国内メーカも追従せざるを得ない。世界一の鉄鋼メーカを標榜し、肥大化を続けた日本製鉄に試練のときがやってきているのだろうか。

「日本製鉄が再び合理化に動く」と日本経済新聞がいう。

www.nikkei.com

3月5日に発表した2025年度までの経営計画。

新たに茨城県鹿嶋市の高炉1基の休止を打ち出した。

決定済みの製鉄所閉鎖などとあわせると、国内高炉数は14基から10基に減る。粗鋼生産能力は2割縮み、協力会社を含め1万人の従業員に影響が及ぶ。 (出所:日本経済新聞

 

 

「現場を見れば、競争力があるかは一目瞭然」

 橋本社長が日本経済新聞の取材でそう話したという。

全国の製鉄所全てに足を運び、品質やコスト、設備改修計画などあらゆるデータを比較した。生産や営業の現場とも徹底的に話し合った。 (出所:日本経済新聞) 

 もう10年近く前に、当時の新日本製鉄住友金属工業が合併し新日鐵住金となり、その後日新製鋼を買収しさらに肥大化した。

 2019年4月、社名を今の日本製鉄とした。ここまで旧3社の一体運営を目指してきたと、日本経済新聞はいう。 

 

等閑にされた合理化 DXという言い訳

 その日本製鉄が、2021年度から5年間でDXデジタルトランスフォーメーション戦略に1千億円超を投資するそうだ。

 日本経済新聞によれば、注文から生産までの情報を一元管理するシステムを構築し、AI人工知能など新技術も導入するそうだ。

www.nikkei.com

 デジタル改革を担う中田昌宏執行役員は「鉄鋼業のビジネスモデルの中で、変化へ対応できる体質へ会社を変える」と、会見で述べたという。

日鉄は生産や営業といった領域のほか、原料調達や品質管理、財務など幅広い領域でDXを推進する。

中でもデータを有効活用するための体制整備に重点を置いており、生産に関わる部分では国内全6製鉄所の生産計画や、注文情報を連携させるシステムをつくる。 (出所:日本経済新聞) 

 日本経済新聞によれば、将来は製造現場の監視や調整といった業務を現状の半分に減らし、経営層への情報共有にかかる時間を8割短縮したりすることを目指すという。

  国内鉄鋼大手3社が一体となり、規模は大きくなったが、合理化は進まなかったということであろうか。

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遅きに失した成長戦略か

 「国内事業で稼ぐ力を早期に取り戻し、自ら関わったインドなどに成長資金を振り向ける。現地生産体制の強化を通じて価格競争力を磨き新市場を切り開く。橋本が描く成長戦略は明快だ」と日本経済新聞はいう。

原料も鉄鋼製品も価格変動の幅が大きくなり、収益計画は立てづらくなるばかり。

脱炭素に向けた競争の幕も上がっている。にもかかわらず、「営業も生産も調達も新しいマネジメントに変えられていない」。 (出所:日本経済新聞) 

   「鉄鋼業はかつてとは全く違う産業になった」、随分と長い間、合理化を置き去りにし、あぐらをかいていたのだろうか。それでは競争力を失するのは当たり前のことではないのか。少しばかり驚く。これからがほんとうの合理化の始まりなのかもしれない。 

 

 

地元の期待

 茨城県の大井川知事と錦織鹿嶋市長、石田神栖市長が29日、梶山経済産業相に、日本製鉄の茨城県鹿嶋市の高炉2基体制の維持を求める要望書を提出したと茨城新聞が伝える。

要望では、2025年3月末をめどに高炉1基を休止する同社の方針に「1万人以上の雇用を支える製鉄所が、生産力を4割削減することは地域経済や市民生活に計り知れない影響を及ぼす」と指摘した。 (出所:茨城新聞

ibarakinews.jp

 合理化が遅れたことで、こうした事態になったことはなかったのだろうか。

 茨城新聞によれば、面会後、大井川知事は「カーボンニュートラルとか新しいことを鹿嶋の地でできる動機付けになるような提案もしたい」と話したという。

 日鉄は2050年のカーボンニュートラルを目指し、水素還元による新たな製鉄を目指すという。地元の期待に応えるべく、自らの力で、技術開発をスピードアップさせ、早期の実用化を果たさなければならないのだろう。そのためには、合理化もスピードアップさせ、結果を出していくことが常に求められるのだろう。

 

2021.4.1 追記

 2030年までに鉄スクラップを原料とする大型の電炉を国内につくる方針を日本製鉄が明らかにしたと日本経済新聞が報じる。

 それによれば、日鉄が電炉活用を急ぐ一因は世界的な脱炭素の流れだという。

同社は3月上旬、50年に温暖化ガス排出で実質ゼロを目指すと発表。高炉にコークスの代わりに水素を投入する「水素製鉄法」の研究開発も進め、現在の生産体制を見直す考えだ。

鈴木氏は「どの高炉を電炉へ置き換えるかに関しては生産規模や品種、設備の更新時期といった観点から今後決めていく」と話した。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 なぜ時流を読み違えたのだろうか。世界一をめざす企業なのであれば、お恥ずかしい話のような気がする。

 謙虚に市場と向き合い、貢献していこうとする誠実さが欠けていたのではなかろうか。企業体質・文化から変えていくべきなのであろう。